朝峰の恋は険しけり 完

朝香るか

1.俺、朝峰

 俺には会社に入って好きな女性ができた。

 高校からラグビーに打ち込んで大学も同様で。

 恋愛なんて聞くだけだった。


 社会人になってようやく女性とふれあ……いやいや。

 仕事をするようになって

 いいなと思う同期ができた。

 

 女性の名前は桜木香。

 マジでがちで可愛んだ。名前通り。

 色々声をかけているんだが、

 桜木は職場の先輩に恋しているようで、

 仕事の合間にチラチラ見ている。


 男の俺でも男前だなって思う先輩だが、女癖が悪い。

 年上女性の何人かと付き合って捨てたとかなんとか。

 本当かどうかわからないけれども。


 なんとしてでも守らないと。

「仕事を頑張れるドリンク持っていったら好感度上がるかな?」


 仕事上、ペアを組むことの多い中年の先輩に聞いたりする。

 メタボで糖尿病らしいが、一応既婚。


「ふーん。惚れて、そんでどうしたって?」

「俺がお気に入りのエナジードリンク持っていきました」


 メタボの上司はあきれた顔をした。

「馬鹿かお前。あの先輩にあこがれるんだから

 仕事で惚れさせろ。


 残業後にエナジードリンクはまずいだろ。

 寝られねーだろうが!!」


「確かに。渡すタイミング間違えたかも」


「はぁ。巷にはカフェインオフの飲料だって、

 美容用品だってあるんだぜ。……モテなさすぎかよ」


 確かに入浴剤のほうがリラックスはできるし、

 プライベートを意識してもらえるかもだったことに気づいた。


「俺のほうが気の利いた土産渡すって」

「っぐ。すんません」



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