4.見透かされた想い

「えっ???」


「好きなんでしょう。

 あの子のこと。

 香天然な所もあるから、

 眼中にないオトコを私に紹介するわけ。

 あなたで4人目。

 みーんな私に恋愛相談してくるのよ。

 香と付き合えないかって」


「いい子じゃないですかっ」


「オトコはそういうわね。

 無邪気だし、天然みたいだし、

 私も独身だしね。

 この知り合い方も私にはメリットがないわ」

 香にとっては優越感を感じるのかしらね。と笑う美人。

 


 高飛車で嫌な女という一面しか見えなかったが、

 ここでようやく人間らしい感情が見え隠れする。


「いつもそんなひねくれた観察しているんすか?」


「……ふーん。あなたって65点ね」


「は?」


「私と合うかどうかの点数よ。悪くないわ」


「あなたのいう点数って――100点満点中の点数でしたか」

 突っ込みを入れてハタと気づく。

「え? いまの」


「鈍感なところも香みたいで面白いわ。

 香とはますます相性が悪いわね。

 また会いましょ。

 今日は面白かったわ。

 新作も手に入ったし」


 お菓子の新作をバッグの中へ放り込み、

 美人さんは席を立った。


 この店を指定してきたのは

 新作をゲットしたかったからのようだ。


「どうも」


 今日、俺の感想はただ一つだ。


 女はわけがわからない。


 美人さんは満足のようだが、

 俺はこれから酒に付き合ってくれる仲間を見つけないと満足できない。


 電話しまくりようやく相手をゲットできた。

 高校の時からの付き合いで伊藤誠イトウセイという。

 女癖がメチャクチャ悪くって誠実とは程遠いやつ。


 友達でいる分にはいいやつだし独身だしで誘いに乗ってくれる。


 社会人になるとどうしても時間がかみ合わなくなるものだから

 こうして誘いに応じてくれるのもうれしいものだ。

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