第183話 いざ!オダマキ大陸へ!

 謎のペスト騒動も収まり一度ミアン宅に戻り報告した。


 カスミ達3人は外で遊ばせ、自分の両親とミアンが、リビングでお茶を飲みながら話をしていた。


「なんか、良く分からない事が起きてペスト騒動は終わりました……」

「良く分からない事ってどういう事?」

「いやほんとに良く分からなくて、医者としてもこんなことはあり得るはずがないと思える内容で……」


 本当にそう説明するしかない、ウィルスが突然一斉に消えるとか普通にあり得ないし……。


「まぁ何はともあれ、村も子ども達も無事ならそれでいいじゃないか、それでナットよ、お主そろそろソラリス様に会いに行った方がいいよ」

「あ~自分もそろそろオダマキ大陸に行こうかと思ってました」

「そうかい、ならこれを」

「これは?」


 ミアンから手渡されたものは白い細く長い毛で編まれたものが着いているお守りの様な物だった。


「ソラリス様からの預かりものだよ、これを握りしめ行先をイメージしないで空間転移か影渡りを使ってごらん」

「ん?なんで今?」

「ソラリス様からね予知で見た騒動が終わったらこれを渡すようにと依頼されていたのさ」


 良く分からないが、受け取った。


「ありがとうございます」

「いいえ、カスミ達は預かっておけばいいかい?」

「あ~お願いしても良いです?事が片付いたらこっちに戻って来るんで」

「はいよ」

「ナットようやく会えるんだね~よかったねぇ」


 自分の両親には彼女に会うためにこの世界に来た事と、時期がそろそろだというのは話していた。


「まぁ逢えたらちゃんと紹介します」


 茜君はあまり人見知りするようなタイプじゃなかったと思うし、両親を紹介させてくれると信じている。


「ふっふっふ待ってるよ」


 本当に女性ってこういう話が好きだなとか思いながら雑談をした。


 お開きになり先ほどミアンから預かったお守りの様な物を握りしめ目を閉じ空間転移をすると。




 ◇◇◇




 どこかの学園の校長室のような所にいた。


 目の前にいる女性がこっちを振り向きながら。


「やっと来たね~」

『『ソラリス様だ』』


 レムとヒスイの声が被った。2人の大精霊がそう言うって事は目の前に炒り白髪のお姉さんはちび助の母親であり、この世界の地の神ソラリス様なんだろう。


 というか、ミアンから受け取ったお守りの様な物は、部屋の前とかじゃなく部屋の中に飛ぶように仕組まれてたのか……。


「えっと初めまして……」

「あぁ、はじめまして、私はこの世界の地の神ソラリスです。よろしくねナット君いまは秋津直人君の方がいいのかな?」


 結構美人な白髪女性だ。


「よろしくお願いします。名前はどちらでも大丈夫ですが、今の姿は秋津直人です」

「ふっふふ君は本当にノリそっくりだね、それから娘がしたこと本当にすまなかったね」


 おそらくちび助がきっかけで茜君と離れ離れになった事を指しているのが分かった。


「いえいえ、茜君がちび助を許しているならそれでいいです」

「そうか、ところで少し話をしてもいいかな?」

「ん?なんでしょう?」


 その後は、ソラリス様から生前の医者としての話や、生前の世界の事等を色々聞かれた。


 その話の中で、ナットがAランクのままだと思い出した。


 もう年齢的にもSにしても問題ないし、ここを出たら冒険者ギルドに更新に行こうかな。


「すまないね、色々聞いておきたくて」

「はぁ……」


 おそらくミアンの予知夢と関わってくる事なんだろうと思った。


「それでどうだろう?少し私と手合わせしてみないかい?」

「手合わせですか?」

「そう、君はエルメダに鍛えられたんだろう?それにヴェンダルの剣聖と言われているナット君」


 剣聖と呼ばれていたのか、なんか昔効いたことあるけど何がきっかけだったっけ……?


 この世界の神様は好戦的だな!?


「まぁそうですが……、剣聖と呼ばれている理由が……」

『多分君じゃ一生かけてもケガさせられないくらい強いよ』


 ヒスイがそう言って来たが、そもそも自分はただの人だし勝てるとは思っていない、エルメダ様と対等の立場の人の強さを見ておくのも何かになるかなと思った。


「そうなのかい?20年ほど前にヴェンダルで人を斬らずして鎧のみを切った秋津の子ども侍が居ると噂が流れていたんだよ」


 それはなんか違う気がする。


 おそらく第1騎士団から第6騎士団の模擬戦かその後のエキシビションマッチの事だと思うが、あれはシステム上そうなっただけだし、まぁいいか……。


「わかりました。胸を借ります」

「ふふ、いいね~、それじゃあ場所を移そうか」


 そう言うと部屋から廊下にでた。


 なんか、制服を着た若い子が多いきがする。


「ここは学校か何かです?」

「そうだよ、オーガスタ王国王都オーガスタにある白狼学園さ」


 あぁ、やっぱり学校だったのか。


「一応茜君も在籍しているんだけどここ数日姿を見てないかな」

「何かやってるんです?」

『オダマキ帝国の戦争に首突っ込んでるんだよ』


 レムが教えてくれた。


 何しちゃってんの!?戦争に首突っ込むとか!?

 

 戦場の看護師でもしてるのか?


『ってか、オダマキって今リースが行ってるところじゃなかったっけ?』


 エルメダ様から解放されたときに、ヒスイがなんかそんな事を言っていたような気がした。


『そうそうリースが潜入中の所だね』

「精霊さんから話を聞けたかな?」

「えぇ、オダマキの戦争に首突っ込んでると……」

「戦争と言えば戦争なのかな?正確には後継者争いに首を突っ込んでるね」


 面倒ごとに首突っ込むような子だったかな……?


 自分の中の茜君の記憶が美化されているような気がしてきた。


「良ければ知ってる事を教えてもらっても良いです……?」

「いいよ、元々同じ学年にナンシー・オダマキって、帝国の姫様が居たんだけどね、その子を弟子にしていたんだけど、先のペスト騒動が終わった後茜君の友人の船が帝国の船に襲われていてね、そこからその戦に首を突っ込んでいる感じかな?」


 何してんだあいつは、というかペスト騒動?


「こっちでもペストが流行ってたんですか?」

「うん、とても限定的だけどね、ジャイアントツリーとその隣のリリィー位までしか広がっていないね」

 

 どこだそれ?

 と思いつつも、限定的というからには、ポートパラダイスより後の流行だったという事だろうか?

 まさかの狭い範囲で終わったとは……。


「そのペストってどうやって終わったんですか?ヘインズでは意味不明な終わり方をしたんですよね」

「意味不明か~そりゃそうだろうねぇ、ネア様と茜君が絡んでるからね」


 なんで創造神と茜君が絡んでるんだ……?


「それはどういう……?」

「どういえばいいのかなぁ?まぁ今茜君は人の神になっているからね、それでネア様と一緒に神の力を行使したといったところかな?」


 まさかの神様になり上がっていた!?


『ぇ!?そうなの!?』

『うん、生と死や船・船乗りの無事とか色々な事を司る神様になってるね』


 なにやってんだ!?


 ペストの件は分かった。


 とりあえずはそれで理解しておくとして、何をどうしたら神様になってるんだ!?


 新たな謎が生まれた。

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