第14話 悲しいお知らせ

「でね、しろいひとたち、つよくて…さんひきだけだったんだけど、すごくつよくて、にげるしかできなくて。だから、キズだらけだったの。あのね、でもね、マサヨシとあえてすっごくうれしいんだ。」

途中、すごく辛い話だったが、だからこそ俺がヴィトを助けられて本当によかったと思う。

「ああ、そうだったのか。よく頑張った。そんなギリギリを生き抜いてくれて、ありがとうな。俺もヴィトと出会えてすごくすごく嬉しいよ。」

ヴィトを抱き上げ、頬を寄せる。ヴィトはキャンッ!と子犬のような可愛い声をあげ、一緒に頬を摺り寄せてくる。


何度も言うが、こんなに可愛い子が不吉なはずがないのに。

まぁ、ヴィトが聞いたというバーゲストという名前の魔獣がそれほど警戒しなければならない魔獣であるならば、仕方がないのかもしれない。

…いやでも、聞くところによるとヴィトは人間に攻撃をしたことがないと言っていた。

何もしてこない子犬を、ただ一方的に傷をつけるというのは如何なものなのか。

人間側にも理由があったということが分かったので、最初よりはマシになったものの、やはり怒りは沸いてくる。

ま、俺はいまヴィトの契約者だからな。ヴィトに寄って考えを持ってしまうのは仕方のないことなのかもしれない。


「じゃあ俺がヴィトを助けた時に見た、白い鎧の男はその強い人間軍団…見た目的に、騎士か?その騎士の1人だったのかもしれないな。あいつ、もうヴィトのこと諦めて街に戻ったようだし、不本意だが死んだと報告してくれているはずだ。」

ヴィトが言うには、その強い白い騎士たちはここ数日いきなり現れたということだったので、たぶん派遣されてきたんだろう。

「そうだな…俺もまだ身分証とかもないし、ヴィトをその街に近づけたくない。

やっぱり、他の街に行くしかない、か…森の中であまり強い敵が出ない付近を歩きながらマップで敵を見つけるしかないな。でもそうなると、やはり問題は食料問題と、1番はヴィトのモフモフが遠のくということ…!!」

悲しみから、思わずまだ腕の中にいるヴィトをモフってしまう。

「ぼく、がまん。マサヨシもいっしょ?」

「う˝っ…そうだな、ヴィトが我慢するんだ、俺も我慢…うう…」

数分、モフモフを堪能してから元気を出す。


「これからどうするの?」

「そうだな、とりあえずはマップを見ながら森の安全な範囲を歩きつつ人里探しかな。安全な範囲っていうものは俺にはわからんから、ヴィトに頼むことになるが…平気か?」

「!ぼく、がんばる!まかせて!!」

頼られたことが嬉しいのか、目を煌めかせふんふんと意気込んでいる毛玉。なんと可愛い…っ!


「よし、じゃあそろそろ出発しようか。」

ヴィトを地面に下ろし、マップを開きながら声をかける。

「うん!」

元気いっぱいな返事を聞きながら、森を横断するように足を進めた。


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