第3話 祝い花


近所に、新しい飲食店が出来ていた。


その出入口に、大きな胡蝶蘭がいくつか並んでいた。たくさんお祝いしてもらってるんだ。通り過ぎ様に横目で花を見る。驚いて二度見した。蘭の花だと思っていたものが全て、憤怒の表情を浮かべた人間の顔だった。性別は分からない。

「……この店、流行らないだろうな」

足早に離れてから、そんなことを思う。


数週間後、その店は閉店していた。



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