第186話 久々の刀鍛冶
折り返し鍛錬か、刀鍛冶の手順にもあるな。
『この人って、茜君と関係あるのかな?』
『関係あるも何も、その茜さんの加護をもっているよ』
はっ!?
ヒスイからとんでもない事を聞いた。
神様になったのは100歩譲ってよしとしよう、加護を与えられる存在になってるの!?
『なんで!?』
『ん~茜さんから目を貰ったみたい』
『ぇ?茜君は大丈夫なの?』
目を移植したのか?
『問題ないよ、自分の目をコピーして写したみたい』
自身の目が大丈夫ならいいけども、茜君は何やってるんだ。
『そっか』
茜君が加護を与える存在なら、刀作りで問題なさそうだ。
「どうも、ナットです、受けてくれて助かります」
「ワシが、ガッザラだ、身分証明するものを見せてもらっても?」
疑われてるのかな?
「えぇ、いいですよ」
ナット名義のSランク冒険者カードを差し出した。
ガッザラは冒険者カードをじっくりと見た後、自分の方を頭からつま先までチェックするように見ていた。
ガッザラが冒険者カードをこちらに差し出したので受け取った。
「ナット、鍛冶の腕前を見せてもらっても?」
まぁそうなるか。
「構いませんよ、何をすればいいですか?」
ガッザラが鉄のインゴットをアイテムボックスと思しき場所から取り出しこちらに差し出した。
「こいつで短剣を作ってくれ」
思っていた以上に簡単な試験だった。
「了解」
アイテムボックスから、金敷、金槌を取り出した。
短剣と言ってもどんな形状のを作るかな、小さい刀でいいか。
作る形状が決まったら炉と熱魔法を使いつつ鉄を打ち形状を作り、続けて研磨をし刃の仕上げを行っていく。
刃を研いでいると。
「作るのを見ていても構わんか?」
ガッザラが聞いてきた。
別にみられて困るもの出もないし承諾することにした。
「いいですよ、鍜治場を借りるお礼って事で」
「ナットは、技術を隠さんのか?」
隠す必要はあるのか?
秋津の人達がこの地に来て刀が売っていない等困る事がない方がいいに決まっている。
「ん~技術独占で稼ぐのは、いいと思いますが、自分は、持ってる技術と知識は、広めたいですね、それが技術の発展に繋がりますから」
「なるほどな」
刃先の研磨が終わった。
「大分手抜きですが、こんなんでいいですか?」
自分から短刀を受け取ると、じっくりとチェックしていた。
付与とかしていないけど大丈夫かな?
少し不安になっていると。
「奥の場所を使って構わない」
よかった、無事場所を借りられるようだ。
「お、ありがとうございます!1週間程借りても大丈夫ですか?」
「構わん」
1週間という短い時間だが、お世話になろう。
お礼はどうしようと思っていると、折り返し鍛錬中と思しき金属が目についた。
ちょっと聞いてみるか。
「ん~もしかして刀を作ろうとしてました?」
「わかるか?」
やっぱりそうだったのか。
「えぇ、それ、折り返し鍛錬でしょ」
「ほぅ、そういう技法なのか?」
ん?
知らないでやっていたのかな?
「もしかして、試行錯誤中で?」
「そうだ、依頼人から、柔らかい鉄、堅い鉄と折って伸ばし手を繰り返すというヒントを貰ったんでな」
「あぁなるほど、なら最初から教えましょう、まず本来使うのは鉄ではなく、砂鉄から作った玉鋼って金属なんですよ」
「玉鋼……?」
そこからか、自分が把握している刀作りを1から伝えるか、そう思いガッザラと店番をしていた男の子に砂鉄から玉鋼にする技法、刀の作り方、鉄以外の金属で作る際のコツを伝えた。
◇◇◇◇◇◇
1週間後
4本の刀の刃を作り終えて一息ついているときにガッザラに話しかけた。
「物作りって面白いですよね、その時の自分の心境が作品に反映される、特に刀なんかは繊細だ」
「そうだな……師匠一つ聞いていいか」
「何で師匠?」
「ワシらが知らん技術を教えてもらっているんだ、師匠で差し支えないだろう?」
「まぁ、そうかもしれませんが……」
ガッザラは4本の刀身を指さし聞いてきた。
「ところで、この後どうするんだ?」
自分で鑑定できないから彼に鑑定してもらうか。
ヒスイからガッザラが鑑定持ちだというのは聞いている。
「そうですね~ガッザラさんは、鑑定持ってます?」
「あるぞ」
「それぞれ、鑑定してもらっていいです?多分右の2本は、何らかの能力付与されてると思うんですが」
ガッザラは1本ずつ刀身を持ちじっくりと見ていた。
「ミスリルの方は、最上大業物 付与効果が、切れ味上昇だな、ダマスカス製の方は、最上大業物、付与効果が、切れ味上昇2・強度上昇2・軽量化4ってなっているが……」
「お、思ったよりいいのが出来ましたね」
数字が低いのは、オリハルコンと違いあまり魔素を通しすぎるとミスリルとダマスカスは柔らかくなり使い物にならなくなるから、あまり魔素を通せなかったが、それでも付与が出来たならよかった。
「付与効果は、稀に付くものだが、師匠は、ある程度意識して付けられるのか?」
「ん~ある程度思った物が、つけられますよ、効果のランクに関しては保証できないですけど」
「可能なら教えてもらう事はできるか?」
「別にいですけど、作る過程でも出来るけど、出来上がってからも出来ますからね?」
昔ヒスイから教わったことをそのまま伝えた。
「なんと!」
ガッザラは凄く驚いていた。
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