夜は秘密の時間

 授業も終わり夜になった。俺は自分の部屋で今日の復習をしつつ、自分を強化するための計画を立てていた。


『とりあえずステータスでも確認したら?』

『必要か?どうせ変わってないだろ』

『一応よ、一応。あと二だけでも経験値入ってたらあげれるんだから』

『あー、なら見とくか』


 そういうわけでステータスをドン。何か変わってるといいんだけど。


〈名前〉 ファウダー・カオ・ヘウンデウン

〈年齢〉       5

〈職業〉      なし

〈レベル〉      0

〈経験値〉     10

〈必要経験値〉   10


 生命力       0

 精神力       0

 持久力       0

 筋力        0

 敏捷        0

 耐久        0

 魔力        0

 知力        0


〈技量〉       6

〈特性〉     可能性

〈スキル〉     なし

〈加護〉    神の観察

     ルミナスの想い

      メリスの想い


 おおっ。経験値が増えてる。これでレベルを上げられる。あと、加護が嫉妬から想いに変わってるな。


『ま、何時までも嫉妬じゃ私が嫌だからね。かえさせてもらったわ。名前が変わっても効果は変わらないから安心しなさい』

『おう』


 つっても想い系の加護ってレベル上げられるのと、魔物出せるのと会話してラノベ見れるくらいしか効果知らないんだけどな。ほかにもあるらしいけどその時になったら教えるって言って教えてくれないし。


『レベルあげれるみたいだし、せっかくだからあげてしまいましょ』

『そうだな…おすすめはあるか?』

『そうね、これから訓練だってたくさんするし、まずはやっぱり持久力ね』

『なら、それで頼む』

『おっけー。はいできたわよ』

『はやっ!?』


 ゲームみたいな演出なんてものは一切なくあっさりとおわった。曰く、いちいちそんなことしてたらエネルギーの無駄だそうだ。他の人も同じような感じらしく、しかもシステムを構築して自動化しているらしい。あんまり、知りたくなかった。レベル上げにはもっと夢が欲しかったよ。


〈名前〉 ファウダー・カオ・ヘウンデウン

〈年齢〉       5

〈職業〉      なし

〈レベル〉      1

〈経験値〉      0

〈必要経験値〉   20


 生命力       0

 精神力       0

 持久力       1

 筋力        0

 敏捷        0

 耐久        0

 魔力        0

 知力        0


〈技量〉       6

〈特性〉     可能性

〈スキル〉     なし

〈加護〉    神の観察

     ルミナスの想い

      メリスの想い


 ということで変わったステータスがこちら。確かに持久力が上がっている。といっても、大人になるまでにたいていの項目は1か2くらいに上げられるため、あまり実感はわかないだろうとのこと。はっきりとわかり始めるのは5を超えたあたりかららしい。今からその時が楽しみだ。


『さて、やることも終わったし、ラノベの時間にしましょう。といいたいとこだけど、せっかく訓練が始まったんだし今日からは私たちの指導の下、体つくりを始めるわよ』

『体つくり?』

『そうよ!今から体を最適なルートで鍛え上げて少しでも早く最強になってもらうわ!ラノベはその後よ!』


 ああ、ラノベは絶対外さないのね…。

 まあ、確かに鍛えれば体の使い方もわかるし、その分レベルには反映されなくとも技量が上がっていくだろう。今日の授業の感じからして鍛えることに関しては女神たちの助言に勝るものはないだろうし、俺も賛成だ。


『なら、よろしく頼むよ』

『任せなさい!今日はスクワットと体幹よ。何事も基本は足腰そして体幹なんだから。ちゃんと指定したやり方で十回三セットと、三十秒サークル三セットよ』

『おう』


 なんだ鍛えるって言うから身構えてたぜ。その回数なら大したことないな。ちゃっちゃとやってラノベタイムとしゃれこもうじゃないか。


 ……そう思っていた時期もありました。


「ひぃ…ひぃ…太ももが…腹が…壊れる…!!」

『情けないわね。ほら、あと一セットよ。早く立ちなさい』

「ちょ、ちょっと休ませてくれ…」

『ダメよ。ラノベの時間が遅くなるじゃない』

「そ、そんなぁ…」


 ここで止まれば頭の中に大音量のアラームが響くため、許可なく止まることなどできない。なんでわかるかって?さっきやったんだよ。そしたらやられた。あれをやられるならまだトレーニングのがましだ。

 俺はゆっくりと立ち上がりスクワットの姿勢をとる。そして


『一、二、三、四…』


 というルミィのカウントと共にゆっくりと腰を下げる。その間にもすでにパンパンになった足が悲鳴を上げる。ルミィの出した課題は十秒スクワットと同じ姿勢を維持する体幹トレーニングだった。幼児の筋肉なんて知れているため、これだけで地獄のようなきつさだ。


『…そこまで!お疲れ様。よく頑張りました』

「はぁ…はぁ…じぬ」

『今日は終わりよ。じゃああとはゆっくりラノベ…じゃなかった』

「へ?」


 まさかまだあるのか?もう無理だぞ俺は。そんな不安を覚えたが次のルミィの言葉に疲れが吹き飛んだ。


『なんと、ステータスパネルのアップデートが終わってアニメが視れるようになったのよ!!』

『うおおおおっ!マジですか!?』

『マジよ。メリィと一緒に頑張ったんだから感謝なさい』

『まじ、ありがとうございます!!ルミィさんメリィさん』


 その場で土下座のような姿勢をとって感謝を全身で表す。最新刊だけでなくアニメまで見れるようになるなんて。しかも頑張れば魔法も使える。ほんと転生出来てよかったよ。


『どういたしまして。早速見ましょ。私も気になるアニメガいっぱいあるのよ』

『そうね、早速用意するわ!ファウダーも早く座りなさい』

『おう!』


 そうしてその日の夜の時間は過ぎていった。

 翌朝、アニメに熱中しすぎて寝不足となった幼児と女神がいた。

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