22 世界中のえらい人を、殺すライブ配信。

 「破壊くんが、いっぱいだね。」

 破滅ちゃんは、僕の耳元で、囁いた。




 「きみたち、死ぬんだよ。産まれてから、すぐ死んでしまう命。」

 破滅ちゃんは、少し、声のトーンを下げて、言った。




 「でも、世界は、産まれてきてすぐに死んでしまう理不尽や、悲劇で溢れてる。」

 破滅ちゃんは、続けた。




 「あたしたちは、死んでも、生き返れるからいいよね。ふつう、命は一度きりだ。」

 破滅ちゃんは、目を閉じて、開け、遠くをみた。




 「どうしようもない、理不尽が世界には溢れている。今から起こる、世界への、爆撃も、どうしようもない天災だ。」

 破滅ちゃんは、僕の肩を優しく触った。




 「あたしたちは、地球を終わらせるが、心が消えることはない。」

 破滅ちゃんは、空を見上げた。




 「人類がいずれ、地球から飛び立って宇宙で暮らすようになることも、電子化、量子化されていくことも知っている。」

 破滅ちゃんは、意味のわからないことを話始めた。




 「じゃあ、どうして、滅ぼすの?」

 僕は、首を傾げた。




 「あたしが、滅ぼしたいからだ。」

 破滅ちゃんは、答えた。




 破滅ちゃんに、だったら、滅ぼされてもいい気がした。



  

 「革命を起こしても、恨みや憎しみを生み出し、さらなる悲劇を生み出すだけだ、かと言って、世界が、よくなるわけでもない、だったら、一度、終わらせた方が、いいんだ。」

 破滅ちゃんは、続けた。




 「身勝手すぎるよ。」

 僕は、嘆いた。




 「いいんだ。きっと、わかる時が来る。ほんとうの愛とは、幸せとは、いったいどこにあるのだろうね。」

 破滅ちゃんは、優しく、微笑んだ。




 わからないよ、破滅ちゃん。




 僕には、わからないんだ、けれど、僕は、やらなくちゃならない。




 世界を滅ぼすことで、きみが満足するんだったら、やるよ。




 「どうだっていい。兎に角、滅ぼそう!、やろう、肉海爆撃を、僕は、何度だって死ぬ覚悟はできてる。はやく、死にたいくらいだ。」

 僕は、笑った。




 「あら、かっこいいこというわね。惚れ直したよ。うふふ。」

 破滅ちゃんは、恍惚な表情を浮かべて、僕を胸に抱いた。




 破滅ちゃん―、頭の中が空っぽになる、頬が緩んで、ポワポワする。




 「なに、二やついてんだ、てめえ、浮かれてじゃないわよおおおおおお。」

 破滅ちゃんは、僕の顔面を殴った。




 ビュウウウウウウウンンンン、キラン―



 

 顔面が、遠くへ飛んでいき、消えた。




 ニョキ




 「また、生えてきやがってよおおお。」




 バシンッ




 新しい、顔が遠くへ、飛んでいく。




 バシン、バシン、バシン―




 30回くらい、顔を殴られては、再生した。




 「ふう、面白い、サンドバックねえ。」

 破滅ちゃんは、少し、息を上げて、笑った。




 「へえ、どうも。」

 破壊くんは、頭を下げて、上目に破滅ちゃんをみた。




 「ははは。」

 目が合って、二人は、笑った。




 「よし、5000万の破壊くんを全部ミサイルにします!」




 キラる、キラ、キラる




 破滅ちゃんは、分裂して、増えました。




 5000万体の僕に、大して、5000万人破滅ちゃんがいます。




 「爆撃ミサイルになっちゃえよおおおおお。」

 破滅ちゃんは、僕を爆弾漬けにして、ミサイルに、投入しました。




 ミサイルの弾になりました。




 5000万台、僕が入ったミサイルが、立ち並んでいます。




 「絶景だな。」

 破滅ちゃんは、5000万台のミサイルが並ぶ光景をみて、気分よさそうに、笑った。




 ルラき、ルラ




 5000万人いた破滅ちゃんは、一つに戻っていた。




 「あの、僕は、ミサイルにならないでいいんでしょうか?」

 どうしたわけか、僕だけ、ミサイルにならずに済んだ。




 破壊くんから、産まれた分身なのに、どうしてだろう、というか、破壊くんは僕なのに。




 「おまえは、自分が、ミサイルで、死ぬのを、体感してけよ。」

 破滅ちゃんは、告げた。




 「5000万体の死の苦しみを味わう、姿をみていたいんだ。感覚は共有されてるだろ、さぞ苦しいだろうなあ。ははははは。」

 破滅ちゃんは、気持ちよさそうに、笑う。




 「破滅ちゃんに、みられるんですね。嬉しいです、痛みつけられて、苦しんでる僕をみて、楽しんでくださいね。」

 僕は、顔を赤らめて、二やついた。




 「もう、かわいいんだからっ。」

 破滅ちゃんは、僕をみつめた。




 ギュ、ギュ、ギュ、ギュ




 破滅ちゃんは、僕を縄で縛った。




 亀甲縛りで、胴体を縛らる。




 グルグル、グルグル、ギュギュギュ




 手首を背中でグルグルと巻かれ、肩に回し、固定し、縛られる。




 グルグル、ギュギュ




 両足を、屈折した状態で、グルグル縛られ、固定される。




 「どう、縛られて、興奮するでしょ?」

 破滅ちゃんは、恍惚な表情で、僕をみた。




 「よいしょっと。」

 破滅ちゃんは、高い鉄棒を胸から、取り出して、設置した。




 ギュ、ギュ、グル、グルグル―




 僕を鉄棒に仰向けにして吊るす。




 「できあがり。」

 破滅ちゃんは、僕が吊るされているのをみて、パッと顔を明るくして、綻ばせた。




 「破壊くん 肉海爆撃特攻ミサイル 発射しますわよおおおおおおおおおおお。」

 破滅ちゃんは、叫んだ。




 「おりゃあああ、とりあえず、蹴っとくわね、気持ちいでしょ?」




 ドガ、バゴ、バシュ―




 破滅ちゃんは、意味もなく吊るされている僕を、蹴る、蹴る、蹴りまくる。




 蹴りながら、破滅ちゃんは、カウントダウンする。




 「3 2 1―。」

 発射の時が、近づいてくる。




 「ゼロおおおおおおおおお、逝ってらっしゃいいいいいいい!。」

 破滅ちゃんは、肉海爆撃特攻ミサイルを、一斉に発射した。




 ドリュン、ブシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウ、ドリュリュリュリュリュリュリュ―

 



 超高速で、肉海爆撃特攻ミサイルが、飛んでいく。




 うわああああああああああ、はやい、はやすぎるよ、破滅ちゃん、いままで、ミサイルとは、違うよ!




 「どうだい、はやいだろ?改良して、やりましたのさ。マッハ20は出るのよ。」

 破滅ちゃんは、ニチャりと笑った。




 ボン、ボン、ボン、ボン、ボン―




 超高速で、発射台から放たれていく。




 海を渡って、隣の半島と大陸に、直撃する。




 半島や大陸からの迎撃ミサイルや、レーザー、レールガンを、受け、バラバラな、肉となり、肉海となっていく。




 空が肉の雲で、覆われ、地上に落下していく。




 ドバーン!




 爆破する。




 ドガーン!




 「うああああああああああ。」

 体が張り裂ける苦痛。




 痙攣し、失神しているが、なお、爆撃特攻は止まらない。




 「ははは、エビみたいに、仰け反っちゃって、かわいいねえ。」

 破滅ちゃんは、縄で縛られ、鉄棒に吊るされている僕が、爆撃の衝撃に苦しむ様子をみて、恍惚な表情で、笑みを浮かべ、ご満悦な様子だ。




地上は、張り裂け、街々は、灰となった。




 大陸の半分は飲み込んだ。




 爆撃特攻肉海ミサイルは、西の大陸へも、容赦なく飛んでいく。




 世界一の大国は、ミサイル迎撃、レーザー砲、レールガン、人工知能戦闘機で、反撃してくる。




 ヒュウウウウウ、ズドドドドドドドドドドドドドドド





 「ギュオオオオオン。」




 空を覆う肉の塊は、反撃を受け、千切れたり、穴が開いたり、焼けこげたり、していたそうな悲鳴をあげる。

 



 悲痛な声。




 回復していく、複製していく。




 反撃を食らっても、すぐに、元通りとなる、数を増やしていく。




 ドバーン




 世界一の大国の街々まで、飲み込みはじめた。




 西の連合へも、肉海爆撃特攻ミサイルは、飛んでいく。




 ブシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウ、ドリュリュリュリュリュリュリュ―

 



 迎撃ミサイル、レーザー砲、レールガン、戦闘機からの反撃に、身体を焼き尽くされる。




 何度死んでも、生き返り、増えていく。




 身体と身体が繋がり、肉海となり、西の国々を、破壊する。



 

 「破壊くん、みて、世界中が、あなたにやられてる。」




 破滅ちゃんは、タブレット端末のディスプレイで、僕が世界を破壊している映像を流した。




 「速報です。△★国と、★◇国が、肉爆弾に対して、協力して、なんとしてでも阻止すると表明。」




 タブレットから、ニュースが流れる。




 「すごいわねえ。普段は敵対している、国々も、手を取り合おうとしている。死ぬことに変わりはないけれど、微笑ましいことよね。」




 破滅ちゃんは、哀れみの表情をみせた。




 「緊急速報!緊急速報! 世界中の合意で、肉爆弾へ、核による反撃を行うことが決定。」

 タブレットに映る、ニュースキャスターの男は、興奮と恐怖の入り混じった感情を抑えるように、声を押し殺して、報道した。




 「我ら、人類の全てを懸けて、肉海爆撃を止める。」

 世界第一の大国の、首脳は宣言した。




 他の国々の首相も、同意を示した。




 「ははは。破壊くん、核反撃だってさ。面白そうだね。」

 破滅ちゃんは、縄で吊るされている僕の、両手で潰したり、ペンチで、舌を抜いたりしながら、微笑みかけた。




 「ちょっと、暇つぶしに、世界の首脳たちを、生放送で、殺すか。」

 破滅ちゃんは、思いついた様子で、呟いた。




 「分裂、複製。」

 破滅ちゃんは、2つの分裂して、複製された。




 「じゃ、ちょっくら、行ってくるわ。」




 ビュンッ




 分裂された破滅ちゃんが、飛んで、いって、消えた。




 「はい、どうも、破滅ちゃんでーす。」

 破滅ちゃんが、タブレットのディスプレイに映っている。




 楽しそうに笑っている。




 ドローンを飛ばして、撮影し、ネットで、放映しているのだ。




 「いまから、世界中の首脳や、重要人物たちを殺してまわりたいと思いまーす。」

 破滅ちゃんは、ニッコり笑った。




 「いま、あたしは、世界一の大都市 ★★シティに来ています。」




 同時視聴数 5億人だ。




 「まずは、世界一の大国 △★国の首脳から、殺っていこうと思いまーす。」

 破滅ちゃんは、ナイフを片手に、△★国の首脳の横に現れた。




 壁の白い、建物の中だった。




 「ど、どうやって、入ってきた。外は厳重な警備がしてあっただろ?」

 首脳は、驚きを隠せない様子であった。




 周りを囲うSPや、報道官も、目を見開き、腰を抜かしている。




 バンバン、バンバン




 銃声が鳴り響く。




 破滅ちゃんに向かって、撃ったのだ。




 「無駄だよ。」

 破滅ちゃんは、銃弾を全て弾き返して、中にいた人々を死滅させた。




 「残りは、君だけだね。」

 破滅ちゃんは、△★国の首脳をみて、二ヤりと笑った。




 ネット上では、恐怖の声と、賞賛の声、誹謗中傷、批判の声で溢れ返っていた。




 おそろしい、人類ももう終わりなのか?




 美しい魔女だ




 △★国首脳を殺してくれ、ろくでもない政治家だった。




 おれが殺されたいくらいだ。




 暴力反対



 

 世界の△★国相手に、喧嘩を売っているのか?




 まるで、映画でもみてるようだ。




 ネット上では、いろんな声があった。




 「ご苦労さん。さようなら。」



 

 シュパ




 破滅ちゃんは、△★国首脳の首を刎ねた。




 ゴロン。




 地面に、△★国首脳の首が転がる。




 ドスン




 破滅ちゃんは、首を踏みつけて、笑った。




 「ザーコ、ザーコ、何が世界一の大国だ。何が△★国だ。おまえら全員、死刑だよ。」

 破滅ちゃんは、何度も何度も、頭を踏みつけて粉々にした。




 「よし、皆殺し爆撃、準備OK 破壊くん肉海特攻爆撃が、大都市へ落下します。さようなら。」

 破滅ちゃんは、その場から消えていなくなりました。




 数秒後、空から、肉海爆撃が、△★国の首都へ、落下しました。




 爆発し、ちりじりとなって、街は、消えました。




 「うん、いい感じに、殺れたな。次は、世界2位で、猛烈な勢いで発展している、★◇国の首脳を、殺しますか。」




 ピョーン!




 破滅ちゃんは、飛んでいきました。




 「今、★△国の、首脳宅前に来ております。では、殺しにいきますね。」

 破滅ちゃんは、中に入っていった。




 「貴様、我を誰だと思っている、生意気だぞ。」

 ★△国の首相は顔を顰めて、怒鳴った。




 「怒っても、何も変わらないよ。じゃ、死んでよ、きみじゃまだからさ。」

 破滅ちゃんは、返した。




 「おい、どうして、警備隊、戦闘ロボが駆けつけてこないのだ、仕事はしているのかね、仕事は。逆らったやつは、人間ポイント減点するぞ!。」

 ★△国の首相は、顔を赤くして、地団駄を踏んだ。




 「ふふふ。ここに来る前に、全部、破壊しといたよ。」

 破滅ちゃんは、二ヤりと笑った。




 「そんな、まさか。」

 ★△の首相は、衝撃を受け、真っ青になった。




 「じゃ、さようなら。」

 破滅ちゃんは、★△国の主相の首をナイフで、刎ねた。




 ネット上では、批判の声と称賛の声が相次いでいた。




 よく、やった。




 彼女は、歴史を変える救世主です。




 酷い、人殺しはダメだ。




 この世の終わりかな?




 もう、世界はダメかも知れない。




 運営はどうして、垢バンしないんだ?




 「やってお終い、破壊くん、肉海爆撃特攻!。」

 空から、★△国の都心を襲う、肉海雲が覆われる。




 上から、雨のように、肉海爆撃が降って来る。




 悲鳴と苦しみの声で、街中が溢れかえる。




 街は、更地になって、クレーターがところどころにできた。




 「あたしを殺す気ですか?殺すがいい、神は、あなたを絶対に許さないでしょう。」

 宗教指導者は、笑った。




 「神よ、どうか、ご慈悲を。」

 宗教指導者は祈った。




 「さよなら。」

 破滅ちゃんは、世界的宗教指導者を殺した。




 「俺を殺す気か?やれるもんなら、殺ってみろやあああ。」

 過激派宗教のリーダーは、肩にガトリングガンを背負い、破滅ちゃんを撃ちまくった。




 「遅いね。のろまな弾だ。」

 破滅ちゃんは、銃弾を全て、弾き返し、過激派宗教のリーダーに、当てた。




 過激派宗教のリーダーは死んだ。




 「組織ごと壊滅させとくか、じゃまだしな。」

 破滅ちゃんは、呟いた。




 「破壊くん肉海爆撃、キエナサイ。」

 破滅ちゃんは、過激派宗教のアジトへ向けて、肉海爆撃をした。




 「いつか、世界がよくなるといいな。」

 破滅ちゃんは、声に出した。




 破滅ちゃんは、世界の首脳と都心を破壊していき、世界的宗教指導者、過激派宗教のリーダー、王族に至るまで、殺戮を、ネットで、配信した。




 タブレットから、アナウンスが、鳴る。




 「連合国です。水素爆弾を、落下する。避難してください。」




 ニュースの速報だ。




 避難警報が鳴り響く。




 「ついに、決断したか―。よく考えると、さすがに破壊くんといえど、核爆弾はヤバいかも知れん。」

 破滅ちゃんは、頭を右手で、掻いた。




 「マズいなあ。核爆弾はちょっと、破壊くんには、はやいかもなあ。」

 破滅ちゃんは、縄で吊るされ縛られている僕をみて、ありゃまあ、と言った表情で、哀れんだ。




 「ま、いいか、どうにか、なるだろ。楽しみだな、破壊くんが、痛み苦しむ姿が。」

 破滅ちゃんは、笑った。




 大丈夫なのだろうか?




 なんだか、非常にマズそうだ。




 

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