再戦
洞窟の暗闇から1人の人物が現れる。
「1人かい?グラキエス」
氷の日本刀を片手に構えたグラキエスが氷柱をこちらに向けながら答える。
「違うよ……私は1人じゃない」
そう言うと同時に氷柱を一気に飛ばす。
スイッチは黒帯を空中に投げて盾を一気に展開し、氷柱を防ぐ。
「何度同じ手を使うんだ?」
スイッチがそう言った瞬間、砕けた氷柱の破片がスイッチの首を切り裂く。
「スイッチさんっ!?」
グラキエスはニヤリと笑ってみせる。
「言ったでしょ?私は1人じゃない」
スイッチの首に赤い線が走り、そこから鮮血が噴き出したかと思うと次の瞬間には傷が《塞がる》。
「……クソ。この不可解な現象、フォルスか!?」
「おー……スイッチ、さすがじゃのー」
グラキエスの後ろから猫耳としっぽを生やし黒い着物に身を包んだ人物がそう言いながら現れる。
「フォルスまで居るとはな……分が悪い」
フォルスは笑いながら答える。
「殺しはせんよ……ゼノ君に用があるんじゃからのぉ」
「それは無理な相談だなっ」
スイッチはそう言ってフォルスに向かって複数の筒をほおり投げ手元のスイッチを押す。
すると筒は爆発を起こしフォルスの視界を遮る。その隙にスイッチはゼノを掴んで川の水に飛び込むのだった。
「知恵が働く奴じゃ……わらわの『幸運』対策をしてきておる」
彼女がそう呟くとグラキエスが冷静に言う。
「鍵はできるだけ回収しよう、今はこの世界から脱出するのが最優先」
「……ボス達はどうするのじゃ?」
フォルスが暗い声で聞くとグラキエスは大きなため息を吐いてから口を開く。
「ボスの命令は絶対……私たちは前倒しだけど予定通りに『門』で脱出する」
グラキエスがそう答えるとフォルスは納得していない様子で頷く。
「……しかたないのぉ」
そう言って2人は洞窟の隠し扉の奥へと消えていくのだった。
その様子をスイッチとゼノは川の流れに流されないようにバインドを岩に絡ませて監視していた。
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