30 白いライフル銃になりました。

 痛い、痛い、痛い、痛い―




 身体、もう、粉々だよ。




 衛星核爆弾が、直撃して、酷い目にあった。




 宇宙を、粉々になった僕の肉体が、塵じりに、飛び交っている。




 再生しないとな。




 ニョロ、ニュロ、ニョルロン




 粉々となった肉たちが、寄せ集まり、再生していく。




 「よし、再生できたぞ。」




 僕は、周囲をみわたした。




 人工衛星や宇宙ゴミが、ぐるぐると、地球の周りをまわっていた。




 地球は、灰色だ。




 「地球は、灰色だった。」




 僕は、呟いた。




 「君が海を蒸発させるまでは、青色だったんだよ。」




 破滅ちゃんは、再生した僕に近づいた。




 「おはよう。破壊くん、元気してる?」



 

 僕の顔を覗き込んむ。




 ポロ、ポロ、ポロ




 涙が流れてきた。




 どうしてだろう。




 「おえええ。」




 ゲボを撒き散らした。




 僕は、殺ったんだ。




 金髪碧眼の女の顔が脳裏に浮かんで、ストレスで、吐いた。




 ごめん。




 宇宙統合開発人工衛星の乗組員の人たちが頭に浮かんで、苦しい。




 「君は、止まれないよ。」




 破滅ちゃんは、吐き捨てるようにして、言い放った。




 「ああ。」




 僕は、わなわなと、震える事しかできない。




 「あなたが、殺ったのよ。覚悟はできてたでしょう?全部、滅ぼしつくすまで、終わらないのよ。」




 破滅ちゃんは、淡々と、甘美な声で、告げる。




 「震えているの?」




 破滅ちゃんは、目を細めた。




 「大丈夫。あたしがいるわ。」




 破滅ちゃんは、僕を優しく後ろから、抱きしめた。




 「はあ、はあ、はあ―。」




 呼吸を整える。




 破滅ちゃんの冷たい身体が心地よかった。




 赤ん坊のように、弱弱しく、震えも止まらなかった。




 破滅ちゃんに、宥められ、温もりを肌で感じることで、漸く、正気を取り戻しつつあった。




 「破滅ちゃん。ありがとう。」




 温かい涙が零れた。




 「いいのよ。」




 破滅ちゃんは、優しく僕の頭を右手で撫でた。




 ビュシュゥゥゥゥンンン




 「って、あああああ。」




 地球に引っ張られてくうううう




 無重力じゃ、なかったのかよ。




 「飛ぶんだ、破壊くん!。」



 「どうなってんだあ?」




 僕は、叫んだ。




 「高度400kmといっても、地球の10分の9の重力は残ってるのよ。」




 破滅ちゃんは、答えた。




 「どうして、人工衛星の中は、無重力だったんだよおお。」




 僕は、疑問を口にした。




 「人工衛星が、第一宇宙速度 秒速7.9kmで、ぐるぐると、地球の周りを回ってたからだよ。」




 破滅ちゃんは、返した。




 そりゃマズい。




 地球に落っこちちまう。





 シュルルルルル



 

 白き焔、燃ゆる翼を背中に、上昇する。




 「上手よ。」




 破滅ちゃんは、宙を上昇する僕をみて、手を叩いた。




 「破壊くん、痛かったでしょ。まだ、宇宙空間に人がいるのよ。ぜんぶ、壊してぐちゃぐちゃにしないとね。」




 破滅ちゃんは、右目を閉じてウィンクした。




 「ほら、あれをみて。」




 破滅ちゃんは、地球の周りをグルグルと、回る人工衛星を指さした。




 「低軌道 地上400㎞~2000㎞をぐるぐる回る人工衛星は、3万基ほどあるのよ。全部、ぶち壊しましょ。」





 破滅ちゃんは、両手を横に広げて、ゆっくりと一回転した。




 「どうやって壊すんですかね?」




 僕は、おそる、おそる、質問してみた。



 

 「うむ。破壊くん顔面砲で、大破壊やで。」




 破滅ちゃんは、ボソリと、呟くように、声を出した。




 顔面砲だって?




 なんだ、そりゃ。




 「破壊くんで、新兵器開発すっぞ、図工やでええ。」




 破滅ちゃんは、二ヤリと笑った。




 キララリーン



 

 破滅ちゃんは、胸から、大きな作業台を出した。




 「台の上に寝なさい。」




 破滅ちゃんは、命令した。




 「はい。」




 僕は、厳かに返事をして、台の上に寝転がった。




 「ギコりと、切開しますわよ。」




 破滅ちゃんは、胸から、ナイフを取り出し、僕のお腹を開いた。




 「綺麗な内臓ね。ピンク色で美しい、胃と大腸、小腸、切り取って素材にするね。」




 ギコ、ギコ、ギコ、ギコ―




 破滅ちゃんは、僕の胃と小腸、大腸を切り取る。




 ニュロロン!




 再生する。




 ギコ、ギコ、ギコ、ギコ




 再生すると、また、切りとってを何回も繰り返した。




 「かわいい胃だね。」




 破滅ちゃんは、胃の中に手を突っ込んでグリグリした。




 うう、ムカムカしちゃうよお、おええってなって気持ちいよお。




 「網目にしてっと。」




 破滅ちゃんは、僕の胃と小腸と大腸を網目状にした。




 「ミキサーに入れて攪拌しましょ。」




 破滅ちゃんは、胸からミキサーを取り出し、超高速回転させて、網目状となった小腸と大腸と胃を攪拌した。




 「よし。いい感じね。」




 破滅ちゃんはミキサーから僕の粉々となった胃と小腸と大腸を取り出す。




 「鍛えるぞ!。」




 破滅ちゃんは、胸から、装置を取り出した。



 

 「核融合だ。5億℃、出る。」




 破滅ちゃんは、笑った。




 ボオオオオオオオオオ




 青白く輝く焔が、キラキラと眩しい。




 ひええ、丸焦げになっちゃうよお。




 「セットするぞ。」




 破滅ちゃんは、僕の攪拌された胃と小腸と大腸を中に入れた。




 ブィィィィィィン!




 熱されていく。




 「熱い内に叩けだ。」




 破滅ちゃんは、胸からハンマーと金属の台を取り出すと、ドロドロに溶けた僕の小腸と大腸を、台に流し込んで叩きつけた。




 途轍もない速度で叩きつける。




 一秒に3億回は叩いているだろう。




 カン、カン、カン、カン―




 火花が飛び散る。




 僕の小腸と大腸は、3ミリほどの小さな白い糸になった。




 「君の胃と小腸と大腸が凝縮されてるんだよ。」




 破滅ちゃんは、僕の耳元で囁いた。




 ズドンノシュパドンドン




 破滅ちゃんは、左手で、腹から再生する小腸と大腸を、一秒にテニスコート一面分切り取って、胃をパチンパチンと切り取っては、核融合炉に突っ込む。




 カン、カン、カカン、カン―




 一秒に3億回のスピードで、カンカンとハンマーを振り下ろす。




 白き糸が、1000㎞ほどできた。




 凄まじい長さであり、強度だ。




 「次は、肺と心臓を取り出すか。」




 ドクン、ドクン、ドクン




 高鳴る心臓の音。




 僕は、破滅ちゃんに心臓を抉られるのを待っているのだと気づいた。




 脳が破滅ちゃんを欲している。




 抗いようはない。




 「ぐりょっと。」




 破滅ちゃんは、引き裂かれた腹から右手を突っ込んだ。




 ギュウウウウウ




 「どう、気持ちい?」




 破滅ちゃんは、ギュウっと僕の心臓を掴んだ。




 心臓が握られ、血液が流れだし、激しい熱を感じる。




 ボキ、ボキ、ボキり。




 「骨、折っといたよ。」




 破滅ちゃんは、目を見開いて、かわいく笑みを浮かべた。




 胸骨と肋骨が折られ、取り出された。




 「ボキボキボキっと。」




 破滅ちゃんは、胸骨と肋骨を、右手をグーにして、粉々に砕いた。




 「入れとこーっと。」




 核融合炉の中に、粉々となった胸骨と肋骨を入れた。




 火はまだ、ついていない。




 「心臓くんも、入れよう。」




 破滅ちゃんは、僕の心臓を取り出すと、核融合加熱器の中に入れた。




 ニュロリン




 心臓が、複製再生した。




 「お、再生はやいじゃん!。やるう!。」




 ギュウウウウ。




 破滅ちゃんは、再生したての心臓をギュっと取り出した。




 ドクン、ドクン、ドクン




 喜んでいる心臓くん。




 「かわいい、心臓だね。」




 チュ。




 破滅ちゃんは、僕の心臓に優しく、キスをした。




 グギュウウ




 破滅ちゃんは、僕の心臓を握りつぶして、核融合加熱装置に入れた。




 血がだらりだらりと、流れ落ちる。




 「んん、綺麗な血ねえ。」




 破滅ちゃんは、指についた血を舐めた。




 グニョ




 「どう?肺が、めくられるのも、クセになるでしょ?」




 破滅ちゃんは、僕の身体から肺を手で器用に、めくって、取り出した。




 「息できないね。」




 破滅ちゃんは、にこりと笑った。




 破滅ちゃんの冷たい手が、僕の温かい肺をさらに熱くする。




 肺からは、血がしたたり、白い破滅ちゃんの手を赤く染める。




 ムニュ、ムニュ、ムニュ―




 破滅ちゃんは、僕の肺を、揉んだ。




 気持ちよくて、くすぐったい。




 「ふへへへへえ。」




 僕は、二やついた。




 「よいせっと。」




 破滅ちゃんは、僕の肺を、核融合炉に入れた。




 「後、1億個、胸骨、肋骨、心臓、肺がいる。貰うよ。」




 破滅ちゃんは、何度も僕の身体から、胸骨、肋骨、心臓、肺を取り出した。




 取り出されては、再生するのだ。




 取り出した、胸骨、肋骨、心臓、肺は、核融合炉の中に入れられる。




 「よしっと、もういいよ。」




 破滅ちゃんは、どろどろに血が噴き出す僕の胸をみて、舌で唇を舐めた。




 僕は白目を剥いて、失神していた。




 「よし。起動するか。」




 破滅ちゃんは、核融合炉のスイッチを入れた。




 ボオオオオオオオオオ



 

 青白く輝く焔に焼かれる僕の、胸骨、肋骨、心臓、肺。




 「どっろどろね。」




 破滅ちゃんは、焼かれた僕の胸骨、肋骨、心臓、肺の混ざった液体を取り出す。




 日に当たった雪のように白くに輝いている。




 ジュワ、ジュワ、ジュワ




 「うん。いい感じね。」




 破滅ちゃんは、胸から、弾丸が象られた鋳型を取り出した。




 ジュウウゥワア




 破滅ちゃんは、真っ白に輝く液体を、鋳型に流し込んでいく。




 「じゃんじゃじゃああん。冷蔵庫おおおお。」



 

 破滅ちゃんは、胸から、四角く白い冷蔵庫みたいな巨大装置を取り出した。




 「ポイっと。」




 破滅ちゃんは、冷蔵庫を開けた。




 白い煙が出ている。




 「マイナス273℃の力で、簡単に冷却できる優れものさ。」




 破滅ちゃんは、鋳型を冷蔵庫の中に入れた。




 「よし。できたかな?」




 数秒後、冷蔵庫を開け、鋳型を取り出す。




 パカ。




 鋳型が開かれる。




 「できてるね。綺麗だ。」




 破滅ちゃんは、満足そうに頷いた。




 美しく真っ白な、弾丸が出来ていた。




 「次は、肝臓、腎臓、膀胱、膵臓をいただくよ。」




 破滅ちゃんは、僕の顔を白く冷たい両手で、包み込んで、覗き込んだ。




 「もらうよ?」




 破滅ちゃんは、僕の腹に両手を入れて、肝臓をすくいあげる。




 暗赤色にぷにぷにと輝く肝臓が、ムニュムニュと破滅ちゃんの指で摘まれ気持ちい。




 「すっごい弾力ね、柔らかくて、ぷにぷに。」




 破滅ちゃんは、胸から、黒い板を取り出した。




 肝臓を、黒い板の上に載せた。




 「伸ばしましょうか。」




 破滅ちゃんは、胸から、棒を取り出した。




 「グリグリっと。」




 破滅ちゃんは、一秒に5億回ほどのペースで、棒を肝臓に転がす。




 肝臓は、引き延ばされて、布みたいになった。




 「よし。いい感じね。」




 破滅ちゃんは、右手の人差し指を立てて、引き延ばされた肝臓をクルクルと回す。




 破滅ちゃんは、引き延ばされた肝臓を、手首スナップをきかせて、ポイっと核融合炉の中に放り込んだ。




 「ナイスシュート。」




 パチ!




 破滅ちゃんは、パチンと指を鳴らして、右目を閉じ、微笑んだ。




 「腎臓ちゃんと膀胱くんをガシっと取るよ。」




 破滅ちゃんは、僕のお腹に両手を入れて、右手と左手に1つずつガシっと掴み、取り出した。




 尿管とともに、膀胱も、へその下あたりから、浮き出てくる。




 「尿管と一緒に膀胱くんもついてきたね。」




 破滅ちゃんは、膀胱を、グっと握った。




 ピュルル




 膀胱は伸縮し、中に溜まっていた、透明な、おしっこが、勢いよく、尿道から飛び出した。




 「ふええ、恥ずかしいよお。」




 僕は、顔を両手で隠した。




 「顔、真っ赤だよ。かわいい。」




 破滅ちゃんは、僕の顔を覗き込んで、右手の人差し指で、右頬をツンツン押して、ニヤニヤ笑った。




 「グリグリしちゃうね。」




 破滅ちゃんは、胸から、透明なボウル容器を取り出した。




 「ポイポイっとしちゃって―。」




 破滅ちゃんは、腎臓と膀胱をボウルの中に突っ込んだ。




 「突いちゃってえええの、」




 胸から、めん棒を取り出すと、ボウルの中にある腎臓と膀胱をブスブスと突いて潰していった。




 血が噴き出し、ボウルは赤く染まる。




 「コネコネえええ。」




 破滅ちゃんは、両手をボウルの中に入れて、コネた。




 コネ。




 コネっと、コネコネ。




 腎臓と膀胱がコネられちゃってる、てええええ。




 「いい感じの生地ができた。」




 破滅ちゃんは、額を右前腕で、拭った。




 

 ピカ、ピカ




 ボウルの中には、綺麗な肌色の生地が出来ていた。




 ピカ、ピカと光っている。




 「核融合炉に入れるよ。」




 ボオオオオオオオオオ



 

 青白く燃える焔に焼かれる腎臓と膀胱の生地。




 「膵臓くんも、取っておかないとね。」




 破滅ちゃんは、僕の腹に手を入れて、十二指腸から膵臓を剝ぎ取った。




 「かわいい、膵臓だね。」




 破滅ちゃんは、ピンクで細長い、僕の膵臓をゴッソリと、外に取り出す。




 膵臓はプニュプニュと動き、冷たく白い手に、揉まれる。




 台の上に載せられる。




 「細かく切り刻んで、揉み揉みするね。」




 破滅ちゃんは、胸から包丁を取り出した。




 タン、タン、タン、タン




 細かく、切り刻まれる。




 「粉々になったね。」




 破滅ちゃんは、粉々になった膵臓を両手で集めて、握った。




 「コネコネしちゃうぞお。」




 破滅ちゃんは、膵臓をコネて、生地にした。




 「よい生地が出来た。核融合炉に、ポイっとするね。」




 破滅ちゃんは、膵臓で出来た生地を、核融合炉の中に、ポイっと入れた。




 「ドロりと溶けなあ?」




 破滅ちゃんは核融合炉のスイッチを入れた。




 ボオオオオオオオオオ




 青白く輝く焔に焼かれている。




 「溶けてるねえ。」



 

 破滅ちゃんは、肝臓、腎臓、膀胱、膵臓が、ドロドロに溶けていく様子みて、微笑んだ。




 「いい感じ。」




 破滅ちゃんは、核融合炉から、ドロドロに溶けた腎臓、肝臓、膀胱、膵臓の液体を取り出した。




 白くキラキラと輝いている。




 「カンカンしますか。」




 破滅ちゃんは、ハンマーを胸から取り出した。




 カン、カン、カン




 臓、肝臓、膀胱、膵臓を、叩く、叩く、叩く。




 伸ばされていく。




 「いい布だ。」




 破滅ちゃんは、ニコやかに、頷いた。




 白くキラキラと輝く布が出来ていた。




 「腕と、足をちょーーーんぎぃりまちてえええ、っと。」




 ゴニュグリュリュゴチ




 肩が、360度、くるくる雑巾を絞るように、9000回ほど捻られて、骨が外れ、皮と骨が千切れました。




 「腕、取れちゃったねえ。むふふ。」




 破滅ちゃんは、僕の両腕を、両手にそれぞれ持ち、ニッコり笑った。




 「ポイっと。」




 破滅ちゃんは、両腕を、核融合炉の中に、入れた。




 「股割りハンターがやってまいりましたー! 両足がクリュりと千切れますよ! おめでとう!。」




 まったく、何がめでたいのかわからん。




 目をキラキラさせて、僕の両足を広げていた。




 ゴキッ




 「いい音―!。」



 

 股の筋が切れたのだろう。




 思いっきり広げられて180度、開脚させられているのだ。




 「限界突破、開脚しちゃええええっていいよおお。」




 ゴチりんこ!




 うぎゃああああああ。





 足が!




 両足合わせて360度回転させられちゃったよお。




 うえええん!



 

 両足が、真っすぐと、反対のあらぬ向きに旋回して、お尻から後ろに、伸びている。




 足の付け根は、ふにゃふにゃで、骨も筋肉や筋もやられている。




 「もっと、もっと、回転させてあげーたいよ。グルっと、縦横に360度、回転してくよお。」



 

 グリ、グリ、グロロ




 脚があああ!




 縦横無尽に、両足が、クルクル回転し、骨が外れ、肉が千切れていく。




 まるで、高速回転するヘリコプターのプロペラのように、両足が、ぐるぐるぐるぐる、回されている。




 「ポッキポキ。」




 破滅ちゃんは、目元を細め、楽しそうに、僕の足を高速回転させる。




 「あらら、千切れちゃった。」




 破滅ちゃんは、目と見開き、口を開けて、僕の両足を、右手と左手に、それぞれ持って、取り上げた。




 「ポイっと。」




 両足は、核融合炉の中に、投げ入れられた。




 ボオオオオオオオオオ




 青白き焔に焼かれる僕の両手両足




 「どろどろねえ。」




 破滅ちゃんは、核融合炉から、どろどろな液体となった僕の両手両足を取り出した。




 液体は白く輝いている。




 「延べ棒にするわよお。」




 破滅ちゃんは、胸からハンマーを取り出すと、叩きまくった。




 「形を整えてっと。」




 破滅ちゃんは、器用に、ハンマーで白く輝く液体を叩いて、延べ棒にしていく。




 「うん。いい感じね。」




 美しい輝きを放つ白き延べ棒が、出来上がっていた。




 「破壊くんの、かわいい顔面、ちょうだああいい!。」




 破滅ちゃんは、台に乗せられ上向きに寝転がっている僕の顔に上から両手を添えた。




 「目ん玉から、ほじくって、取ってあげるね。」




 破滅ちゃんは、顔色一つ変えず、僕の両目に、優しく指を奥深く入れて、摘み取った。




 「キレイな目、宝石みたいね。」




 取り出した両目を、両手で水を掬うように、手の平に乗せて、じっと、覗いた。




 「よいせっと。」




 破滅ちゃんは、僕の両目を核融合炉の中に、そっと置いた。




 「唇を剥ぎ取って、鼻を剥いでやろう!喜べ!。」




 破滅ちゃんは、僕に顔を近づけた。




 ガブリ、ガブ、ガブ




 唇が、噛み千切られた。




 下唇、上唇の順に、千切られて、口の中に入った。




 「ペッ。」




 破滅ちゃんは、噛み千切った唇を、台の上に吐き出した。


 

 台には、血と混じり合った僕の唇が、ふにゃり、と不格好に乗せられた。




 「ガブり。ガブガブ。」



 

 破滅ちゃんは、僕の鼻をかじって、口に入れた。




 「ぶへえ。」




 破滅ちゃんは、口から、僕の鼻を吐き出した。




 台に、血塗れで、唾液に包まれた僕の鼻が、放り出された。




 「皮を剥いでおきましょうか。」




 ブシュウ!




 破滅ちゃんは、胸からナイフを取り出し、顔の真ん中に突き刺した。




 「うん、痛そうね。いい気分だわ。」




 破滅ちゃんは、顔面の抉られた僕をみて、愉快そうに、何度も刺した。




 ガ、ガ、ガリ、ガ、ガリリ




 破滅ちゃんは、ナイフで、僕の顔面の皮を、切り取っていく。




 皮が剥がれてくうううう。




 筋肉が剥き出しとなり、血が噴き出し、神経や、脂肪が目にみえる。




 痛々しい姿だ。




 「へへ。面白いねえ、これが、表情筋かあ、顔面神経かあ。」




 破滅ちゃんは、目の周りや、口周り、顎や頬、おでこの筋肉を、右指で、なぞった。




 ぞくりと、する性の感覚と、妙な痒みを感じた。




 ヒリヒリした痛みが、気持ちいい。




 「えい、えい、えーい。」




 破滅ちゃんは、顔についている筋肉を容赦なく、剥ぎ取っていった。




 グリュ、バチン!




 顔面筋肉が破滅ちゃんの手に握られ、引き千切られ、断絶し、裂けていく。




 表情も上手く作れない。




 神経も千切られ、痛みが顔全体に響き渡り、真っ赤に腫れあがる。




 ムニュムニュニュ




 引き千切られた顔面筋肉が痛みや、苦しみの快楽で、動き回り、表情を作り出そうとして動いている。




 アへ顔を表現した動きで、踊っている。




 筋肉ダンスだ。




 「うん。全部とれたな。」




 破滅ちゃんは、顔面筋肉や脂肪、神経を全て剥ぎ取り終えた。



 

「耳剝ぎ取り、しまーす!。」




 ゴニュ!




 破滅ちゃんは、僕から耳を、千切った。




 両手に、それぞれ、耳を持っている。




 裂け目は、神経や筋肉、脂肪が剥き出しとなり、血がだらだらと流れている。




 「核融合炉行きだね。」




 僕の耳は、核融合に投げ入れられた。




 「骨になっちゃったねえ。」




 僕の顔面は髑髏になった。




 破滅ちゃんは、笑っていた。




 「歯を全部、抜いておいてっと。」




 破滅ちゃんは、胸からペンチを取り出すと、一本、一本丁寧に、抜歯していった。




 麻酔なしだ。



 

 カラン、カラン、カラン




 破滅ちゃんは、僕の歯を握ると、台に向かって手を開き、落とした。




 歯の無くなった頭蓋骨には、黒く長い髪の毛が生えて、脳だけが入っている。




 「よし、ポイするか。」




 破滅ちゃんは、僕の頭蓋骨の眼窩をみて、にこやかに微笑んだ。




 ゴリィ、ゴキ




 破滅ちゃんは、僕の頭蓋骨を脊椎から、外して、持ち上げた。




 「えい!。」




 破滅ちゃんは、頭蓋骨を核融合炉へ放り込んだ。




 カチ!




 スイッチを入れると、核融合炉が起動した。




 ボオオオオオオオオオ



 

 青白い焔に燃やされ、頭蓋骨と眼球、唇、耳、顔面筋肉が溶けていく。




 脳がとろけるうううう。




 「どろどろ頭蓋骨と顔面素材のマリアージュだなああ!。」




 破滅ちゃんは、とけた頭蓋骨と顔面素材マリアージュを、台に流し込んだ。




 「ぺチこら!、ぺチこら!。」




 破滅ちゃんは、叫びつつ、ハンマーで、どろどろとなった頭蓋骨と顔面素材のマリージュを叩く。




 「うん。かわいい顔だ。」




 破滅ちゃんは、満足そうに、微笑んだ。




 僕の頭蓋骨と顔面素材のマリアージュは、お面になっていた。




 白く輝くお面だ。




 僕の顔をしている。




 繊細で美しい白色を放っている、ガラスのように透き通った素材だ。




 「脊椎を引っこ抜いてっと。」




 破滅ちゃんは、もう部位が殆ど残ってない、カスカス僕の背中から、脊椎を、引っ張った。




 首の辺りから、引っ張られている。




 スポン!




 ビンから蓋が取れた時のような、音と共に、脊椎が、抜け出た。




 「よし、取れた!、いい脊椎だ。元気で今にも、動き出しそうだ。」




 破滅ちゃんは、僕の脊椎を撫でて、匂いを嗅いだ。




 「むっとした匂いが、鼻腔を刺激して、甘美的い!。」



 

 破滅ちゃんは、目をつむって、脊椎の匂いを堪能していた。




 「舐めてみよう。」




 破滅ちゃんは、僕の脊椎を舐めた。




 「ふうん。これが、君の脊椎の味かあ。」




 破滅ちゃんは、しみじみと、した様子で、呟いた。




 「しょっぱくて、少し甘いね。」




 美味しそうに、愛おしそうに、脊椎を舐めていた。




 「核融合炉に入れるね。」




 破滅ちゃんは、僕の脊椎を核融合炉に、落とした。




 ボオオオオオオオオオ




 青白き焔に焼かれる。




 どろどろに溶けた脊椎が、台に流される。




 「カチンカチンするぞ。」




 破滅ちゃんは、ハンマーで、白く輝くどろどろ脊椎を叩く。




 カチン、カチン、カン!




 脊椎は、白くキラキラと煌めく、ポールになっていた。




 美しい、棒である。




 「仕上げに入るか。」




 破滅ちゃんは、少し、大きく息を吸った。





 「加工しちゃうぞお。」




 破滅ちゃんは、胸から、工作加工道具一式を取り出した。




 台の上に、白く輝く、糸、布、延べ棒、お面、棒を並べて置いた。






 「核融合溶接装置で、繋げ合わせてっと。」




 ジュルルルルルルルギュギュィギュルル




 白青白い光が発せられている。




 白く輝く素材が、溶接されていく。




 棒状の機械だ。




 器用につなぎ合わせている。




 ライフルだろうか?




 白く輝く、ライフル銃のような形になってきた。




 「仕上げに、削って形を整えてっと。」




 グルグル回転する装置で、削ってさらに形を整えていく。




「1秒に、1兆回、回転で、よく削れるぜ。」




 破滅ちゃんは、丁寧に、綺麗に、削っていった。




 「よし、出来た、顔面砲ライフルだ。」




 破滅ちゃんは、出来上がった白く輝く、ライフルを右手に持って持ち上げた。




 キラキラと煌めいている。




 「破壊くん、このライフルは、君なんだよ。」




 破滅ちゃんは、死にかけて横たわっている再生中の僕を見下ろして笑った。




 「僕って?」




 おそるおそる、きいた。




 「痛みや経験を共有してるってことだよ。」




 破滅ちゃんは、白いライフルを舐めた。




 背中をなぞるように、舐められている感触を憶えた。




 「うぅ。」




 思わず、官能的な声が、漏れた。




 「わかったでしょ?」




 破滅ちゃんは、ライフルに語りかけた。




 まるで、耳元で、囁かれているかのような感覚だ。




 吐息を感じる。




 「よし。バンバンと弾丸打って、人工衛星ぜーんぶ、壊滅させるわよ。」




 破滅ちゃんは、ニッコリと笑った。

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