5 病院、爆破。

 「選挙か?」

 破滅ちゃんは、街中で演説する人をみて、呟いた。




 「選挙?」

 僕は、首を傾げた。




 「国のルールを決める、えらい人を、選ぶ、祭りよ。」

 破滅ちゃんは、答えた。




 「えらい人?ルール?選ぶ?」




 わからなかった。




 強いものが弱いものを、支配するのが世の中の法則ではないのか?




 選ぶとは、どういう?ことなんだ―




 「国中のみんなで、選んで、多数決で、支配者を、決めるのよ。」

 破滅ちゃんは、優しく説明してくれた。




 「不思議だ―、みんなで、選んでたなんて、知らなかった。」

 僕は愕然としていた。




 「僕も、選ぶことが出来るのか?」

 僕は、きいてみた。




 「ええ。16歳以上だったらできるわよ。」

 破滅ちゃんは、笑った。




 「ただし、多数決だから、君の望む人が、えらい支配者になるとは、限らないけれどね。」

 破滅ちゃんは、残念そうに、僕をみた。




 演説をしている人の言っていることは、難しすぎて、僕にはさっぱりわからなかった。



 

 必死に、他の選挙演説をしている人を、攻撃したり、しているのはわかった。




 周りの人が、神様でも見る目で、演説者をみて、拍手していた。




 狂っていると、思った。




 バン!




 破滅ちゃんは、ポケットから拳銃を取り出して発砲した。




 演説をしていた男のこめかみに、見事に命中した。




 男は、倒れ、運ばれた。




 破滅ちゃんは、ニヤニヤ笑っていた。




 「ちょっと、うるさいから、黙らせておいたよ。」

 破滅ちゃんは、二ヤついている。




 人々が破滅ちゃんの方を注目する。




 「よいしょっと。」

 破滅ちゃんは、胸から、マシンガンを取り出す。




 どういう原理なのだろうか?




 バン、バン、バン、バン、バン




 辺りの人は、全員死んだ。




 ピーポ、パーポ、ピーポ




 白い車が走ってきた。




 「車?」

 僕は、白い車をみた。




 「救急車だよ。」

 破滅ちゃんは、救急車に向かって、爆弾を投げた。




 バッコーン!




 救急車は、吹っ飛び、爆発した。




 「怪我をした人や病気の人を助ける、病院って所に、人を運ぶ、車の事だよ。」

 破滅ちゃんは、ニコりと笑った。




 救急車は、もう、スクラップになってしまった。




 「病院―。」

 知らなかった、怪我や病気をみてくれる場所が存在すること。




 「病院、破壊しにく?気になるでしょ。」

 破滅ちゃんは、僕の手を引いた。




 しばらく歩く。




 たくさん窓のある、巨大な白い建物の前で止まった。




 「病院よ、入ってみましょう。」

 破滅ちゃんは、中に入っていった。




 入口には、たくさんの椅子があって、人々が座って、待っている様子だった。




 「病気とか怪我の人が、医者に、診てもらうのを待っているのよ。」

 破滅ちゃんは、言った。




 「医者?」

 医者って、誰の事だろう―




 「医者って言うのは、人を治すのに精通した人の事よ。とても勉強熱心で、頭がいい場合が多いわ。」

 破滅ちゃんは、部屋の中に、人々が並んでいる、扉を開けようとした。




 「ちょっと、困ります。受付を済ませてないですよね?」

 白い服を着た、女が眉を顰め、破滅ちゃんに、声をかけた。




 「無礼ぞ。」




 グさ。




 破滅ちゃんは、女のこめかみから、右手を、貫通させた。




 ブシャアアア




 血が流れ、女は絶命した。




 「キャアアアア。」

 病院に、どよめきが走る。




 「入りましょ?」

 破滅ちゃんは、ニッコりと笑った。




 中に入ると、白い服を着た、おじさんと、女が向かい合って座っていた。




 「どうした?外で、すごい叫び声がきこえたが―、君たち、誰かね?」

 おじさんは、たずねた。




 「どうも。破滅ちゃんです。」

  破滅ちゃんは、挨拶をした。




 「どうも。」

 おじさんは、頭を下げた。




 「これが医者よ。かわいいわね。」

 破滅ちゃんは、医者の、首を右手で、掴んで、締め付けた。




 苦しそうだ。




 「キャアアアアアアア。」

 横に座っていた、女は、悲鳴をあげた。




 「ちょっと、黙っててくれないかしら?子供じゃあるまいし。」

 破滅ちゃんは、女の肩を右手で固定して、左手で、頭を持って回転させ、千切った。




 破滅ちゃんは、医者が首から、ぶら下げていた、丸い円が先についた、機械を取った。




 「聴診器って言うのよ。心臓の音がよく、きこえるの。」

 破滅ちゃんは、聴診器を、僕の耳にハメると、医者の心臓のある位置に、つけた。




 「どう、きこえる?」

 きこえない。



 

 僕は、首を横に振った。




 「ふふ、死んでいるのね。」

 破滅ちゃんは、笑った。




 破滅ちゃんは、針が先についている、ものを取り出した。




 「注射器っていってねえ。風邪とか、病を予防するエキスが、入っているのよ。」




 グさ。




 「どう、気持ちい。」

 破滅ちゃんは、注射を僕の、背中に刺した。




 痛い―




 死ぬ―




 「ふふふ。もっと、注射してあげるわね。」

 破滅ちゃんは、僕の眼球に、注射した。




 「目がああ。」

 僕は、呻いた。




 「んっ。静かに、して?」

 破滅ちゃんは、僕の口を口で塞いだ。


 


  チュウ




 破滅ちゃんを、唇と唾液から感じていた。




 グサ、グサ、グサ




 破滅ちゃんは、10本の注射器を、僕の首に突き刺す。




 痛い―




 針の根本まで、ぐっそり刺さっている。




 グサ、グサ、グサ




 胸


 お腹


 背中


 太もも


 ふくらはぎ


 身体中に至る所に、100本ほどの、注射器をグサグサさされ、液体を注入される。




 「ワクチン、きもちいねえ?」

 破滅ちゃんは、にっこり笑った。




 「あれ?死んじゃったかなあ。」

 破滅ちゃんは、首を傾げた。




 僕は、死んでしまっていた。




 「あ、生き返った。」

 破滅ちゃんは、僕の頭を撫でた。




 「かわいいねえ。よしよし。」

 破滅ちゃんは、僕を腕の中で、抱きしめ、頭を撫でる。




 「病院、楽しいでしょ。」

 破滅ちゃんは、歩き出した。




 ガチャ




 破滅ちゃんは、扉を開けた。




 「入院している人たちのいる部屋よ。」

 破滅ちゃんは、笑った。




 「入院?」




 「ええ。病気の人とか、怪我をした人が、回復するまで、病院で、生活するのよ。」

 破滅ちゃんは、説明した。




 部屋には、10人ほどの、病気の人たちが、いた。




 「じゃ、殺しますか。」

 破滅ちゃんは、二ヤりと、笑って、ベッドで、苦しそうに寝込む、病気の人たちを、殺して回った。




 白いベッドが、血で染まった。




 「自分の手のひらに、命があると思うと、ゾクゾクしちゃうわねえ。うふふ。」

 破滅ちゃんは、壁を殴った。




 壁に穴が空き、隣の部屋に入る。




 入院中の人たちが、いた。




 「ほら、あなたも、殺るのよ。」

 破滅ちゃんは、僕をみた。




 「やれるわよね?」

 破滅ちゃんの命令は絶対。



 

 殺す。




 「さよなら。」

 僕は、病気で寝込む人や、怪我で骨折している人たちを、殺した。




 「よく、できたわね。」

 破滅ちゃんは、笑った。




 病院の中の人は、殆ど誰もいなくなっていた。




 男医者2人と、女医者1人だけが、半殺しの状態で、縄に縛られている。




 破滅ちゃんと僕で、皆殺しにしたのだ。




 地面には、死体がゴロゴロと転がっている。



 

 「ふふふ。だいたい病院の中の人は掃除できたわね。」

 破滅ちゃんは、ニチャりと笑った。



 

 「君たち3人には、もっと、素晴らしい、拷問を味わってもらうよ。」




 ペチン!ペチン!ぺチコン!




 破滅ちゃんは、目をキラキラ輝かせて、男医者2人と女医者1人を鞭打った。

 



 破滅ちゃんは、病室の中にある厳重な扉を開けた。




 右手には、死にかけの、1人の女医者と2人の男医者を、引きずっている。




 「ここは?」




 「手術室よ。」




 中に入る。




 「癌で侵された臓器を取り除いたり、整形したり、骨折を治したり、ま、色々して、身体を改造する、ところよ。」

 破滅ちゃんは、笑った。




 「よいしょっと、遊びましょ。」

 破滅ちゃんは、縄を解いて女医者を台の上に載せると、小さなナイフで、切り刻み、はじめた。




 「解剖は、楽しいわね。」

 破滅ちゃんは、喜々とした声を弾ませた。




 「うう。」

 惨たらしい事に、女には、未だ息があった。




 痛そうに呻いている。




 「心臓を取り出してみるかかあ。」

 破滅ちゃんは、女の胸を開け、金具で固定し、肋骨をレーザーで切除した。




 「よし。」

 破滅ちゃんは、心臓を取り出した。




 女は、勿論、もう死んでしまっている。




 「ふふ、いいこと、思いついたあ。」

 破滅ちゃんは、2人の男の医者の身体も解剖し、女の医者と継ぎ接ぎにした、化け物を作り出した。




 「へへ。どう、面白いでしょ?」

 破滅ちゃんは、腹を抱えて爆笑した。




 みるも無残な姿だ。




 背中から、6本の腕が生えている。




 足が、腰を囲って、6本、生えている。




 首には、女医者の顔がある。



 

 女医者の顔では、男医者のお尻2つが、左右の頬っぺたに、一つずつ、ついている。




 下半身のお尻では、男医者の顔が、左右に縫い付けられている。

 


 

 生命への侮辱に等しかった。




 「笑ってよ。」

 破滅ちゃんは、僕を、みつめる。




 「えへへ。」

 僕は、笑った。




 破滅ちゃんの言うことは絶対。




 破滅ちゃんの笑顔は天使だ。




 みているだけで、幸せになる。




 たとえ、人の命が無残に弄ばれたとしても、破滅ちゃんの笑顔に比べれば、ゴミ同然だ。




 人の命は、彼女の手のひらの上にある。




 「そろそろ、飽きてきたし、外に出ましょ。」

 外に出た。




「本当だったら、病人や怪我人は野生動物に喰われて、死んでるのよねえ。」

 破滅ちゃんは、胸から、巨大な筒を取り出した。




 「ロケットランチャーっていう、武器よ。みてて。」




 ドッカーン!




 ロケットランチャーから出ていった、黒い弾が爆発し、病院を破壊した。




 粉々に粉砕され、瓦礫となる。




 「ははは。楽しいわねえ、破壊くん。」

 破滅ちゃんは、盛大に笑った。


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