女王の復讐号
その瞬間地面が割れて巨大な木製の甲板が現れ、ピーラータを乗せて部屋の半分を帆船の横っ腹が部屋の半分を覆い尽くす。
「ッ!?そんな体力が!?」ユビキタスが驚いた声を上げると船の横っ腹には数え切れない程の大砲が備えてあり、それがアルマ達に大口を向ける。
「また会おうぜェ……クソ野郎どもォ!!」
船は凄まじい爆音と大量の煙と共に下の階層へと落ちて行く、その衝撃のせいでゼノは踏ん張りきれず、バインドが一瞬手から現れたと思うと瓦礫が頭に命中して、大穴へと落下してしまう。
「逃がすなッ!」
ヴェティが忌々しげに舌打ちし穴に飛び込もうとするが、アルマは船の消えた方を睨みながら制止する。
「データは確保した、追う必要は無い」
「ですが……ゼノが!」
ユビキタスは何かを言おうとしたが、アルマの目を見ると口に何かを含もうとしてから黙る。
「撤退だ」
アルマのその一声があってもユビキタス達は苦虫を噛み潰したような顔をして穴を眺め続ける
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「ゲホッ!!げほっ!クソッ!」
頭に瓦礫がぶつかったせいで頭から出血し、落下の衝撃で全身に鈍い痛みが響き渡るゼノは甲板上でうずくまっていた。
「着いてきたのかァ?」
自分の頭上に影が出来ると同時にそんな声が聞こえる。
「ピーラータ……ッ!?」
ゼノが見上げるとそこには舵輪の柵に座り足を組んで見下ろすピーラータの姿があった。
「安心しろォ、お前はぶっ殺さねぇ」
そう言いながらピーラータはニヤリと笑い甲板から飛び降りる。
「どうしてですか……!!」
ゼノは立ち上がり、ナイフを構えようとする。
すると、ピーラータは新しいカットラスを引き抜きながら言う。
「お前を始末して良いのはボスだけじゃ」
「……この声はッ!?」
ゼノが振り返るとそこにはフォルスがニヤリとしたネコ笑いを浮かべてクナイをこちらに向ける姿があった。
「フォルス、『鍵』は何枚確保できた?」
「ざっとこれだけじゃ」
フォルスは大量の鍵を取り出して見せる。
ざっと五十枚程だろうか、それらはキラキラと宝石のような輝きを放っている。
「充分だ、フォルス!コレで足りるだろう……ストゥルティはどうだ?」
「コアで落ち合う予定じゃ、もうじき"アレ"も仕掛け終わる頃じゃろう」
「なら、全速潜航だ」
その言葉と船は更なる勢いで下へと潜って行く。
その時だった。
「まあ、蜂起の時に比べたら大人しめやなぁ、ディヴィデのお二人さん」
聞き馴染みのあるエセ関西弁がゼノの耳を突く。
「き、貴様は……どうしてここにおるのじゃ……」
フォルスは戦慄した表情のまま震える手でクナイをその人物へと向ける。
「やりすぎたんや、あほんだら共」
船の柵に座っていたルーメンは刀を触りながらニヤリと不敵な笑みを浮かべるのだった。
「チッ!!」ヴェティは即座にピストルを構えるがその瞬間に銃身が地面に落ちる。
「遅いわ……」
その言葉と共にヴェティの腹部を凄まじい衝撃が襲い、吹き飛ばされる。
「柔らかいなぁ、豆腐みたいや」ルーメンは銃を蹴りながらそう言う。
「これはどうか……なッ!」
ピーラータは握っていたカットラスを全力で投げつける。
それは正面から真っ二つに切り裂かれるがそれに間髪入れず無数の弾丸をピーラータが放つ。
しかし、それらは全て勢いを殺されボロボロと甲板に落ちて行く。
「慣性どうなってんだよォ!!」
ピーラータがそう言うとフォルスが震える声で言う。
「『光』の速度で動いてる……」
「ご名答やなあ、フォルス」
ルーメンは余裕そうな笑みを浮かべた瞬間ピーラータが吹き飛ぶ。
「ぐおッ!?」
そのまま木製の柵に激突し大きな音がするが、傷一つ付いていないようだった。
「およ……?本気でやり過ぎたか……?」
ルーメンは蹴りの終わった体制から欠伸をしながら頭を搔く。
その瞬間に真横からフォルスが飛び出し、クナイでルーメンの首を狙うもルーメンはそれをアッサリと弾き返す。
「いきなりなんやねん、ビックリするやん」
「お前は危険じゃ……ここで殺しておかねばッ!」
フォルスがクナイを何本も投げつけるがルーメンはそれらを全て弾きながら大きくため息を吐く。
「全部同じ様な技やなあ……『幸運』は品切れかいな?」
「ふん、もう使っとるわ……そっちの小僧にのぉ」
フォルスはそう言いながらルーメンの背後に倒れているゼノを指さす。
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