20 死の雨を降らせましょうか。

 「放射線にもなれてきたことだし、そろそろ、メルトダウンさせて、死の灰、ふらせっか、ワクワクすんぞお!。」

 破滅ちゃんは、右手の拳を握って、左手の手のひらに向かって、ポンと叩いた。




 大丈夫だろうか、この人。




 「死の灰ってのは、放射能まみれのチリが、空から降ることだぞ。みんな死ぬんだ。」

 破滅ちゃんは、暗い顔になった。




 「でも、しなくちゃならないんだ。普通原発ってのはメルトダウンできないように設計されてるが、電源を外部も含めてすべて破壊して、原子炉ぶっ壊せば、できる。」

 破滅ちゃんは、ニコニコ笑顔で、言った。





 「おりゃああああ。」




 バゴ、ドッシャーン。




 「変圧器、倒壊いいいいいい。」

 破滅ちゃんは、巨大な塔を、蹴り飛ばして、笑った。




 「変圧器?」




 「電気には電圧ってのがあってな、調整しないと、使えないんだ。変圧器は、電圧を調整する機械だ。邪魔だから、壊しとかないとな。」




 破滅ちゃんは、あたりにあった変圧器を全部、壊した。




 「次は、外部電源の制御室を、破壊しないとな。」

 破滅ちゃんは、歩いていく。




 青いやねの、建物の中に入っていった。




 「やあ、やあ、皆さん、こんにちは。さようなら。」

 建物の中には、働いている、人たちがいた。




 「ひええ。来ちゃいましたよ。お終いです。」

 職員の女Aは、泣き崩れた。




 「うあ、やめてくれ、やめてくれええ。」

 職員の男Aは、腰を抜かし転げる。




 グチョ、グリョ、グチャ、ベチャ、ボチャ、グチョチョン―




 血で、床が満たされた。




 ぐちゃぐちゃの肉が飛び散っている。




 ドガーン!




 「デストローイ!、破壊。いえい。」

 破滅ちゃんは、胸から、ロケットランチャーを取り出すと、制御室に向けて、撃ちまくった。




 粉々になる。




 「原子炉に戻るぞ。」

 破滅ちゃんは、建屋の中に、帰っていった。




 「破壊、破壊、楽しいなあ。」




 バッコーン、ドッカーン、ドカーン。




 破滅ちゃんは、中央制御室を、ロケランで爆破した。




 「よし、冷却水は、使えないし、制御棒を取り出せないし、緊急炉心冷却もできないぞ、あとは、燃料棒が、2700℃を超えるのを待つだけだ。ルンルン。」

 僕の頭では理解できないが、どうやら、メルトダウンの準備が整ったらしかった。




 そもそも、メルトダウンってなんだ?




 「炉心溶融して、死の灰が降れば、絶望だろ?メルトダウンという言葉にふさわしい、地獄をみせてやらないとな。」

 破滅ちゃんは、口角を上げた。




 「爆発するのを待っていよう。」




 しばらく待っていた。




 ドロリんちょ。

 



 「お、はじまった、みてみろ、溶けてきてるだろ。」

 破滅ちゃんは、僕の耳元で、囁いた。




 原子炉を包み込む、容器が溶け始めていた。




 ドロリんちょお




 「さらに、外の壁も溶け始めた、もうすぐ来るぞ!花火が。」

 破滅ちゃんは、待ち遠しそうに、目を細めた。




 バゴゴゴゴゴーン!




 「キターーー、水蒸気爆発やで!、どえらい事になってもたなあ。」

 破滅ちゃんは、拍手した。




 「ひええ、上みてみ。」

 僕は空を見上げた。




 塵と灰が、空高くに舞い上がっていった。




 「死の灰だ、降るぞ。」




 「外に出よう。」

 僕と破滅ちゃんは、外に出た。




 空は、どんよりと曇っていた。




 「放射性降下物の雨がふりそうだな。」

 破滅ちゃんは、胸を弾ませていた。




 ザアアアアアアアアアアアアアア




 黒い雨が降ってきた。




 「はじめてみた。この世の終わりみたいだ。」

 僕は、呟いた。




 黒い雨なんて、みたこともない。




 「あたしたちは、放射線に耐えらえる肉体を持っているからいいが、人や、他の動植物はどうだろうねえ。ははは。」

 破滅ちゃんは、愉快そうに、腹を抱えて笑った。




 「よし、あと21カ所ある、原子力発電所も、全部、爆破させよう。」

 破滅ちゃんは、言った。




 「△△原子力発電所に、行くわよ、ついてきて。」




 ギラーン



 

 黒く燃え盛る焔の翼を背中に宿す、破滅ちゃん。




 シュラララララ




 宙を浮かび、飛んでいく。




 「破滅ちゃーん。待ってよぉ。」




 シュルルルルル




 白き焔で燃え盛る翼を、背中に宿し、破滅ちゃんの後を追う。




 空を飛んで、破滅ちゃんに、追いつく。



 

 死の灰による雨に、街中が侵食されている様子が、空からよくみえる。




 「いい景色ね、破壊くん。清々しいわ。」

 破滅ちゃんは、気分よさげに、死の灰が降る街を空から眺めていた。




 「大丈夫でしょうか?」

 僕は、首を傾げた。




 「?世界を滅ぼすんだから、大丈夫でしょ。終わりよ。」

 破滅ちゃんは、きょとんとした目で僕をみた。




 「甘い事いってないで、ほら、みてなさい。」




 ドッカーン、バッコーン、ズドバドドド、バッコーン―




 破滅ちゃんは、胸からミサイル弾を取り出すと、死の灰が降る街の工場や、高速道路、路線、空港、一般人の住む家々に向かって、乱発した。




 爆発し、燃え盛っている。




 「わかった?、終わりなの。あたしたちが終わらせるのよ。」

 破滅ちゃんは、僕を真剣な眼差しで、みつめた。




 しばらく、無言で空を飛んでいた。




 「お、着いたわよ。△△原子力発電所が、みえるわ。」

 破滅ちゃんは、前方のドーム型の建物を指さした。




 破滅ちゃんは、地面に降り立った。




 「君たち、何か用かね?許可証は、持っているのかい。」

 敷地の前で、警備員の男1に、止められた。




 5人ほどいる。




 「ごめんなさい。死んでもらうわよ。」




 グシャり、グシャり、ボンボン―




 「もう、やだ、血が飛んでるわよ。」

 破滅ちゃんは、警備員の男1の首を、右手で、刎ねて、殺し、ロケランで、死体撃ちして、笑った。




 「ひええ。ヤバいよ、この人たち。」

 警備員の男2は、恐怖して、おしっこを漏らしていた。




 「あら、かわいらしい。おしっこ漏らしちゃったの?ぼうや。」

 破滅ちゃんは、警備員の男2のズボンがおしっこで、濡れていく様子をみて、笑っていた。




 「ふへえ。綺麗だ。ああ、なんて美しんだ。」

 警備員の男2は、破滅ちゃんの美しさに、見蕩ている、足は恐怖で、ガクガクと震え、身体中が、痙攣している。




 「さようなら。ぼうや、あたしに殺されて光栄でしょ?」

 破滅ちゃんは、警備員の男2を、右手で、突きまくって殺した。




 警備員の男2は穴だらけに、なる。




 バタン




 身体から、血が噴き出し、斃れる。




 ドバ、ブシュ、ドリュリュ、グリュ―




 破滅ちゃんは、残りの3人の警備員を、容赦なく、粉々に潰し、ミンチにした。




 地面には、惨たらしい血が溢れ、肉と入りまじって、血の匂いと、死の匂いで、充満している。




 「さ、入るわよ。」

 破滅ちゃんは、敷地内に足を踏み入れた。




 「まず、中央制御室に行きましょうか。」

 破滅ちゃんは、歩き出した。




 「建屋はないんですか?」

 僕はきいた。



 

 「加圧水型原子力発電所だからね。」

 破滅ちゃんは、答えた。




 「加圧水型は、冷却系が2つあるから建屋が必要ないんだよ。」

 僕の頭では何を言っているのか、よくわからなかった。




 「中央制御室も、離れたところにある。」

 破滅ちゃんは、前方を指差した。




 青い壁の、大きめの建物があった。




 「へえ。」

 僕は、頷いた。




 「君たちが、国を破滅に追い込もうとしているものかね?」

 黒ずくめの男が、破滅ちゃんと僕に話しかける。




 30人ほどいる。




 原発特別警備隊だろう。




 身体中が、恐怖で、震えているのがみてとれる。




 「ええ、あたしたちよ。震えているけれど、コワいの?」

 破滅ちゃんは、二ヤリと笑みを浮かべた。




 「やはりか―。出て行ってくれないか?仕事なんだ。」

 黒づくめの男は、地面に頭を擦り付けて、土下座した。




 「原発特別警備隊も、たよりないものね。」

 破滅ちゃんは、警備隊の男1の頭を右足で、踏み潰した。




 「ほうら、どう、足蹴にされる気分は?」




 ズさ




 破滅ちゃんは、警備隊の男1の頭を、地面に顔が埋まるまで、踏んだ。




 踏みつけた。




 「隊長おおおおおお。」

 警備隊たちの、叫び声がきこえる。




 「ひひひ。よくみとけよ、次は、御前らだぞお。」




 グリりょん、ぐりりょんりょん、バッコーン!




 破滅ちゃんは、地面に首の埋まった警備隊の男1を、何度も踏みつけ、身体に穴を空けた。




 「よし、すりつぶすか。」

 破滅ちゃんは、穴だらけの警備隊の男1を、何度も殴り、粉々にしたあと、両手で捏ねて、ミンチにした。






 「ひ、酷い。」

 警備隊たちは、絶句し、真っ青になった。




 「さようなら、君たちの人生は、今日でおしまいです。」

 破滅ちゃんは、満面の笑みをみせる。




 「うぎゃあああああああああああああああああ。」

 悲鳴が、辺りに轟く。




 グリョり、グリョリョ、リンリングリョリ、ブシゥシュノシュゥ




 原発特別警備部隊30人ほどは、あっと言う間に、粉々になった。




 地面は、血と肉の海で、溢れた。




 「ふう、片付いたかあ。面白い人たちだったねえ。」

 破滅ちゃんは、手をパンパン鳴らして、上下に2回ずつ擦った。




 ガチャ




 破滅ちゃんは、中央制御室の扉を開けると、中に入った。




 アナログな、制御装置が壁一面に取り付けられている、



 

 「どうも、皆様、ご機嫌よ~、破滅ちゃんと、破壊くんでわよおお。お気の毒様ですけれど、死んでもらいますの。おさらば、さらばですのよおお。」

 破滅ちゃんは、中央制御室に入って、いきなり、死を宣告した。




 技師や職員たちは唖然としていた。




 「ついに、来てしまったか―。」

 職員の男1は、膝から崩れ落ちて、右手に額をついた。




 「いやああああああああ。まだ、あたし死にたくない。まだ2歳の子供がいるのおおお。」

 職員の女1は、泣き叫んだ。



 

 「やかましい女だな、死ね。」




 グリョリんこ



 

 破滅ちゃんは、職員の女1の顔面を右手で握りつぶした。




 ぐちゃぐちゃになって、固形物の混じった液体になって、地面に流れる。




 ミキサーだ。




 「え?」

 辺りは騒然とし、声を失っていた。




 グリョん、リョンリョン、ベチョベチョベッチョノチョ―




 部屋中、壁も床も、血でベットリと染まった。




 職員、技師は、全員、死んで、血と肉のミックススムージーになった。




 「あらをかし、いとうつくし、赤く輝く、血肉ミックススムージ。」

 破滅ちゃんは、わけのわからない事を、歌うように、述べた。




 大丈夫だろうか。




 「破壊します。」




 ドカンの、カンカン!




 破滅ちゃんは胸からロケットランチャーを取り出すと、制御室を破壊した。




 「原子炉、破壊するか。メルトダウンさせないとなあ。」

 破滅ちゃんは、原子炉ドームの中に入っていく。




 「格納容器の中に入りまーす。」

 中は、○△原子力発電所とは少し違った。




 「蒸気発生器を介して、高温高圧の水蒸気を得る発電法でね。ちょっと沸騰水型とは違うんだ。」

 破滅ちゃんは、説明した。




 「あれが、圧力容器で、向こうのが蒸気発生器よ。」

 破滅ちゃんは、指を差した。




 よくわからなかったが、加圧水型には、蒸気発生器というのがあることはわかった。




 破滅ちゃんは、ロッケットランチャーを肩に担ぐと、中を爆破しはじめた。




 バッコーン



 

 「蒸気発生器爆破。」




 ドッカーン




 「加圧器爆破。」




 ドッコーン




 「圧力容器爆破。」




 「よおし、メルトダウンの準備完了ね。」




 破滅ちゃんは、ニッコリ笑って、ピースした。




 しばらくすると、爆発した。




 バッコーン。




 「水蒸気爆発ねえ。素晴らしいわ、死の灰が降るわね。」

 破滅ちゃんは、ニッコリと、微笑んだ。




 死の灰が街中に降り注ぐ。




 「よし、次は、◇◇原子力発電所に行くわよ。」




 ギラーン




 シュラララララ




 破滅ちゃんは、黒く燃え盛る焔の翼を背中に宿し、宙を浮かび、飛んでいく。




 「待ってよ、破滅ちゃーん。」




 シュルルルルル




 白く燃え盛る焔の翼を背中に宿し、僕は後を追う。




 飛んでいく。



 

 「お、着いたわよ。」

 破滅ちゃんは、指さした。




 小さな建物だった。




 「小さいですね。」

 僕は、返した。




 「4世代型だからね、小型原子炉なんだよ。縦1m横2mほどのを、5個連結してるわ。」

 破滅ちゃんは、答えた。




 「へえ。」

 僕は、頷いた。




 「小型だから、燃料棒も冷やしやすいし、事故も起こりにくくて、安全なのよ。ま、壊すけれどねえ。ふふふ。」

 破滅ちゃんは、ニヤニヤ笑った。




 「やあ!、ごきげんよう。」

 破滅ちゃんは、地面に降り立ち、言った。




 「さようなら。」

 警備員の男たちを、ぐちゃぐちゃに壊して、血と肉を飛び散らせた、




 「原発警備隊のお出ましか?」

 破滅ちゃんは、二やついた。




 黒づくめの男たちが30人ほどやってくる。




 「では、お元気で、逝ってらっしゃい。」




 グリョ、グリノグリョンリョン―




 原発警備隊の人たちは、全員、バラバラにされた後、ぐちゃぐちゃに潰された。





 血肉の海が、広がる。




 「制御室に入るか。」

 青い壁の制御室の中に入る。




 中は、壁がデジタルなディスプレイで埋め尽くされていて、最先端と言った様相であった。




 「現代的ですね。」

 僕は、言った。




 「3年前に、稼働し始めたものだからね。原発は小型化と、制御装置とかのデジタル化、AI化が進んでいるよ。」

 破滅ちゃんは、答えた。




 「職員と技師を殺そうか。」




 グリョリン、リンノグリグリーリン、リョンリョグリリョンブシュゥシュゥ―




 職員と技師、5名が、破滅ちゃんの手により、ぐちゃぐちゃにすりつぶされ、お亡くなりになりました。




 「おさらばですわ~。」

 破滅ちゃんは、ニコニコ笑顔だ。




 「原子炉で、遊ぶか。」

 破滅ちゃんは、小型原子炉に向かって歩きだした。




 「ぺチ、ぺチと。」

 破滅ちゃんは、小型原子炉の中に爆弾を取り付けた。




 「時限式、爆弾よ、あと10秒で爆発するわ。」

 破滅ちゃんは、笑った。



 

「よいしょっと。」




 グググッ!




 破滅ちゃんは、小型原子炉を両手で持ち上げた。




 「行くぞ、おまえらあああ、たーまやー!。」

 破滅ちゃんは、小型原子炉5つを、順番に空に向かって投げていく。




 ヒュゥゥゥゥ、ドーン!




 破裂して、地上に落下していく、放射性降下物たち。




 原子炉内部にある、燃料棒の温度が上昇し、2700℃を超え、落下した各地で、水蒸気爆発が起こっていく。




 ザアアアアアアアアアア―




 死の灰の雨が降り注ぐ。





 てな感じで、残り19個箇所の原子炉も、全部破壊して、放射能汚染した。




 国中はパニックになって、飛行機で、外国に逃げようと必死な人たちもいたけれど、飛行機を撃ち落したので、みんな死んだ。




 破滅ちゃんは、気分よさそうに、ずっと笑っていた。




 世界中が、恐怖し、絶望した。




 

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