第11話 お店作り

-side リック-




 翌日、昨日のうちに、使用人の人が店の鍵を商業ギルドの人に貰ってくれていたので、早速、お店に行く。

 勉強はしばらくの間、店のことについてだけで良いらしい。昨日のうちにライが父上に掛け合ってくれたようである。

 一等地にあるだけあって、煉瓦造りの高級感あふれる綺麗な家だった。中に入ってみると、清潔感ある感じでリフォームもされているようである。



「うん。これはこれでいいけど……、どうせなら、店の中は自分で作りたいよね。」

「そうですね。リック様の経営する店の場合、家具がメインですから、そちらの方がアピールできるでしょう。」

「うん。となると……まずはあれからか。[クラフトスキル]!」



 俺がそう唱えると、床が全てフローリングになった。



「流石です。何度見ても、素晴らしいですね。ここまでのクラフトスキルの持ち主は中々いませんからね。」

「そうなの?他のクラフトスキル持ちの事あまり知らないから分かんないな。」

「通常は修復するためのスキルですからね。

 新しく、創造するには、それこそ修行を始めて、使い始めて10年はかかると言われています。

 10年かけて、作れたとしても、鍛治系スキルや建築系スキルには遠く及ばないのが通常です。それらに比べ魔力量や知識量が全然違いますから。」

「へー。じゃあ、俺って魔力多かったんだ。」

『当たり前だ。俺様が契約したくらいだしな。お前の魔力は透き通っていて美味いし、多い。』

「そ、そうなんだ。というか、魔力ってどうやって食べてたの?」

『普通にリックから放出されている魔力を食っていただけだ。

 そういえば、頼めていなかったが、魔力を与えられるようになって欲しいな。』

「与えるって、どうやって?」

『こう……、俺様に魔力を与える感じで。』

「……こうか?」

『そうだ!そう。ふぁーー!やっぱ美味しいな。主人の魔力。これからはできれば、定期的に頼む。』

「わ、わかった。」



 話が逸れてしまったが、続きをする事にした。モダンな高級家具というのがコンセプトなので、レイアウトはゆったりしていて、ものがあまりない方がいいと思ったので、備え付けの棚を解体をする。



「[クラフトスキル]解体!」



 ズドーーン!



「うおっ!失敗した。また考えなしにやっちまったな。これは……運び出すのが大変そうだ。」

「す、凄いですね。運び出すのは私がやります。」

『大丈夫だ、2人とも!リックから魔力を貰って、なんか力がみなぎっているから、俺様がなんとか出来そうだ。』

「う、うん。」「かしこまりました。」

『[ウィンド]、[ウィンドバリア]!』



 シルフがそう唱えると、棚が1箇所に集まってきて、ビュオオオーーー!という風が吹く音がして砕かれる。ものすごい勢いの風で砕かれているのに、外部への影響はない風の結界で守られている。



「うわ!すっ……すげえ!」

「複数魔法行使。これが……精霊の力。」

『やばいな。ちょいやりすぎた。力の加減が効かねえ。お前の魔力の影響がこれ程とは……。今なら国2、3個まとめて吹き飛ばせる気がする。』

「絶対やめて。」

『冗談だ……とはいえないのが、自分でも怖いな。ククク……!』

「どちらにせよ。この力。近隣諸国のパワーバランスが崩れるかもしれませんから、注意が必要ですね。」

「う、うん。そうだね。」



 ……シルフに魔力あげるのは、しばらくやめておこうか。



 --その後、シルフのおかげで、大分時間を短縮できた俺たちは、家具を置き、カウンターを整備し、次の日から店の営業を開始するのだった。





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