ステータスなんてものがあるらしい
俺がこの世界に転生して数日。依然として体は全く自由が利かない。腹が減ったら泣き、排せつをしたら泣き、それが終わったら寝る。それの繰り返し。自分の意志でできるのはルミィとの会話くらいだ。これがなかったら俺は多分発狂してただろう。意識ははっきりしてるのに自分の意志じゃ何にもできないからな。
その会話の中で分かったのは俺の名前とこの世界にはステータスがあるらしいということ。そのステータスも魂になじむまでの数日間は見ることできないそうで、今日ようやく完全になじんだとルミィから告げられた。
『それで、今日からなら見れるんだよな?それにましにはなったけど、まだ視界ぼやけてるけど大丈夫か?』
『見れますよ。目が悪くてもステータスははっきり見えるようになってるので問題ないですし』
ならば早速見てみよう。どんなステータスなのだろうか、やっぱり無双系の再現だからけた違いだったりするのかな。楽しみだ。たしか、見たいと思いながら、念じればいいんだよな。
『ステータス。おおっ!』
教えられたとおりにすると、ぱっと視界に半透明の板のようなものが現れた。ちなみに他人には見えないらしい。さあ、俺はいったいどんなステータスをしているのだろうか。
〈名前〉 ファウダー・カオ・ヘウンデウン
〈年齢〉 0
〈職業〉 なし
〈レベル〉 0
〈経験値〉 0
〈必要経験値〉 10
生命力 0
精神力 0
持久力 0
筋力 0
敏捷 0
耐久 0
魔力 0
知力 0
〈技量〉 1
〈特性〉 可能性
〈スキル〉 なし
〈加護〉 神の観察
ルミナスの想い
ふぁ⁉どうなってんの⁉無双系じゃなかったの?超ステータスでガンガンするんじゃなかったの?なんだよこれ、ステータス軒並み0じゃん。いじめ?もしかしてこれいじめですか?
『驚いているようですが、このステータスはこの世界では普通ですよ』
『普通!?これで?』
『ええ、この世界ではステータスは加算式ですから。元の能力にどれだけ上乗せされているかですね』
なるほど、だれであってもスタート地点は同じってわけか。少なくともクソ雑魚ナメクジからのスタートですってわけじゃ内容で安心した。
安心したところでさらに詳しく聞いてみると、まず職業はその人の適性に応じて発現できる力のようなものらしい。これを得るとその職業に応じて能力値が上がるんだとさ。レベルや必要経験値は言うまでもなくそのままの意味。そして、生命力から知力までが加算式で上がっていくそうだ。んで、その下の技量これが曲者らしく、これはステータスや自分の身体能力をどれだけ引き出し使いこなせるかというのを表していて、訓練や実践を通してしか上がらない。俺の場合は1だから1パーセントだけ使えるそうだ。現状を考えると納得だね。ちなみに上限はないらしいが、数字が大きくなるほど上がりにくくなる。
そして、経験値。こいつはレベルを上げるために必要になるのは当然だが、入手方法がゲームみたいに敵を倒すだけじゃなく、訓練やわずかではあるが日常生活の中でもたまっていくらしい。
で、問題はレベルのあげ方だ。ルミィによれば、
『必要な経験値を使用して任意のステータスを上昇させます。1レベルにつき1ポイントですね。イメージとしては…あの有名な死にゲー見たい感じです』
だそうだ。よりにもよって死にゲーとはな。いや好きだったけど。蹴落とし職人とか見てニヤついてたけど!実際にやるとなるときつすぎるだろ…。しかも、
『私を超える目安としては、技量が300前提で全ステータス600以上ってところですね』
とか言いやがった。ステータス項目が8個あるから、単純計算で4800レベルそれも技量とやらが300でだ。生きてる間にできる自信がない。そう思っていたが、レベルが上がれば上がるほど寿命も延びるらしい。具体的には30レベルから1上がるごとに1年ほどだそうだ。これだけなら人があふれかえりそうだが、魔物に殺されたり、病気だったりで、総数としては増えてないらしい。
『さて、スキルはないので手に入れたときに説明するとして、次に特性と加護についてお話しますね』
『ああ』
加護と特性。最強を目指すにあたって最も重要なものらしい。
まず、特性。すべての生き物が持っているものでその生物の適性や特殊な能力を表すものらしい。もちろん人によって違う。で、俺の可能性って言うのはどんな能力でもがんばれば使えるようになるというものらしい。それが魔物専用のものや、特定の特性がなければ習得できないものであってもだ。
そして、加護。これは持ってる者と持っていないものがいて、加護に応じた恩恵が受けられる。どうもこの加護の恩恵が転生におけるメインらしい。その内容が
『神々の観察というのが、簡単に言うと運がよくなって経験値が増えます。倍率は3倍ですね。貪銀とミミック頭つけた時の倍くらいです。ルミナスの想いは今行っている会話なんかのつながりです』
思ったよりしょぼかった。でも他人より3倍速く成長できると考えればかなり破格の恩恵だろう。あと、その表現はあんまり伝わらないと思うぞ。
『一応把握した。またわからないことがあったら教えてくれルミィ』
『お任せください。時間はたっぷりありますからね』
『ありがとな。じゃあそろそろ睡魔がやばいから寝るわ』
『ふふ、おやすみなさい。ファウダーさん』
『おう、おや…す、み』
そして俺はまた、深い眠りについた。
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