17 軍事施設壊滅への準備

 「軍事施設壊滅と、原発爆破。大事な世界滅亡への、道よ。」

 破滅ちゃんは、笑った。




 「軍事施設には、戦闘機が、たっくさんいるわ。あなたも空を飛べるようにならないとね。」

 破滅ちゃんは、手を叩いて、明るい声で言った。




 「空を飛ぶだって?」

 空を飛べるものなのだろうか。




 羽もないのに、どうやって、飛ぶのだろうか。




 「空が飛びたいのならば、翼をもてばいい。」

 破滅ちゃんは、両手を一杯に広げた。




 破滅ちゃんの胸が光り出す。




 キラリラ、リーン!




 ピカピカピカ




 「じゃん、じゃ、じゃーん、翼の生える、ワッフルコーンバニラアイスクリーム。」

 甘い、いい匂いがする。




 アイスなんて、きいたこともない食べ物だ。




 美味しいのだろうか。




 「食べな、食べると背中から翼が生える。」




 パク、パク、パク




 モグ、モグ、モグ




 うまーい!




 舌が喜んでいるのがわかる。




 冷たくて、夏にはもってこいだ。




 ワッフルコーンと合わせて食べると、最高の食感で、とろけてしまいそう。




 ドン、ドン、グシャアアア、グリ、ドバ




 身体の中が、変だ。




 暴れまわっている。




 「血か?」

 内臓が、破裂して、身体に穴が空き、血が流れ出る。




 「おえええ。」

 吐血する。




 「ケホ、ケホ、ケホ―。」

 肺がやられた。




 「ベリーマッチアイスクリーム!。」

 破滅ちゃんは、にっこりと笑った。




 ベリーマッチアイスクリームだってえええ?



 

 何を、いってるんだよ、破滅ちゃん―




 意味不明だよ。




 グニョ、グニョニョ




 背中が、痛い、痛い、痛い。




 出てる、モリモリしてるって、背中が!




 グニョ、グニョニョ




 「生命進化!生命進化!素晴らしい。」

 破滅ちゃんは、目をキラキラさせて、手を叩いた。




 グリニョ、ニョ、グリュニョ




 うぎゃあああああああああああ




 背中から、羽が生える。




 肩甲骨が変形していく。




 ブシュウウウウウウ




 胸から、血が飛び出す。




 身体中が血に染まり、真っ赤になり、皮膚は爛れ、ぼろぼろになっていた。




 心臓は、止まっている。




 死ぬとはどういうことだろうか。




 幾度となく死んで来たが、終わることはできなかった。



 

 キラーン




 背中に、燃える羽が生える。




 白く燃える羽だ。




 白い焔が背中に、燃え続けている。




 シュルルルルル




 「身体が浮いた?。」

 宙に、いた。




 高く、高く、昇っていく。




 「飛べる、浮かべる、すごい。」

 浮かべて嬉しい。




 自由自在。




 焔が、僕を、推進させる。




 僕の身体を焼き尽くそうとする、白い焔。




 肉体と適合し、身体の一部となった。




 ギラーン




 シュラララララ




 破滅ちゃんに、黒い焔の翼が、燃えている。




 黒く、美しい、破滅ちゃんの姿。




 黒く照らされている。




 「どうだい、空を飛ぶ感覚は?」

 破滅ちゃんは、きいた。




 「気持ちいいです。」

 僕は、笑った。




 2人は宙を浮いている。




 「ほら、手出して。」

 破滅ちゃんは、右手を開いて、僕の方へ伸ばした。




 ギュ




 右手と左手が、繋がれる。




 仰向けに、手を繋いで、空を飛ぶ。




 夏の青い空が広がっている。





 ガシッ




 「どりゃあああああああ。」

 破滅ちゃん?




 破滅ちゃんは、僕の左手を握った儘、ぐるぐる回して、地面に投げつけた。




 ビュウウウウウン、ドッカーン




 ボキ、ボッキ




 身体中の骨がバキバキに折れる。




 脳が飛び散り、首が折れる。




 痛いよ、破滅ちゃん―。




 ピカーン




 ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザ―




 シュパ、シュパ、シュパ、シュパ、シュパーン―。




 うぎゃあああああああああああああ。




 身体が、みじん切りにされちゃったよううう。




 痛い、痛いよう。




 「再生するな。分裂しろ。」




 空から、破滅ちゃんの声が、きこえる。




 再生するな、だって?




 ニョロ、ニュロ、ニョルロン




 かってに、再生しちゃうよおおお。




 バン、バン、バン、バン、バン―




 「再生するなって、いっただろ?分裂して、複製しろ。」

 破滅ちゃんは、指の先から銃弾を発射して、肉を塵じりにする。




 うう、酷いよ破滅ちゃん。




 分裂って、どういう意味だよ、複製ってどうやればできるんだ?



 

 ニョロ、ニュロ、ニョルロン




 「おら、また、再生してるぞ。分裂して、分身をつくれ。」

 破滅ちゃんは、100万ボルトで電気の流れる、鞭で、再生しようとしている肉を、叩く、叩く、叩きまくる。




 バシン、バシン、バッシンシン!




 うぎゃああああああああああああああああああああああ




 プ二、プ二、プ二―




 肉が、散らばる肉と合体しようと動く。




 バン!




 「おっと、合体させないわよ。」

 合体して、再生しようとしても、銃で撃たれる。




 「プ二、プニュ、プニュウウウウウウウ。」

 肉から、悲痛な泣き声がきこえる。




 痛いのだ。




 苦しいのだ。




 「プニュウウ。ウウ、ウ。」

 苦しい、死ねない、再生も許されない。




 「合体するな、増殖しろ、新しく、生まれろ。」

 破滅ちゃんは、肉を足で踏みつける。




 ゴリ、ゴリ、ゴッリゴリ




 「よし、閉じ込めるか。」

 破滅ちゃんは、口角を上げて、二ヤりと笑った。




 「ボックス。」

 破滅ちゃんは、両手を空に向かって、広げた。




 ポン、ポン、ポン、ポン、ポン―。




 無数の箱が、空に現れた。




 「ディスメンバメント。」




 パン!




 破滅ちゃんは、手を叩いた。




 シュー、ドン。




 うわああああああああああああ。




 肉の一つ一つが、箱に閉じ込められた。




 出られないよぉ。




 合体したいのに、できないよおおお。




 再生できないよおおお。




 「生まれ変われ、まったく別の肉を作り出せ。」

 破滅ちゃんは、冷淡に、言った。




 「じゃ、あたしは、寝てるから、ちゃんと、生き返っとくんだよ。失望させないでよね。」

 破滅ちゃんは、さっさと、家に帰っていった。




 僕は、塵の肉、状態だ。




 一週間ずっと、死に続けた。


 

 

 おかしくなりそうだ。




 破滅ちゃんに会いたい。




 君が、みたいよ。




 光を浴びたいよ。




 願った。




 強く、求めた。




 グニョン。




 目が出来た。




 みたい気持ちが、目を作ったのだ。




 外がみえる。




 匂いを感じたいよ。




 鼻ができた。




 音をききたいよ。




 耳ができた。




 皮膚が出来き、内臓ができた。




 小さな肉から、身体が、生まれた。




 散らばっていた無数の肉から、僕が生まれた。




 僕が、辺りを埋め尽くしていた。




 感覚を共有している。




 僕だらけの場所。




 僕で埋め尽くされた庭。




 「破壊くんが、いっぱい、いるね。」

 破滅ちゃんは、目を細めて、微笑んだ。




 頭がおかしくなりそうだ。




 「本体はどれかな?」

 破滅ちゃんは、辺りを見渡す。




 「あ、君か。」

 僕の分身が一斉に、僕をみる。




 意識を共有している。




 「よしよし、分身できるようになったかあ。えらいぞお。」

 頭をなでなで




 なでなで、される。




 嬉しい。




 「軍事施設、ぜんっぶ、特攻爆撃できるようになったなあ。うんうん。」

 破滅ちゃんに、ニヤニヤ、笑った。




 「え?」

 僕は、声を上げた。




 「破壊くん、全員一斉に、軍事施設へ、特攻爆撃です。どうぞ、よろしく。」

 破滅ちゃんは、ニコやかに、笑った。

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