2.時は経っても
「はぁ、あれから随分たつけど、一切変わないっすよぉ。
桜木を振り向かせる方法なんかないっすか」
「20近く年の離れた俺に聞くなよ。
あ、その桜木の想い人って別れたってさ。
将来有望な奴に凹まれると困る。
心配だなぁ」
「ですね」
悔しいが有能さは社内でもトップだから
何とも反論できない。
「桜木の奴、
合コンとか紹介とかしてもらうかもっていうんですよ」
「あー。やっぱり眼中になかったか。
諦めたらどうだ?」
「あんなに素直で可愛いくて健気なのに
諦められないっすよ」
「あきらめも肝心だ」
諦めも肝心。本当にそうなのか?
確かに彼女は新しい恋を探そうとしている。
しかし俺は候補すら入れてもらえない。
仕事の話しかしない。
プライベートの話を振っても「今度ね」や別の話題にかえられてしまう。
「このままアプローチを続けるのか、
別の出会いを求めるのか?」
悩んでいるうちに
桜木憧れの先輩カップルが
婚約したという。
「桜木はこれからどうするの?」
「そうね。先日あった人を
もっと知りたいかな」
やはり選択肢に俺はないようだ。
そうこうするうちに、桜木からメールが来ていた。
「朝峰、知り合いの美人な子紹介するね。
画像添付の了承とれたから張ってくね。
悪用するなよー」
た、確かに美人。しかも経歴が豪華。
京大卒業、大手メーカー勤務4年目。
でも性格まではわからない。
桜木がいいのだが。
「桜木、振り向いてもくれないのか」
オレの失恋は確定した。
試すだけ。と思いながら、
添付されたメールアドレスに返事を出した。
二人の休日が合わさったタイミングで
会うことになった。
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