第194話 いざ精霊都市ヘイムへ

 エルメダ、リース、カスミ、ヒナ、ノン、ガッザラ、弟子のドッザ君と大所帯になった。


 ガッザラとドッザがいる為か普通ののんびりとした旅になるかと思ったら、ガッザラとドッザ君は乗合馬車の中、そのほかは馬車の周囲を歩くことになり、ここでもノンがブーブー文句垂れていた。


 ノンが歩くふりをして空間転移をまめに使っていることに気づいたがエルメダは何も言わなかった。


「ノンがズルしているの気づいてますよね?」

「あぁ」

「怒らないんです?」

「いや、あれはあれで魔素を使い切れば体内魔素の保有量を上げるだろうからいいだろう」


 なるほど肉体鍛錬ではなくそっちの鍛錬になるから放置していたのか。


 というか、ノンは歩くのもさぼるってどうなんだろう?


 カスミとヒナはちゃんと周囲警戒している為か、ノンがズルしているのには気づいていない様子だった。


「ところでリースはなんで、エルメダ様と一緒に?」

「ん、私はソラリス様の所で武術指導していたんだけどね、ついでに鍛えてやるからついてこいって誘われてね」


 次いで……?


 誰かと一緒に鍛えられるって事か、エルメダが会いに行っていたのはソラリスだ、となると想像できるのはその娘であるちび助とな気がした。


「あぁ地獄見に行くのか……」

「そんなにひどいの?」

「酷いよ!休みないもん!」


 リースの問いに答えたのはノンだった。


「へぇ、まぁ絶対健康あれば別にね」


 そのスキル奪われると思うけどな……。


「ずるい!」


 カスミ、ヒナ、ノン達はそもそもスキル与えてない状態で行っていたから基礎能力が上がったと思うが。


「ふふん♪」

「ぶ~」


 そんな感じで、道中は魔物が出れば自分とリース、エルメダは手を出さずカスミ達のお仕事として処理しながら、ジャイアントツリーに到着した。



 ジャイアントツリー到着すると、港に移動した。


「ヘイム行きってあるんですかね?」

「あぁ1つあるが、他はアカシアで乗り換えになるだろうな」


 ガッザラから一応直行便があるらしいことが聞けた。


 ガッザラは止まっている帆船を1つ1つ確認していた。


「あった。こっちだ」


 そう言うと、1つの大きな帆船の元に案内してくれた。


『へぇ加護付きだ』

「ほぉ、この船なら安全だな」


 ヒスイと腕組みしながら帆船を見ているエルメダがそう言った。


「加護付き?」

「あぁ、お前の彼女がこの船で祈ったんだろうな」


 そう言えば以前ヒスイが船や船乗りのって言っていたのを思い出した。


「はぁ」

「ちょっとまっとれ、船長に話を付けてくる」


 そう言うと、ガッザラは件の帆船に乗り込んでいった。


 しばらくするとガッザラと一緒に体格のいい1人の男が降りて来た。


 2人がこっちに来ると。


「この船の船長をしているダグラスだ、今回ヘイムの町まで送ってもらえるようになった」

「ダグラスだ、皆よろしく」


 ムキムキマッチョがニカッっと白い歯を見せた。


「ヘイムまでよろしくお願いします」

「あぁ、ところでそちらのお姉さんはどこかで会った事があるかな?」


 ダグラスがエルメダの方を見て言った。


「さぁ?私は会ったことないと思うが」

「ワシも初めて会った感じがしなかったが気のせいか?」

「だろうね」

「まぁいいや、もうじき出航する。乗ってくれ」

「んじゃ行こうか」


 皆で乗船はじめていると。


『エルメダ様がこんなところに居るとは思わないよね~』

『だね~教会に行けばエルメダ様の神像があるし、見た事があるのはそれだろうね』


  ヒスイとレムが話をしていた。


 乗船ししばらくすると出航し、ジャイアントツリーの町が小さくなっていった。

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