【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ～胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ！～

第189話 ドラゴンに襲われた町

　ガッザラの鍛冶屋を出てどうするかなと思っていると。

『ねね、暇ならリースに会いに行ったら』

『なんで？』

　そのうち会いに行ってみようと思っていたが潜入調査中じゃないのか？

『んとね、君があげたジャマダハルをちょっと前に手放しちゃったみたい』

『ん！？何かあったの？』

『リースが潜入していた部隊が襲われて全滅したんだよ』

　ぇ！？

『リースは無事なの！？』

『うんちょっと怪我したみたいだけど、影渡りで影に逃げて無事だよ』

　影渡り渡しておいてよかった！

『ってか、どこの誰に襲われたのさ、あのリースが後手に回るとか考えにくいんだけど』

『メグ様と君の彼女の手の者にだよ』

　ちび助が自分との約束通り茜君の側に居てくれてるんだと思ったら少し目頭が熱くなった。

『って、茜君とちび助が！？ってか、手の者ってなに？』

『そりゃ～大量のアンデットを操ってるのさ』

　おかしい、茜君はホラー系は全体的にダメだった記憶があるんだが？

『茜君がアンデットを操ってるの？』

『そうだよ～、生と死を司ってるからね、死者の守護者としての側面があるからみたいだけど、それに普通のアンデットと違って中に居るのは皆闇の子たち』

　闇の子達って闇の精霊ってことか？

『闇の精霊達が死体に入ってるって事？』

『そうそう～』

　それならホラーじゃないのか？

　いや、動く死体とか見た目的にグロイイメージしかできないんだけど。

『それらに襲われたと……？』

『うん』

『でもリースがそんな簡単に後れを取ると思えないんだけど』

　創造神、天神、地神の加護持ちで縮地だの色々なスキル持ちのリースがアンデット集団に後れを取るか？

『まぁ戦は個人じゃないからね～混乱とかしたらあっと言う間にね～』

『確かにそれもそうか、リースに連絡してもらっていい？どこかで落ち合おうと』

『OK』

　とりあえず無事ならよかった。

『噂の真相を知りたいからって事で、オダマキ帝国のカトシスって町で落ち合いたいって』

『噂？』

『数日前にドラゴンが現れたんだって～、それで町が半壊』

　それは、急いでいかなきゃならないやつか。

『場所教えてもらってもいい？』

『もちろん！』

　ヒスイの案内を元に町の外に出て、アイテムボックスから、バイクを取り出し跨った。

『初めて乗るよね！』

　オスカーと交換したときに初めて出したが乗ってはいなかった。

『あぁ、それじゃあお願い』

　キーオンにして、エンジンをかける。

　ブォーンブォーンと吹かしてみる。

　凄い久しぶりにエンジン音を聞いた。

　大丈夫そうだな。

　ヒスイの案内を元に走っていると。

『夜になったら影渡りを使った方が早いと思うよ』

　レムが教えてくれた。

「そっか」

　周囲に人も居ない為念話ではなく普通に声出して答えた。

　夜まではこれでいい。

「カーブがあるときは早めに教えて、減速するから」

『OK』

　速度制限もない為可能な限りスピードを出すが、舗装されていない為にバイクが跳ねる。

『お～はやいはやい～』

　と肩で騒ぐヒスイの声を聴きながら走り続けた。

　町は基本迂回して、夜になったら影渡りを使い影の中に入って移動をした。

　影の中の移動は、夜空が上に流れるのを眺めながら移動している感じだった。

　夜空を見ながら寝そべって移動しているとでもいえばいいのだろうか？

　一瞬川底？湖底？を移動したような気がしたが、本当に一瞬だったので良く分からなかった。

　しばらく影移動を使っていると。

『もうちょっとしたらカトシスが見えてくるよ』

　ならばと思い、周囲を確認して影から出た。

　ヒスイの案内する方に行くと、城壁が見えてきた。

　町の入口まで来て分かったが、城壁の周りには草木が一切生えてなかった。

『なにこれ、城壁周辺が草木もない空白地帯になってない？』

『そりゃ～ドラゴンのブレスでこのあたり前部消し飛んだからねぇ～』

『それにしては城壁は無事だったんだね』

　目の前にそびえる城壁を見ながらヒスイに返した。

『無事じゃないよ、ドラゴンに襲われた翌日にメグ様が通りかかってノーム達が復興に力を貸したのさ』

『はぁ、なるほど、ってかドラゴンは何が目的でここに来た？』

『ここはね、オーガスタ王国攻めする帝国兵の陣地だったんだよ』

『するとドラゴンは帝国兵を？』

『じゃない？帝国兵に襲われたから怒ってブレスとか？』

　ドラゴンからしたら正当防衛なのか？

『そのドラゴンはどこに？』

　とりあえず討伐しておく必要があるだろう。

『消えたんだって、周囲に中位・上位の子がいなかったから詳しい事が分らないんだけど現れるときも突然出てきて、去るときも突然消えたんだって』

『ぇ？』

　空間魔法を使うドラゴンか何か何かなのか？

　空間魔法にドラゴンね……。

『エルメダ様ってドラゴンじゃなかったっけ？』

『エンシェントドラゴンだね』

『空間魔法にドラゴンって事を考えると、エルメダ様が？』

『違うんじゃない？黒い小さなドラゴンって言ってるから多分ティアマトだと思うよ』

　そういえば、オスカーからティアマトの死体を貰ってたな。

　街道からそれたところでティアマトの死体を出した。

『これの一回り小さい奴だって』

　さっきからずっとヒスイが喋っているけど、レムは何か知らないのかな？

『そうなんだ、レムはなにかしらない？』

『そうだね、襲われたのは夜だったみたいだから詳しい事は分からないけど、ただねティアマトはダンジョン以外じゃ生息していないのさ』

　生息していないはずのドラゴンに襲われたの？

『近くにティアマトが生息するダンジョンがあるとか？』

『同じ大陸にドラゴンダンジョンと呼ばれるダンジョンはあるけど、この近くにはないね』

　なんとなくだけど、カトシスに現れたティアマトは茜君がかかわっている気がした。

「こんなところで何してんの？ってドラゴン！」

　背後から懐かしい声が聞こえた。