第185話 鍛冶師ガッザラ
学園を後にし、冒険者ギルドでナットの冒険者カードを更新しに冒険者ギルドに向かった。
ギルドの受付に行き、秋津直人とナットの冒険者カードを出すと、すんなりと更新された。
「あれ?何か言わないんですか?」
不思議に思い対応してくれた職員に訪ねると。
「はい?」
「冒険者カード2枚持ってる事について」
「あぁ、そのことですか、高ランク冒険者になると複数持ちが多いですからね、片方低ランク、片方は本来のランクとか、両方ともSランクになっちゃいましたがよろしいのですか?」
元はナットの年齢を考慮して抑えていただけだし別に構わなかった。
「大丈夫です」
「そうですか、ではまた何かありましたらお越しください」
「はい、どうもです」
とりあえずナットの冒険者カードを受け取って思った事がある。
『ヒスイに質問なんだけど、茜君って自分がこの世界に居る事しってるのかな?』
『知らないんじゃない?そもそも君より先にこの世界に来る事が決まってたし』
ならしばらく姿はそのままでナットの名で行動するか、どうせなら驚かせたいし。
『茜君の元に何か精霊が着いてるのかな?』
『ん~』
ヒスイが悩んでいたが。
『闇の大精霊が興味を持ってるね』
レムがすんなりと教えてくれた。
『なんで闇の大精霊……?』
普通に思いつくのは、生と死を司る神様になっているからか?
『ん~なんでか~言って良いのかな?』
なにその躊躇いは、何か嫌な理由でもあるのか?
『まぁいいや……、話せるときに教えてよ』
『わかった、そうする』
『なんかしらないけど闇の精霊達が凄い群がってるみたいだね』
『そうなんだよね、だから興味を持ってるみたい』
本当に何をやってるんだろうと思いながら、ソラリスさんに教わった鍛冶屋を探して王都オーガスタの街中を歩き回っていると教わった場所に武器屋があった。
中に入ると、カウンターにはドワーフの男の子が座っていた。
「いらっしゃい~」
剣、槍、短剣、斧等様々な武器が飾られていた。
『へぇ、結構腕のいい職人さんみたいだよ』
入ってすぐにレムが教えてくれた。
『ん~でも腕前は直人の方が上な気がする』
ヒスイは辛口評価だなぁ。
『そうだね、さっきの君が作った刀を見た後だと見劣りはしちゃうけどね』
『そうなの?』
正直自分から見たら武器の良しあしはそこまでわからない、作り手だから解かる部分も確かにあるのだが、目の前に飾られている片手剣とか見ていてもいい造りだと思っている。
『ここの武器はね~大業物や最上大業物とかあるんだけど全部付与されてないんだよ』
『そもそも、付与技術自体持ってる職人が少ないってのもあるんだけどね、物作りが得意とするドワーフはそこまで魔法を得意とする種族じゃないからね』
種族的なものもあるのか、それなら仕方ないのかな?
『そうなんだ』
とりあえず当初の予定通り折れた刀の代わりになる物を作るか。
「すいません~」
カウンターの奥に居る男の子に話しかけた。
「なんでしょ?」
アイテムボックスからナットの冒険者カードを男の子の前に出した。
「以前使っていた刀を直すか新しく作り直したくて、出来たら数日間鍜治場を借りれないかなと思いまして……」
自分の冒険者カードを見た男の子は“まじで?本物?”と言ったよう感じで見ていた。
「えっと……、親方に確認してきます!」
男の子が店の奥に引っ込んで行った。
『借りれるかな?』
『ん~大丈夫じゃない?ここの親方さん刀を作ろうとしていたみたいだよ』
鍛冶師にとっての作業場を貸してというのはどうかなと、不安に思っていたがレムが思いもよらない事を教えてくれた。
『ぇ?』
『なんかね~男の子とその親方さんがそんな話を今してるんだよ』
なるほど、精霊お得意の盗聴ですか。
『そうなんだ』
刀を欲しがる人、秋津の人間か茜君位な気がしている。
生前茜君は、刀剣博物館に興味を持っていてちょいちょいデートで行ったし、展示されている刀の背景を調べたりしていたのを覚えている。
そんなことを思っていると、男の子が戻ってきた。
「親方が構わないって!ついてきて!」
無事OKが出たようだった。
男の子の後についていくと、立派な髭と蓄え、ガッチリとしたドワーフがいた。
そしてその横の金敷の上には折り返し鍛錬をしていたであろう物が乗っていた。
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