21 破滅ちゃんに、調理されてます。

「みて、破壊くん。世界中が、大混乱。テレビも、インターネットも、あたしたちの話題で、持ち切りね。ふふふ。」

 破滅ちゃんは、笑った。




 8月16日 午前4時ごろ




 破滅ちゃんの家にいる。




 夜も寝れてないだろうなあ。





 「どうするのかしらねえ。外国も下手に手が出せないでしょ?流石に、原子爆弾とか水素爆弾を落とすわけにもいかないでしょうしねえ。」

 破滅ちゃんは、ニヤニヤ笑った。




 「次は、世界中に、破壊くんの肉海爆撃でも仕掛けようかしら。遠い国での出来事だと世界中の人たちは、まだ、思っているでしょうけれど、次は、君たちなのよ。ふふふ。」

 破滅ちゃんは、いたずらな笑みを浮かべる。




 「破壊くん、世界中に向けて、肉海爆撃やってくれるよね?」

 破滅ちゃんは、僕の首から、肩に右腕を回し、耳元で、囁いた。




 僕は、たくさんの人を殺してきた。




 やってはならないこともしてきた。




 もう、後戻りなんて、できない。




 世界を敵に回しているのだ。




 破滅ちゃんは、真っすぐな目で僕をみていた。




 「やるよ。」

 僕は、首を縦に振った。




 「破壊くん!。」




 むぎゅ




 破滅ちゃんは、僕に抱き着いた。




 「ありがとう。君でよかった。」

 破滅ちゃんは、抱きしめる手の力を強めた。




 ボキ、ボキ、グリョンリョ―




 肋、腕、背中の骨が折れて、内臓が口から飛び出た。




 大腸、小腸、心臓、胃が飛び出す。




 「わかってるよね? 複製してね。」

 破滅ちゃんは、ニコりと、笑って、目を細めた。




 破滅ちゃんは、胸から巨大な、ノコギリを取り出した、自動で動いている。




 ブギュイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイインンンンン―




 「チェーンソーっていってね、よく切れて、便利なのよ。うふふ。」

 破滅ちゃんは、にやけていた、頬が緩み、顔が紅潮している。




 「ま、まさか、僕を切るつもりじゃ、ないだろうなあ。」

 僕は、目を見開いた。




 「ええ。勿論よ。」




 ブギュイイイイイイイイ、ズバギュイ、ブギャ、ズシャ、グチャ―




 右腕、左腕が切り落とされる。




 「腕も、細かく、切っておいてあげるわよ。よかったわねえ。」

 地面に落ちた腕を拾うと、チェーンソーで、100等分に細かく刻み込んだ。




 「首を落としましょ。」




 グギュ、ボロン―




 首が切り落とされ、地面に落ちる。




 「えい。」




 ドス、ドス、ドス―




 地面に落ちた、頭を足で、何度も踏まれ、脳が飛び出て、ぐっちゃぐちゃにされる。



 

 グリョス、ギュウウウウウウイイイイイイイイ―




 「身体を、10等分、切ったぞ。気分はどう?」




 ドス、ドサ、ドン―




 破滅ちゃんは、切り落とされた、胸と腹の部位を踏み蹴りした。




 ベチョス、グリョギュイイイイイイイイイイイイインンンンンン―




 破滅ちゃんは、チェーンソーで、僕の両足を切断して、10等分にした。




 「ようし、残りは、お尻だね。」




 グリョス、ベチョグリュギュイイイイイイイイイイイイイイイインンン―




 お尻を30等分に切られた。




 地面には、僕の身体がバラバラになっている。




 内臓は飛び散っている。




 血がたれ流れ海になっている。




 グリョ、グリョ、ニュロロ


 


 「おっと、再生するんじゃないぜ。」




 ギュイン、ギュイン、ギュギュギュイイイインンン―




 破滅ちゃんは、即座に、バラバラになった僕の肉体を、切る、切る、切る。7




 「ちゃんと捌いとかないとな。」

 破滅ちゃんは、胸から包丁を取り出した。




骨から肉をそぎ落とし、綺麗に捌いていく。




 「よし、炒めるか。」

 破滅ちゃんは、胸から巨大なフライパンと、ガスコンロを取り出した。




 「ポイ、ポイ、ポポイのポ―イっと。」

 地面に、転がっているバラバラな僕の身体が、フライパンに入れられる。




 シュ、カチン




 破滅ちゃんは巨大なフライパンを、ガスコンロの上に、乗せた。




 「オリーブオイル投入ううううううう。」

 破滅ちゃんは、胸からオリーブオイルを取り出すと、フライパンに、少し入れた。




 油で、肉がテカっている。




 「火つけますよおお。」




 チ、シュウウウウウ




 「最初は、弱火で、じっくり炒めるわねえ。」




 ヒュンッ




 破滅ちゃんは、フライパンの取っての部分に、飛び乗った。




 胸から、巨大なトングを取り出すと、僕のバラバラな肉を、炒めはじめた。




 「火も通ってきた所だし、野菜を入れるわね。」

 破滅ちゃんは、胸から、じゃがいも、キャベツ、玉ねぎを取り出すと、フライパンの中に、入れた。




 「火力、強めるわよ。」

 野菜と、一緒に炒められる。




 破滅ちゃんは、僕を調理しているのだ。




 一体、何を作るつもりなのだろうか?




 「よし、いい感じね。」

 破滅ちゃんは、ガスコンロの火を止めた。





 「じゃんじゃじゃーん。お鍋ええええ。」

 破滅ちゃんは、胸から巨大な鍋を取り出した。




 「ホースうううううううう。」

 破滅ちゃんは、胸からホースを取り出す。




 シャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア―




 ホースを鍋に入れ、水が入っていく。




 「よし、煮こむか!。」

 破滅ちゃんは、右手を握って、左手の平に向かって叩きつけた。




 え、僕、煮込まれちゃうの?




 わけわかんない、破滅ちゃん、支離滅裂だよ―




 「よいしょっと。」

 破滅ちゃんは、フライパンと、鍋をガスコンロから取り替えた。




 「ようし、火をつけるぞい。」




 ボォォォォォォォォォォォォォォオ




 ガスコンロに火が付いた。




 「じゃがいも、たまねぎ、破壊くんは、先に入れるわよ。」

 破滅ちゃんは、フライパンから、トングで、じゃがいも、たまねぎ、僕を掴み取って、鍋に入れた。




 「ポイ、ポイ、ポポイのポ―イっと。」




 ボチャン、ボチャン、ボチャン、ボチャボチャ―




 僕のバラバラになって、炒められた、身体たちと、じゃがいも、たまねぎ、が、鍋に入っていく。




 「ようし、火をつけるぞい。」




 ボォォォォォォォォォォォォォォオ




 ガスコンロに火が付いた。




 破滅ちゃんは、鍋を両手で持ち上げると、巨大ガスコンロの上に置いた。




 「温度は、3000℃っと。ぐつぐつ、ぐつぐつ、煮込んで、ドロドロスープにしーよおっと。」

 破滅ちゃんは、二ヤりと笑った。




 「ようし、いい感じに、煮込んできたね。」

 5分くらい煮込むと、破滅ちゃんは、腰に手を当てて、言った。




 「キャベツ入れますか。」




 ボチャン、ボチャン、ボチャン―




 破滅ちゃんは、鍋の中にキャベツを入れた。




 グツ、グツ、グツ―




 さらに、15分、煮込む。




 「うん。ルー入れるか。」

 破滅ちゃんは、胸から、茶色の固形物を取り出した。




 「カレー、カレー、美味しくなあれええ。」

 破滅ちゃんは、ルーと呼ばれる、茶色い固形物を鍋の中に入れる。




 「はちみつと、牛乳、林檎ジャムも入れよう。」

 破滅ちゃんは、胸から、材料を取り出すと、鍋の中に足した。




 カレーって、なんだ?




 僕は、料理になろうとしていた。




 「でけたあああああ。いい匂い。」

 破滅ちゃんは、ガスコンロの火を止めた。




 「どれどれ、味は?」

 胸から、お玉を取り出して、カレーをすくって、食べた。




 「うん。スペシャルな味ね。」




 破滅ちゃん、酷いよ。




 僕を食べる気なのか―




 破滅ちゃんは、胸から、炊き終わった白く美しい白米と、お皿を取り出す。




 皿に、白米を、盛り付けはじめた。




 「カレーをかけてっと。」

 鍋の中にあるカレーを全部、巨大な皿に、入れた。




 「カレーライス!、カレーライス!、できあがり。」

 破滅ちゃんは、笑った。




 とてもいい匂いだ。




 美味しそうなカレーライスができてしまった。




 中に、僕が肉となって、入っているだなんて、わからないだろう。




 キラキラ輝いている。




 「よし、食べるか!いただきまーす。」

 破滅ちゃんは、手を合わせると、スプーンを手に持って、カレーラースを食べ始めた。




 モグ、モグ、モグ。




 「んふう、美味しい。ほっぺが、とろけて、おちちゃいそう。んん、絶品、デリシャスゴールドなのおお。」

 破滅ちゃんは、頬を緩め、至福の表情を浮かべている。




 大丈夫なのだろうか、この人は―




 時々、不安になる。




 「完食っと。ごちそうさまでしたあ。」

 破滅ちゃんは、満足そうに、僕が入ったカレーライスを完食した。




 「あ。」

 破滅ちゃんは、思い出したように、首を傾げた。




 「破壊くん食べちゃった。複製コピーできないじゃん。てへへ。」

 破滅ちゃんは、お茶目に、笑って舌を出した。




 破滅ちゃん、僕は今、君の胃で、消化されようとしているよ。




 「もう、バカバカ、破滅ちゃんのおバカなんだからあ。でも大丈夫、君を産み直してあげるからね。」

 破滅ちゃんは、ニコりと、黒い笑みを浮かべた。




 産み直すって、何言ってんだ、破滅ちゃん?




 頭、おかしくなったか。




 「産まれそうだ。」

 破滅ちゃんは、お腹を押さえた。




 なんだ?




 破滅ちゃんの身体の中で、バラバラになった肉体が、凝縮して、再生していく。




 ギュロン、ギュギュ、ニュ




 おぎゃああああああああああああああああああああああああああ―




 できちゃったよ、僕が、産まれちゃうよおおおおお、うえええええええええんんんん―




 破滅ちゃんのお腹の中で、白い殻に、身体が包まれていく。




 「おえ、ゲボぼおおおおお、ペッッ。」




 ビュ―ン―




 破滅ちゃんは、口から卵を出した。




 黒い粘液で、包まれた、白く輝く卵だ。




 中には、僕が入ってる。




 バキ、バキ、バキ、バキ―




 卵の上から、ジグザクに、ひびが入っていく。




 パリン―




 卵が割れた。




 「おんぎゃあああああああ。」

 僕は、産声を上げました。




 バシンッ




「うるさいわねえ。泣くんじゃないわよ。」

 破滅ちゃんは、僕を蹴り飛ばした。




 「ちゃんと、生き返れたみたいね。」

 破滅ちゃんは、笑った。




 まさか、破滅ちゃんが、卵を産めるだなんて知らなかった。




 僕の親は、破滅ちゃんだ。




 なんだか、嬉しくなった。




 「ちゃんと、分裂複製しなさいよね。」



 

 シュパパノパノパノシュシュ、パパパ―




 破滅ちゃんは、僕を両腕で、粉々に、切って、粉末にした。




 粉末になっちゃいました、てへへ。




 グリョンリョン、ニュニュニュ、グニョ




 身体が複製される。




 粉末の粒子一つ、一つから、僕が、新しく生まれていくのだ。




 辺りが、僕で埋め尽くされる。




 5000万体は複製された。




 

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