6 学校、爆破で、皆殺し。

 「ねえ、破壊くん。学校って知ってる?」

 破滅ちゃんは、きいた。




 学校?




 「知らない。」

 僕は、俯いた。




 「はは、じゃあ、行ってみようよ。」

 破滅ちゃんは、元気よく、両手を振って、大股で歩き出した。




 「ついたわよ。」

 破滅ちゃんは、立ち止まった。




 窓のたくさんある、白い建物で、病院と似ていた。




 「入るわよ。」

 破滅ちゃんは、学校の中に、入っていった。




 中では、子供たちが、過ごしていた。




 「子供?」

 僕は、目を丸くした。




 「ええ。学校は、子供を教育する所なの。」

 破滅ちゃんは、答えた。




 「教育???」

 僕は、首を傾げた。




 「社会の都合のいいように、育て上げるとでもいえばいいかしら―。」

 破滅ちゃんは、笑った。




 僕の頭では、よくわからなった。




 とにかく、子供が集まって、楽しく、ワイワイしているということだ。




 僕は、羨ましかった。




 子供頃から、社会に見捨てられ、ゴミの人間以下の扱いをされてきたから、学校というものが衝撃的だ。




 「あら。あなたたち、みない顏ねえ。」

 眼鏡を掛けた、女が声をかけてきた。




 綺麗な女だと思った。




 黒髪で、逆三角に尖った顔、アーモンド型で大きな瞳に、ギリシャ鼻、唇は、綺麗な山型で、上唇が盛り上がっている。




 感受性の高そうな顔立ちだ。




 「ええ。ご機嫌よう。」

 破滅ちゃんは、にこやかに笑った。




 「変ねえ。不法侵入者じゃないかしら。」

 女は、困惑した様子であった。




 「あれが、教師よ。」

 破滅ちゃんは、女を指さして言った。




 「教師?」




 「ええ。子供を教育し、社会の都合のいいように、飼いならすように、国から命令されている犬よ。」




 「へえ。」



 

 大変そうな、仕事だなあ、と思った。





 「ちょっと、あなたたち、人聞きが悪いわねえ。仕方ないじゃ、ない、あたしだって、生徒の事を考えて、ちゃんと授業やら、して、宿題出して、大変なんだからね。」

 教師の女は、頬を膨らませた。




 かわいい。




 「破滅ちゃん。もしかして、殺す気?」

 僕は、破滅ちゃんの、顔色を窺った。




 「ええ。勿論よ。」

 破滅ちゃんは、殺す気満々だった。




 「殺すって、何よ―。」

 女教師は、鼻で笑った。




 「さようなら。」

 破滅ちゃんは、女教師の、喉元を、ナイフで、切り刻んで、殺した。




 床に、血がドロリと、落ちる。




 「ああ。かわいそうに―。」

 僕は、涙した。




 「どうしたの?あ、もしかして、あの女に一目惚れでもしちゃってた?」

 破滅ちゃんは、右肘で、僕のお腹を叩いた。




 目を細めて、口元を緩めて、僕をみる。




 「一目惚れ?」

 僕は、戸惑った。




 「男のコだもんねえ?恋くらいするよ。数秒で、終わっちゃったけれどねえ。ふふふ。」

 破滅ちゃんは、僕の顔をみて、愉快そうに、笑っていた。




 破滅ちゃんの、笑顔をみると、もうどうでもよくなってきた。




 僕には、破滅ちゃんしか、いないんだ。




 破滅ちゃんは、開き戸の前で立ち止まった。




 3‐4組と書かれた、白い標識?が、上の方についている。




 ガラ、ガラ、ガラ―




 破滅ちゃんは、開き戸を開けて部屋の中に入っていった。




 部屋の中には、30人ほどの、人間が、収容されていた。




 「教室ってやつだね。本来だったら、君も通うことになってた。」

 破滅ちゃんは、教室内を見渡して、言った。




 教室?




 「教室では、教師が、生徒に、5教科とかいう、よくわからん事を教えるんだ、しかも、下手くそなレベルの低い教員が多い。」

 破滅ちゃんは、鼻で笑った。




 「誰だね、君たちは、失礼じゃないかね?」

 背の高い、男の教師?がいた。




 一人だけ、大人だったので、教師ってやつなのだと思う。




 「子供にとって、害悪なんだよ。おめえらは。」




 ビュウウウウウン!




 破滅ちゃんは、教師の顔面をぶち殴った。




 教師の顔面が、ぶっ飛び、壁にぶつかり、落ちる。




 「かわいい子供たち。今日が最後の日ですよお。」

 破滅ちゃんは、語り出した。




 教室には、泣き叫ぶもの、茫然とするもの、青ざめるもの、寝ているもの、コソコソ話をするもの、爆笑しているものがいた。




 「貴様らは、まだ今は、殺さん!。」

 破滅ちゃんは、笑った。




 「気が変わった時、殺してやる!、精々、青春を満喫しておくがいい、死は突然やってくるのだぞ!。」

 破滅ちゃんは、高らかに、言った。




 神々しく、美しいお姿。




 「あと、くせえにおいのする教師は全員、殺しておこうか? 殺してほしいやつはいるか?」

 破滅ちゃんは、子供たちにきいた。




 「星野先生と、岡名氏先生と、田中先生、殺して―!!!。」

 子供たちは、声を上げた。




 「ふむ、ふむ、なるほど、じゃ、殺しとくか。」

 破滅ちゃんは、教室から出ていくと、3人の教師の生首を持ってきた。。




 「ほいっと。どうだ。嬉しいか?」

 破滅ちゃんは、生首を、台の上に置く。




 子供たちは、青ざめた。




 「どうした、お前たちが、殺してほしいと、言ったんだろ?未来は、御前らも、こうなるんだぞ?準備しとけよ。」

 破滅ちゃんは、二ヤリと笑った。




 「じゃあな、御前ら愛してるぜ。」

 破滅ちゃんは、教室を出た。




 「よし、校内放送するか。」

 破滅ちゃんは、歩き始めた。




 放送室と書かれた標識が、上にある。




 ガラ、ガラ、ガラ




 少し、かび臭い匂いのする部屋だった。




 破滅ちゃんは、部屋の中にあった、機械のつまみを回し、ボタンを押した。




 ピーン、ポーン、パーン、ポーン




 音がなる。




 「きこえておるかね?諸君。」

 校内中に、破滅ちゃんの話した音が、鳴り響いている。




 どういう原理なのだろう。




 「今から3分以内に、学校を、爆破する。避難し遅れたものは、今日で人生終わりということで、よろしく。」

 破滅ちゃんは、二ヤリと笑った。




 「忠告はしといてやった。行くぞ、破壊くん。」

 破滅ちゃんは、大股で、大きく手を振り、学校を出る。




 「ドカンと、学校、ぶっ壊す!。」

 破滅ちゃんは、ニッコリ笑った。




 胸から、ロケットランチャーを取り出した。




 「ふふふ。」

 破滅ちゃんは、喜々として、楽しそうな表情をみせる。




 「祭りだ!」

 破滅ちゃんは、ロケットランチャーを肩に担ぐと、学校に照準を合わせた。




 バッコーン!




 筒から発射された、丸いボールが、学校に、当たり、爆発した。




 物凄い音だ、耳が痛い。




 「出入口は、封鎖しないとなあ。」




 バッコーン!



 

 学校の入り口が爆破され、塞がれた。




 未だ、誰も、学校から、避難できているものはいなかった。




 バッコーン!




 窓から、避難しようとする子供たちに直撃して、死体が、落ちてくる。




 バッコーン!




 バッコーン!



 

 バッコーン!




 学校は、もう、跡形もなくなっていた。




 燃え盛り、灰色となっている。




 「絶景だな。中で人間どもが燃えていると思うと、ゾクゾクするよ。」

 破滅ちゃんは、笑った。




 「まだまだ、人間どもはいる。ゴミのように増えやがる、まずは、老人どもを殺さないとなあ。」

 破滅ちゃんは、歩いた。




 「御前も、学校、通ってみたかったか?」

 破滅ちゃんは、僕をみた。




 「ええ。」

 僕は、うやむやな返事をした。




 「ふふ。残念だったな。ま、あたしの為に、生きてくれ。」

 破滅ちゃんは、笑った。

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