第3話 ピッカーー!
-side リック-
「えっと。スキルを発動する時は、魔力を体内に巡らせ、あとは気合……と。
よし。なんかできそうな気がする。
やってみようか。
[クラフトスキル]!はあああ!」
俺が謎の自信と共に、カラーボックスをイメージしながら、[クラフトスキル]と言葉を発すると目の前に白色の箱ができた。
「おお!出来た!すごい!!」
もちろん、魔力は消費するが、基本的にクラフトスキルで物を作るのにはイメージするだけで、いいようだ。
やっぱり、なかなかに便利なスキルだな。
「あー、でも。既にある本棚が邪魔になるなあ。いっそ解体とかできればいいんだけど。
やってみるか。[クラフトスキル]。解体」
今度は、どごおおおおお!と本が落ちる音がした。本棚の木枠が無くなったためだ。
解体された木枠はまとまって、俺の手元に勝手に積まれていた。おそらく、これもスキルの効果だろう。
「うわあーー!……びっくりしたー。
解体を使うときは、想定以上に規模が大きくなりそうだから、よく考えてから使わないといけないな。
ほら……やっぱり、床に穴が開いちゃってる。こういう場合は、[クラフトスキル]、修復。」
俺がそう唱えると、木の床が修復される。
その際にフローリングの床をイメージしたからだろうか?直した部分だけ、フローリングの床になっいて、ピカピカしていた。
「おお…!?もしかして、フローリングの床まで再現できるってことか?
だとしたら、このスキルすごいかも!?
[クラフトスキル]。床全体をフローリングに修復。」
ピッカ--!
次の瞬間、俺の部屋の床は、ぼろい木の床からフローリングへと変わっていた。
「おおーー!」
俺が、随分と開放感ある部屋の雰囲気に、変わったことに感心していると、ドタドタドタドタ……!!と何処かから足音が聞こえてきた。
「ど、どうした!リック。大丈夫だったか!?」
「あ、アラン兄さん。うるさかったよね。
ごめんごめん。」
「無事で良かった。
……って。えーーーーーっ!!!?」
どうやら、俺がとてもうるさくしながら作業していたので、心配して駆けつけてくれたらしい。
そう理解したところに、ドタドタドタドタ……!!すると再び音がした。
「どうしました。リック様!アラン様。
……っ。ぎゃーーーー!!」
今度は使用人である。ドタドタドタドry……!!
と、他の使用人やら家族やら、騎士やら役人やら……、家中の人たちが俺の部屋に集まって、驚きの声をあげて去っていく。変わり果てた綺麗な部屋に、家中大騒ぎだ。
「リック!!お前は天才だな!!
[クラフトスキル]で床をこのように修復できるなんて。俺の部屋も頼む。」
「あ、ずるい。俺の部屋も。」
手放しで俺のことを褒めてくれる優しい兄上たち。俺の肩を掴み、前後ろに揺さぶる。
嬉しいけど、あの……お力がお強いようで。
「アラン兄様。ディラン兄様。
落ち着いて。揺すらないでください。
肩がこわ…壊れるーーー!!」
その時、ゴン、ゴン!という音と共に母上の鉄拳制裁がが降った。た、助かった。
「全く。2人とも。リックちゃん。もちろん、嫌なら嫌と言っても構わないですからね。
ただ、よければこの屋敷中……リックちゃんの修復魔法をかけてくれれば、すっごく助かるのだけれど。」
「イエッサーー!!」
「まあ!ありがとう。」
決めた。まずは母上の部屋から修復を始めよう。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
さて、屋敷の修復の前にやるべきことがある。俺の部屋のかいぞ……ではなく片付けだ。さっきの続きをひと段落するまで、やった方がいいだろう。
「とりあえず、部屋に散らばった本は全部カラーボックスに入れちゃおうかな。
本当は、本を分類したり、本棚の高さを自由に変えられるように整理したいけど……あんまりやり過ぎて、床の修復が遅くなると母上と兄上達に無言の圧力をかけられるから今は後回しにしたほうがいいな。
それに、母上が終わったらご褒美くれるって言っていたし、早めにやるに越したことはない。」
独り言をぶつぶつ言いながら、仮で使うカラーボックスを並べて、適当に本を詰めていく。
「うん!床と本棚が違うだけで、部屋の雰囲気がガラッと変わったな!
あとは、ぱぱっと、簡易的に机とゴミ箱を作り直してから……、うん。とりあえずはこれでいいかな。
ん…??なんか急激にダルさと眠気が。ふぁーあ。」
とりあえず、自分の部屋の家具を作り終えた俺は実は使える魔力が限界だったらしく、寝落ちてしまった。
初めてにしては上出来だろう、と思い心地の良い寝息をたてながら。
明日は屋敷を修復しまくりだな。
これでうちの生活事情も少しは改善するだろう。
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