襲来
「ここは……」
辺りはまるでRPGとかで見る洞窟ダンジョンそのままのような景色だった。
「さぁ、始めよう……早速だが、くるぞ」
「え?何が?」
リベロが辺りをキョロキョロしながら尋ねる。
「決まってる、敵だ」
フォッサはそう言うとマントの下から剣を抜く。
すると、洞窟の奥の方からぼんやりと赤い光が数個浮かび上がる。
「あれは……」
「来るぞ、警備ロボだ!」
フォッサがそう言った直後、暗闇から、丸い物体が高速回転しながら飛んできた。
「危ないッ!!」
ゼノが叫ぶとに飛びかかるようにして伏せる。
「『星光の剣』(ステラ・シュパータ)」
フォッサがそう唱えると剣が白緑色の光を纏う。
次の瞬間凄まじい速度の踏み込みでピッチングマシンのような形をした警備ロボットに向かっていく。
そして、横一閃に振り払う、斬られたロボットは断面が溶断されていた。
「すごい……」
ゼノはただ感嘆する。
「次が来るよ!これどんな仕組みなんだろ、気になるぅ!!」
リベロが叫びながら後ろから飛び出してくる。
その手には、盾と蒸気を上げているライフルのようなものを持っていた。
「みんな!蒸気の力だよ!!」
そう言うと彼女は引き金を引く。
銃口からは圧縮された空気のような物が発射され、後方にいた蜘蛛型の警備ロボに命中し爆発させる。
「うわッ!」
あまりの風圧に吹き飛ばされそうになるが何とか踏みとどまって堪える。
『ゼノさん!大丈夫ですか?』
アルが口を開いていないのにもかからずアルの声が頭に響く。
「え?これは……」
『私は能力はテレパシーなんです!』
アルは得意げに脳内で答える。
「なるほど……」
テレパシーって!?え!?何!?頭に響くってこういう感じなのか……すげぇえ!
!!! ゼノは心の中で感動する。
『えっと、今から皆さんにテレパシーで敵の位置を教えます!サポートです!』
「わかった!よろしく頼むね!」
リベロがそう言うと、アルはテレパシーで指示を出す。
『右前方2体、左前方1体、正面3体の計6体です』
「了解!リベロ!」
「はいよー!」
リベロはそう言うと、腰のポーチから筒状の物を取り出す。
「くらえ!皆!爆音注意!!」
彼女がそれを投げ入れると、次の瞬間大音量の破裂音が響き渡る。
ゼノはその余りの音の大きさに耳を塞いでも意識を持っていかれかけた。
「うあああああ!鼓膜がっ!?」
キィーンと言う音が耳に響き渡りながらも目を開けると目の前に破損した警備ロボットがこちらに前足を鎌のように振り上げていた。
「ッ!?」
ゼノは咄嵯に身を屈め、回避する。
だが、ロボットが前足を振り下ろした衝撃で体勢が崩れてしまう。
そこにすかさず、蜘蛛型ロボットがネットを射出され、巻きつかれる。
「しまッ……」
そして、蜘蛛型ロボットはすかさず、ゼノに前足を振り下ろそうとする。
あ、これ死んだ。もう2回も死にかけてるよ……なんでだよ!!
ロボットの足が凄まじい速度で振り下ろされる。
刹那、リートレがゼノとロボットの間に挟まる。
そして、次の瞬間ロボットは真っ二つになった。
リートレは手刀の形で突き出した手をそのままにこちら見る。
「大丈夫?」
「ありがとうございます……う!?」
リートレのポンチョの下はかなり露出度が高い水着だった。
「……」
「どうしたの?」
「エッ!?……いやッ!そ、その格好……」
「能力を使いやすくするため」
それだけ言うと彼女はポンチョを治して、ゼノに手を差し伸べる。
「立てる?」
「はい、なんとか」
ゼノが彼女の手を取り立ち上がると、リベロとフォッサが駆け寄ってくる。
「ごめん!私のグレネードのせいで……」
「すまない、俺がもっと早く気付いていれば……」
2人は申し訳なさそうな表情をする。
「いえ!気にしないでください!僕が弱いのが悪いんで……」
「確かに、武器の1つも持ってないのは問題かもな」
フォッサはそう呟くと腰に手をまわす。
「お前、これ使え」
フォッサはそう言って何かをゼノに投げ渡す。
それは、鞘に入ったナイフだった。
「これは?」
「ただのナイフだ、見てわからないのか?」
フォッサは少し呆れたように言う。
「いや、わかりますけど……いいんですか?」
「構わん、それに丸腰よりかはマシだろう。自分の身は自分で守れよ」
フォッサはそう言うと周囲を警戒する。
「ありがとうございます!!」
「礼はいらない、さぁ行くぞ……まて、アルは?」
フォッサがそう言うと、ゼノはアルがいない事に気付く。
「あれ?さっきまで……」
ゼノは周囲を見回すがアルの姿はない。
「仕方ない、とりあえず脱出地点を目指すぞ」
確かにここに居てもアルさんを見つけることは出来ない。
ゼノはそう考えながらも一抹の不安を抱えながら3人について行く。
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アルは一人、暗い部屋に浮かさせていた。
「アルビトリウム、君を統制官にさせる訳には行かない」
「……」
「君は時間切れまでここにいてもらう」
そう言う声にアルは聞き覚えがあった。
「ユビキタスさん……?」
アルは暗闇に問うが、返事はない。
「下ろしてください!」
「悪いが、それは無理だ」
「そんな……」
アルは絶望する。
「すまないな……」
アルは手足をじたばたと動かすが空中でクルクルと回るだけだった。
「安心しろ、すぐ終わる」
次の瞬間、アルの意識は途絶えた。
「これも君を守る為だ」
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ゼノ達は順調に進んで、洞窟エリアを抜けて近未来風景なエリアに着いていた。
途中、警備ロボに襲われることもあったが、難なく撃退していた。
「この調子なら、楽勝じゃん!」
リベロがそう言った時だった。通路の奥の方から轟音が響いた。
「何の音だ?」
ゼノがそう呟いた刹那、黒い何かが爆速で飛んで来て、フォッサに衝突する。
フォッサは壁と激しく衝突し、動かなくなってしまう。
「フォッサ!!……ッ!」
ゼノはその黒い塊が人であることに気づく。
「ユビキタスさん……!」
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