洞窟探索
「さ、サランさん!?」
洞窟の前では、ゼノが驚いた様子で声を上げる。
「来たよ!」
サランはそう言ってニコッと笑う。
彼女の格好はいつものしっかりとした装備に身を包んで、松明を肩に乗せていた。
「洞窟は迷いやすいからな、現地の冒険者は必須だろ?」
スイッチはそう言うとゼノの背中を押す。
「ほら、行くぞ。先を越されるわけには行かないからな」
「じゃあ、出発!!」
「は、はい!」ゼノは頷くと、2人と共に洞窟へと入って行った。
━━━━━━━━━━━━━━━
洞窟の中は相変わらず湿っぽい雰囲気であり、この前の洪水のせいだろうか所々深さが分からない水溜まりが出来ている。
「スイッチさん、サランさん……足元気をつけてください」
ゼノは心配そうに2人に言う。
「言われなくても!」とサランは笑いながら言うと、水溜まりを避けながら先へ進んでいく。
しばらくすると、ゼノが洪水の時に滑り落ちたかなり勾配のキツい坂に近い崖にたどり着いた。
この場所では1度死にかけた事を思い出し、ゼノは少し青ざめる。
「ここか?ゼノ」
スイッチは崖の下を覗き込むようにしながら尋ねる。
「は、はい……」
ゼノは引きつった顔で返事をする。
「……怖い?」
サランは心配そうに聞く。
「……少しだけ」
ゼノは苦笑いを浮かべながら答える。
「安心しろ、お前には『バインド』がある、しゃんとしろ!」
スイッチはそう言いながらゼノの背中を思いっきり叩くと彼は「あたッ!?」と情けない声を上げる。
「それじゃあ、サランはここで待っていてくれ」
「え?どうして?」
サランはキョトンとした様子で聞く。
「下がどうなってるか分からない、万が一の時は思っいきり引き上げてくれ」
「なるほど……了解!」
サランは納得した様子で頷くと、剣を地面に突き刺す。
2人は準備をすると崖の縁に立つと2人でバインドを近くの岩に巻き付けて降りる準備を整える。
「それじゃあ行くぞ」
「はい!サランさん、行ってきます」
ゼノは彼女にそう言うと、彼女は笑顔で手を振って応える。
「気をつけてね!」
「よし……行くぞ!」スイッチの掛け声と共に2人は崖の下に飛び込むと、一気に下まで滑り降りる。
━━━━━━━━━━━━━━━
2人が下に着くと辺りを見回すが人の気配は無かった。
スイッチは腰のポーチから懐中電灯を取り出すと当たりを照らす。
「スイッチさん、魔法は……」
「現地民対策の魔法探知があるかもしれないからな、それ対策だ」
ゼノは納得した様子で頷くと、洞窟の奥の方に光に照らされ何かが輝いたのに気づく。
「多分、あっちですね」
「だな」
スイッチはそう言うと洞窟の奥へと進んでいく。
2人はどんどんと奥に進んでいくが、一向に人の気配を感じられず、2人の足音と横を流れる川の音だけが木霊する。
そして、光の元へ辿り着くとそこはゼノの見覚えのある景色だった。
「こんな所まで流されてたんだ……」
そうゼノが呟いた時、隣で懐中電灯の光が上に向いたかと思うとスイッチが思わず言葉を漏らす。
「おいおい……まじかよ」
スイッチの目線の先には意図的に掘られた無数の窪みがあり、いくつかの窪みの中には『鍵』が残されていて、反射光が星のように輝く。
「綺麗だ……」
ゼノはそう言って鍵の1つを引き抜こうとする。
「待て」
スイッチはゼノの腕を掴み制止する。
「罠が仕掛けられてるかも知れない、スイッチを切らせろ」
ゼノが頷くとスイッチは鍵に触れてオフにする。
「切れました……?」ゼノはそう言うと首を傾げる。
「僕の能力はあくまで入れたり切ったりするだけだ、何のスイッチを弄ったかは分からない」
スイッチがそう言って鍵の一つを引き抜こうとした時、何かに気がついたように一瞬固まるとすぐに腕を引っ込める。
「どうしたんです?」
ゼノが不思議そうな顔で聞くと、スイッチはもう一度鍵に触れオンにする。
「スイッチさん!?」
その瞬間奥の壁がゴトンと音を立て、開く。
「隠し扉……!?」
「やっぱりな、僕の感覚は正しい」
そう言って隠し扉の先へ進もうとしたした時だった。
スイッチが凄まじいスピードでゼノを岩陰に突き飛ばす。
「スイッチさん!?」ゼノが驚きながら叫ぶと、次の瞬間、彼が立っていた場所に氷柱が刺さる。
「サランを連れてこなくて正解だったな」
スイッチはそう言うと冒険者の服装が一気に切替わりOCOの制服と装備になる。
「存分に僕の能力を使える」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます