鬱憤晴らし
『鍵保管庫』にて
「……一足遅かった様ですね」
テラは作業員達が必死にスライムを抑え込むんでいる様子を見ながら呟く。
「恐らく、『鍵』何本かは盗まれてるかと……」
レプスは敬礼をしながら報告をする。
テラはため息を着くと職員に指示を出し始める。
「皆さん、作業を中断してください」
そう言うと彼らは即座に作業を停止する。
すると、テラは鎌を持ち出しながら言う。
「スライムを全部ぶっ潰してやります」
彼女はニヤリと笑い、鎌をクルクルと回してから床に思い切り突き立てる。
すると、職員達はレプスから離れ始める。
「え?ちょ……テラ一等官!?!?」
レプスが止めようとするももう手遅れの様だった。
「『大地絶唱』」
鎌を刺した床はたちまち亀裂が入り、轟音と共に揺れ始める。
「私、こんな所で死にたくないんですが……」
レプスは頭を抱えながらそう言うとほぼ同時に波動のような光が部屋に響き渡る。
同時に床も割れ始め、レプスはどこか楽しそうなテラを尻目にため息を吐く。
「始末書書くのは私なんですが……」
すると、部屋中に衝撃波が走り、レプスも職員達も吹き飛ばされる。
「スライムは全て消せましたよ」
テラが満足げにそう言うとレプスはベレー帽を抑えながらムクっと立ち上がり、埃を払いながら言う。
「色々言いたいことありますけど、どうして吹っ飛ばしたんですか?」
「……管理職というのはストレスが溜まるものなのですよ?たまには派手に……ね?」
テラは鎌を壁に立てかけてから腕を組みながらドヤ顔でそう言う。
「……私が言うのも何ですが、部署の職務への内政干渉は例えD3でも控えるべきだという暗黙の了解がある筈です」
レプスがそう言うとテラは少し考えてから口を開く。
「……内政干渉に該当しない事なら何をしてもいいんですよね?」
「……屁理屈を仰らないで下さい」
レプスは呆れながら言う。
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「無事か?」
床に叩きつけられないように反転重力で浮いていたユビキタス達が着地したと同時にアルマがピーラータを引きずりながら煙の中から出てきた。
「助かりました、先生」
ユビキタスが深々と頭を下げるとアルマが首を横に振る。
「何度言えば分かる……アルマと呼べ」
「すいません……つい」
ユビキタスは申し訳なさそうに答えると、ヴェティがピーラータを見る。
「殺さなかったんですね?」
そう言うとアルマは表情を変えずに言う。
「コイツにはまだまだやって貰う事があるからな……」
「ハハッ……拷問でもすんのか……?」
ピーラータは血を流しながらフラフラと立ち上がろうとするが、ヴェティがナイフを首に突きつける。
「おいおい、まさか今やる訳じゃねぇよなァ……?」
ピーラータは不敵に笑いながらそう言うとアルマはヴェティに顎で合図をする。
すると、ヴェティがピーラータの顔を凄まじい勢いで殴りつける。
「ぶごぉ……ッ!?」
ピーラータの口からは歯が飛び散り、血反吐を吐きながら地面へと倒れ込む。
「ワッ!?」
ゼノが急な暴力に驚いていると、アルマがピーラータの首から下げていた『鍵』を千切り取る。
「こ、これが、コイツらの根城にする世界の『鍵』ですか?」
ゼノが鍵をマジマジと見るとユビキタスに端末を渡される。
「ゼノ、『鍵』をここに刺してデータを」
「わかりました、コレで出来てま……」
その瞬間、周囲の空気が震え始めると同時にピーラータが何かを呟く。
「時間は充分だろ……『クイーンズ・リベンジ』」
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