試験開始
……困った事になった。
どう声をかければいいかわかんないし……それに能力も武器も僕には無いしな……
そんなことを考えているうちにどんどん時間だけが過ぎて行く。
周りはグループがほぼ形成されており、孤立が目立つ。
その時だった。
「君がゼノ?」
突然後ろから明るい声で話しかけられる。
振り向くとそこには、ピンク色の髪の毛を頭の上で纏め、スチームパンク風のゴーグルを額につけた少女が立っていた。
「そ、そうですが…」
「よかった!じゃあこっち!」
そう言うと、彼女はこまねきする。
「えっと……君は……」
ゼノは彼女について行きながら聞く。
「ああ、まだ名乗って無かったね!私のコールサインはリベロ、よろしくねゼノ!」
「よ、よろしく……」
「ついたよ!」
「お、来たか」
フォッサが腕を組みながら言う。
「ゼノさん、ごめんなさいッ!急に居なくなって……」
アルが申し訳なさそうに謝る。
「えっと……これは?」
ゼノは目の前の光景を見て言う。
「これが、僕達のパーティだ」
フォッサが説明する。
「じゃあ全員揃った事だし、改めて自己紹介!」
そう言うとピンクの髪の少女が前に出る。
「私の名前はリベロ!よろしく!」
そう言うと彼女は軽い敬礼をする。
「私はフォッサ、よろしく」
続いてフォッサも自己紹介をする。
「私はアルビトリウムって言います。アルって呼んでくさい!」アルは笑顔で挨拶をする。
「えっと……僕はゼノです。よろしくお願いします」
ゼノはぎこちなく頭を下げる。
「私はリートレ」
「わッ!?」
ゼノは思わずびっくりする。
いつの間にか、ゼノの後ろには長い黒髪をサイドに流し、ポンチョコートを羽織った少女が立っていたのだ。
「よろしく」
それだけ言うと彼女は少し離れた場所へ歩いて行く。
「えー……と、」
「あの子もチームメイトだよ!大丈夫、しっかり話は聞いてるいい子だから」
リベロは笑いながら言う。
「それでは、定刻になりましたので進めさせていただきます」
テラの声が響く。
「これから皆さんにはチームで『迷路』を攻略して頂きます。迷路から脱出してゴールを目指してください。」
「ルールは簡単です。制限時間は3時間、迷路内に3つある脱出ポイントへ向かって下さい。又、道中には警備ロボや統制官を配置していますので、充分気をつけて下さい」
テラは資料をペラリとめくる。
「迷路攻略中に他チームや障害物を攻撃するのはご自由にどうぞ、共闘しても構いません。また、試験中のあなた達の行動や発言は全てこちら側で把握させていただきます」
テラはそう言うと資料を目線から外し、何かを思い出したような表情になる。
「ああ、そうでした。脱出ポイントにはそれぞれに『ゴールキーパー』が居ますのでお気をつけて、」
そう言うとテラはニヤリと笑う。
「それでは、試験開始です」
テラがそう言うと同時にフロア中が突如光に包まれる。
「まぶしっ……」
ゼノは目を細める。
次の瞬間、ゼノ達は薄暗い洞窟の中にいた。
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