18 肉爆弾の海が、軍事基地290施設を襲う!

 「軍事施設に、特攻爆撃ですって?」

 僕は、目を見開いて、ききかえした。




 「ええ。陸海空ある、外国と国内合わせて、290ある軍事施設を、爆破するのよ。」

 破滅ちゃんは、右手の拳を握って、下から突き上げた。




 やる気まんまんの様子だ。




 破滅ちゃんは、僕を、軍事施設に特攻させるらしい。




 コワい。




 国は、世界でも有数の軍事力を持っているし、外国に戦争で負けてから、設置されている基地も120か所ある。




 だから、破滅ちゃんは、僕を分裂させて、290すべての施設に、爆撃特攻させようとしていたのだ。




 「コワいの?かわいいわねえ、大丈夫よ、生き返るんだし、あたしのために、何度でも死んでよ。ね?」

 破滅ちゃんは僕の顎を、右手で、上げて、顔を近づけた。




 近い。




 いい匂いがする。




「僕、破滅ちゃんのためだったら、なんだってやります。」




グサッ。




僕は、自分で自分の心臓を取り出して、破滅ちゃんに捧げた。




「言葉は信用できない、破壊くん、安っぽいこと言わないでちょうだい。」




モグ、モグ、モグ。




破滅ちゃんは、僕の心臓受け取ると、美味しそうに食べた。




「ねえ、ねえ、かわいい、かわいい破壊くん。」




グサ、グサ、グサり




 破滅ちゃんは、胸から、銀色に光り輝く美しいナイフを取り出すと、僕を何度も刺した。




 「痛いでしょう?生きてるってことよ。ゾクゾクしちゃうわ。」

 破滅ちゃんは、顔を緩ませる。




 「あなたは、あたし。わかる?あなたが死ねばあたしも死ぬし、あたしが死ねばあなたも死ぬのよ。運命共同体ね。うふふ。」

 破滅ちゃんは、涙して、笑った。




 「あたしの為に、ちゃんと、爆撃特攻、成功させてよね。」

 破滅ちゃんは、僕の背中を右手で叩いた。




 「じゃ、爆弾ミサイルつくらないとね。」

 破滅ちゃんは、胸から、大量の爆弾を取り出した。




 「はい、あーん。」

 口から、爆弾が流し込まれる。




 食道が埋まり、胃がパンパンに膨らみ、小腸、大腸が爆弾で埋まる。



 

 お腹がパンパンに膨らみ、ポッコリボールみたいになった。




 尻の穴から、爆弾が飛び出しそうだ。




 「尻穴しっかり、閉じとけよお。」




 バシン




 破滅ちゃんは尻を思いっきり、右足で蹴った。




 バキ




 尻の骨が砕ける音だ。




 「どうぞお、液体燃料ですわよおおお。」

 口から、液体燃料が流し込まれる。




 ドボン、ドボン、ドボン、―




 ぼわあああああああああああ、溺れる、溺れちゃうよおおお。





 死んだ状態で、液体を、食道、胃、小腸、大腸、一杯に、入れられる。




 「フタ、すっぞ!、ちゃんと尻の穴、締めとけよな。」




 ジュワワワア




 破滅ちゃんは、液体金属を僕の口から流し込む。




 ぎゃあああああああああああああああああ。




 声にもならない、痛み、痛み、痛み




 焼け爛れる。




 喉が、潰れた。




 口が金属で固められ、動かない。




 「尻穴に栓するぞ、おら!。」




 あぎゃああああああああ




 尻穴に栓をされて、穴が大きく開いちゃうよぉ。




 ガチガチに固まって、ヒクヒクしちゃう、ダメええええ。




 ベロン、ベロン、ベッチョり。




 「もう、穴から、漏れ漏れする心配もないな。グヘえ。」

 破滅ちゃんは、合成樹脂で、僕の口と、尻穴、身体の穴という穴を、接着して、充填させた。




 ペタ、ペタ、ペッタり、ぺチャリンこ。




 破滅ちゃんは、胸から、爆弾を大量に取り出して、僕の身体に超強力接着剤で、張り付けた。




 案の定、僕は、爆弾人間となった。




 爆弾で、固められて、ボールみたいになっている。




 8519体いる。




 僕の分裂した肉から、生まれた分身体。



 

 凡てが、爆弾人間にされていく。




 感覚、記憶を共有しているので、8519体すべての、痛み、苦しみを受ける。




 「ふふ、どうした、気を失ったか?」

 破滅ちゃんは、白目を向いて、逝っている僕をみて、笑って、顔面を舐めまわした。




 「ほうら、はやく、かえってきなよ。」




 ベロ、ベロ、ベロ―




 ゾクゾクして、そわそわと生き返った。




 「うふふ、かわいい。」

 破滅ちゃんは、目を細め、いたずらな、笑みを浮かべた。




「大量破壊兵器が、8519個ある。290ある軍事基地も、壊滅できるな。よし。」

 破滅ちゃんは、肩から右腕を回し、僕をみて、笑った。




 「ミサイルにするわね。」

 破滅ちゃんは、胸から巨大な筒と、台を取り出す。




 「ほら、ちゃんと、奥にはいるんだぞ。」

 破滅ちゃんは、爆弾ボールとなった僕を右手で、ミサイルの奥へ投げていれた。




 暗い。




 ドボン、ドボン、ドボン、―




 液体燃料が、ミサイルに入れられる。




 ポチャン、ポチャン、ボチャン、ポチャン―




 溺れちゃうぅ



 

 死んじゃうよう。




 溺れて死んでしまいました。




 8519体いる僕の、分身たちは、連続して死を味わう。




 僕は、気を失ってしまっていた。




 「よし、設置完了と。」

 破滅ちゃんの声がきこえる。




 岩山の頂上にいた。




 台にセットされ、今に、特攻爆撃が開始されようとしていた。




 「破壊くん、起きてるかい?、今から、死んでもらわよ、よろしくね。」

 破滅ちゃんは、ミサイルにむけて、可愛く、明るい声で、語り掛ける。




 「行くわよ、準備はできてるわよね。 3 2 1―。」

 破滅ちゃんは、カウントをはじめる。




 「ゼロ―、いってらっしゃーい!。お元気でええええええええええええええええ。」




 逝ってきまあああああああああああああすううううううううううううう!




 ブシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウ、ドリュリュリュリュリュリュリュ―




 お空へ向かって、発射されました。




 音速の5倍、秒速1.6㎞の速さで、飛んでいく。




 途轍もない速さでございます。




 僕たちは、向かっていく、国の軍事施設へ、直撃だ。




 ビュズウウウウウウウウンンンンン!




 な、なんなんだ。




 ドン




 バッコーン!




 僕は、空中で、爆散した。




 超高速度な、弾丸に撃ち落されたのだ。




 肉が飛び散り、塵じりになる。




 はやすぎて、わからなかった、最新兵器か?




 どうすりゃあ、いいんだ。




 凄い兵器だ。




 「レールガンね。国が、1年前開発に成功したのよ。マッハ30、秒速9600㎞で、飛んでくるわ。圧倒的な兵力ね。」




 破滅ちゃんの声がきこえた。




 「破滅ちゃんなのか?」

 僕は、きいた。




 「ええ。あなたに、テレパシーで話かけているわ。」

 破滅ちゃんは、テレパシーができるらしかった。




 「レールガンだ、なんて、無茶苦茶な。」

 僕は、落胆した。




 「レールガンの発射台を壊せばいいだけよ。やっちゃって、破壊くん。」

 破滅ちゃんは、簡単そうに言った。




 破滅ちゃんの為だったら、何度死んででも、レールガンを破壊してやる。




 シュルルルルル




 背中から、白く燃え上がる焔の羽を出す。




 「行くぞ。」




 キラーン




 キラ、キラ、キラ、キラ




 全速力で飛んでいく。




 音速の3倍、秒速993mはでているだろう。






 

 ドン!




 ドン!




 ドン!




 落ち堕とされる。




 肉となり、崩れる。




 ポワ、ポワ、ポワ




 肉から湯気が出てきて、やがて、僕が複製された。




 100体はいるだろう、数を増やしつつ、空を飛び回り、軍事基地へ向かう。




 何度、粉々にされも、心は砕けない。




 ブシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウ、ドリュリュリュリュリュリュリュ―

 



 ビュズウウウウウウウウンンンンン!




 ド、ド、ド、ド―




 8519いる僕の肉から生まれた分身たちが、次々に、岩山から発射され、軍事施設目掛けて飛んでいく。




 ドン!ドン!ドン!ドン!




 100発ほど撃ち込まれたが、すべて、レールガンに、迎撃される。




 粉々に砕け、塵じりに分裂して複製しては、数を増やしつつ、軍事基地目掛けて、一斉に飛んでいくのだ。




 白い焔を宿した、僕と僕の分身たちが、爆発しながら、近づいていく。

 



 バ、バ、バ、バ、バ、バ、バ― バッコーン、バッコーン―




 連続で、僕が砕け散り、爆発する。




 物量戦だ。




 爆発しながら、少しずつ、近づいていく。




 辺りは、煙に覆われている。




 火薬の匂いで、充満している。




 晴れていたのに、煙で、曇りになった。




 バコン、バコン、バコン、バコン、バッコン―




 何度、身体が砕けて、塵になっているのかもわからない。




 分身の痛みも共有しているのだ、頭がおかしくなっている。




 感覚が、麻痺している。




 ヒュゥゥゥウウウウウウウウ




 「ん?」

 空から、爆弾が飛んできた。




 「戦闘機か。」

 軍事施設の方から、戦闘機が、空を埋め尽くすように飛んでくる。




 僕を、排除する気か。




 命は一度きりが普通だ。




 勇敢な兵士たちよ。




 僕は、御前らを、殺ってでも、滅ぼすぞ、覚悟しておけ。




 「行くぞ。」

 分裂した僕たちが、戦闘機に向かって飛んでいく。




 ミサイルを撃ち合う。




 ドッカーン。




 粉々に砕け散っても、肉となり、肉が僕の分身を作り出し、戦闘機を次々に破壊していく。




 戦闘機は墜落し、爆発する。




 ボー、ボー、ボゥ、ボゥ―




 凄まじい爆風ですわね。



 

 戦闘機を残滅させましたわ。




 ドン!ドン!ドン!ドン!


 


 レールガンに撃たれ、灰にされつつ、軍事施設がみえてきた。




 僕になろうとしている肉で、空中が埋め尽くされ、肌色と血の赤い空になっている。




 惨たらしい。




 肉の海が、空から、軍事施設を覆いつくそうとしているのである。




 ゴアアアアアアアア




 遂に、軍事施設が、肉の海に飲み込まれた。




 ドン!ドン!ドン!ドン!




 肉に埋もれたレールガン装置が、弾を発射している。




 ブシャアアア




 肉に穴が開き、燃えている。




 ボォ、ボォ




 燃え、焼けながら、回復、再生、複製していく。




 増殖していく、僕の肉体。




 バッコーン!




 爆発した。




 軍事施設は、秒で、吹き飛んだ。




 勿論、跡形もない。




 僕自身の肉体も同様に、塵となった。




 海の一部は、蒸発し、陸になってしまった。




 海岸沿いの戦艦も勿論、消え去る。




 同時多発的に、国内すべて290軍事施設が、僕の肉体爆撃により、壊滅し、消えてなくなった。




 大量に、死んだ僕自身の痛みと苦しみは、共有され、無限に、襲ってくる。




 「ぐああああああああああああああ。」

 絶望だ。




 絶大な、苦しみ、痛み、情報量で、無我の境地に至った。




 すべてを受け入れる。




 涙が自然と流れ、乾いていく。




 無常だ。




 やったぞ、破滅ちゃん。




 辺りに生き物の気配はなく、軍事施設と、街々は、果てしなく続く、荒野になった。


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