23 核爆弾を耐えて、爆して、世界の大半破滅。

 「ひええ。僕、どうなるでしゅかあ?ふへえ。」

 不安になってきたぞ。




 「お、飛んできたみたいだぞ。無事を祈る、じゃあな。」

 破滅ちゃんは、どこかへ消えて行ってしまった。




 僕は、縄で縛られ、鉄棒に吊るされているので、身動きが取れない。




 「破滅ちゃあああああん。おいてかないでよおお。」

 涙が流れてくる。




 破壊くん爆撃特攻ミサイルは、ずっと、発射されつづけている。




 爆発し、何度も死に、分裂複製を繰り返す。



 

 痛い、なんてものではない、キリキリずしりと重く、ガンガンと身体を破壊され、爆発していくのが、わかる。




 身体が、千切れ、粉々になっていく感覚。




 繰り返される、死んでも、死んでも、また、死ぬ。




 ヒュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ、ボガガーンンンン




 途轍もない、爆音、光が、辺りを覆った。




 まったく、目がみえない。




 熱い、熱すぎる。




 焼けこげているのか?




 おかしい、変だ。




 身体が、再生できないぞ。




 どうなっているんだ。




 目を開くと、キノコ雲が、立ち上っていた。




 激しく動き回る業火が、僕を、焼き尽くそうとする。




 街は、荒野となって、川の水は干上がっていた。




 「いったいなんなんだ。」

 僕は、嘆いた。




 ヒュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ、ボガガーンンンン




 また、空から降って来る。




 とてつもない、爆音、光が、あたりを包み込んだ。




 なんて、威力だ。




 世界が、激震している。




 世界中を埋め尽くそうとしていた、僕の肉体たちは、みるみるうちに、小さくなっていく。




 ヒュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ、ボガガーンンンン




 あちいいいいいいいいいいいいいい、身体がああああああああ、いやあああああああああ。




 はじめて、体感する、ヤバい感じ。




 途轍もない、太陽の力を感じていた。




 「ヤバいよ、核爆弾は。あたまがおかしい。」

 僕は、思わず、笑ってしまった。



 

 どうしようもなく、おかしくなって、笑みがこぼれてしまうのだ。




 「人類も、本気だな。僕を、殺る気だ。」

 僕は、歯を食いしばった。




 タブレットのディスプレイからアナウンスが一部始終が報道されている。




 「やりました、肉海も、どうやら、核爆弾には、耐えられない様子。人類は勝利できそうです。」

 ニュースキャスターは、安堵と、興奮の入り混じった声で、報道する。




 「なめやがって、僕の痛みなんて、何も知らないくせに。」

 僕だって、生半可な覚悟で、やってるわけじゃないんだ。




 殺ってやるよ。




 核爆弾も、全部、まとめて、飲み込んで、滅ぼしてやるんだよ。




 みてろよ、人類。




 とは、いったもののどうすりゃいいんだ。




 核爆弾の威力は、尋常じゃないし、身体は溶けなくなっていく一方だ。




 爆撃特攻ミサイルの数も減っていく。




 「生き残りたい。どうすれば、乗り越えられる?」

 僕の体内で、生きようという力がはたらく。




 どうにかして、耐え凌げ。




 次第に、肉海の表面が、柔らかく、硬くなっていく。




 脱皮か?




 辺りに、僕の抜け殻が、溢れ始める。




 高温にさらされ、衝撃を、味わうたびに、皮がめくられ、新しい皮膚が生成されていく。




 痒い、痒い、痒い、痛い―



  あまりの気持ち悪さに、転げまわり、のたうちまわる。




 うぎゃああああああああああ、もういやだ、おかしい、おかしいいよおおおおお。




 頭のおかしくなる、感覚に襲われ、神経を潰して、無になりたいと願った。




 空だ。




 諸行無常だ、ただ、何もない。




 痛みもない。




 チーン。




 「痛くないぞ?熱くない―、どうしたんだろう。」

 核爆弾が、心地いい、刺激に代わっていった。




 身体が焼けなくなっていた。





 「なんという―。肉海は、核爆弾でさえ、耐えてしまいました。あたしたちに未来はあるのでしょうか?人類に明日は来るのでしょうか?。」

 ニュースキャスターは不安と、恐怖の入り混じった泣きそうな声で、報道する。




 「わかるぞ。世界がどうして、核爆弾を、ほしがるのかが。」

 僕は、呟いた。




 「コワいんだよな。未知の災害に、滅亡しちまうのが。わかる。人類が、僕のことを虐げる理由も、よくね。ただ、もう、いい子はやめだ。」

 僕は、涙を流した。




 「核爆弾に罪はない。お前らは、僕を殺したいだけだ。除け者にして、排除したいだけだろ?」

 僕は、唇を噛んだ。




 「本当に、僕を、排除する気なんだな―。僕の代で、すべてを終わらせてやるよ。」

 僕は、核爆弾を、飲み込んでいく。




 身体の中に取り込んでいく。




 「僕は、許してほしかった、この世界に生きてることを、肯定してほしかったんだ。」

 僕は、核爆弾を、全て、食べて、吸収して、自分にした。




 「ありがとう、世界。」




 ドッカーン!




 世界中に、充満していた僕の肉海が、いっせいに爆発した。




 世界中の都市や街々は、粉々に破壊され、戦後、最も多くの人々が死んだ。




 世界の重要な都市は、完全に破壊され、人口の8割は消えた。




 人類 70億人死亡



 動植物 5割絶滅

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