第176話 20年後の王都ヴェンダル オーレリアとセリエ

 ノンの亡きあと、オーレリアとセリエを含め第1騎士団の方々とノンの葬儀をした。


 カスミ、ヒナ、ノンの所属はオーレリア直属の第1騎士団、いわゆるロイヤルガード、宮廷魔道師と呼ばれる人たちの所属になっていたことをオーレリアから聞いた。


 ついでに言えば、セリエが第1騎士団の団長になっているという事も聞いた。


 嘗ては第6騎士団でも頼りない存在と言われていたセリエがエリート騎士団の団長か。


 時間が流れれば大きく変わるもんだななんて思っていた。


 ノン葬儀後の女王の私室にて、セリエがオーレリアの横で立つ中、オーレリアと対面していた。


「改めて、お久しぶりですね」

「えぇ、お久しぶりです」


 あれから20年だ、オーレリアも30代後半という年齢だろうが綺麗なお姉さんと行った感じだった。


「ヴィンザー殿から天神様に連れて行かれたと聞いていましたが……」

「つい1カ月ほど前に解放されました」

「そうでしたか、20年以上もどこで何をしていたのか聞いても?」

「かまいませんよ、エルメダ様の創る空間でひたすら闘いの日々を送っていました」

「天神様の創る空間で……、私の中ではあまりいいイメージが出来ないのですが……」


 それは正しいと思う。


「良い事なんてあまりなかったですね、スキルを奪われた状態での闘いの日々でしたから……」

「さすが戦を司る方ですね……、ヴォーネスには?」

「少し前に行き、リコリスさんとオスカー夫妻と会っています」

「そうでしたか、あなたはこの後どうするのですか?」


 SSランクを目指すならハーブティッサ王国でオリハルコン塊を渡せば推薦状を貰えるとエルメダ様から言われているが、ブラン村に戻り茜君が来るまでのんびりしようかとも思っている。


「そうですね、しばらくは故郷のブラン村でのんびりしようかと思っています」

「そうですか、何かあったら使いの者をだしてもいいですか?」

「かまいません、こちらからも何かあればこちらにきますので」

「ありがとう、このあと夕食でも一緒にどうですか?」

「ありがたく頂戴します」


 さすがに断れないし、綺麗なお姉さんとの食事位は別に大丈夫だと思う。


「そう、よかった。場所を変えましょうか」

「えぇ」

 

 セリエはなんか一言も発さないな、第1騎士団の団長として任務中の私語は!とかそういう状態なんだろうか?


 場所を移すと、オーレリアの横に居たセリエが居なくなり、別の騎士が着いていた。


「あれ?セリエは?」

「勤務時間が終わったので交代ですね、もうすぐここに来ると思いますよ」


 場所を移すと10名程のメイドが居た。


 席にに付き運ばれてくる料理を見ていると、私服姿のセリエが入ってきた。


「やっと、お仕事終わったのでおしゃべりできますよ~」


 セリエも変わらないな、喋り方が懐かしい。


「ふっふ、ナット君が居なくなってからセリエも大分変ったんですけどね、今じゃかつてのイヴァン将軍と同じ立ち位置でもあるんですよ」


 懐かしい名だ、最後に会った時でも60~70代って感じだったが今はどうしているんだろうか?


「そのイヴァン将軍は?」

「町の方で道場を開かれてますね、剣術だけではなく戦術のほうも教えているんですよ」


 老いてもなお盛んな方だ、


「あの方歳っていくつなんです?以前会った時すでに60~70代だと思っていたんですが」

「間違ってないですよ、今年は82歳ですからね」


 元気な爺さんだ。


 その後セリエを交えて昔話に花を咲かせた。


 カスミ、ヒナ、ノンが報復に来たナンバーズと対峙した際、ノンは文字通り体を張ってオーレリアを守った事、カスミとヒナの連携攻撃が凄かった事や、ヴォーネス騒動後のセリエの働きや等の話を聞いた。


 時間も時間になり、お開きになり城を後にしようとしたとき。


「オーレリア様、ナット君にあれを渡さなくていいんですか?」


 セリエがオーレリアに伝えていた。


「あっ、そうでしたね、ナット君少し待ってもらっても良いですか?」


 なんだろう?


「ん?はい」

「んじゃ私がとってきますね」

「うん、お願い」


 セリエはそう言うと部屋から出て行った。


 しばらくした後、小さな青い箱を3っつ持ってきた。


「そのまま渡しちゃって」

「はい」


 セリエは返事をすると自分の側まで来て持っていた3つ小さな箱を自分に差し出した。


「これは?」


 オーレリアの方を見て聞いた。


「カスミちゃんたちの毛です。あなたと再会したら渡そうと思っていました」


 なるほど、形見というか遺髪ってやつか、セリエから3つの箱を受け取った。


「ありがとうございます。大事にさせてもらいます」

「えぇでは、入口まで見送りますよ」


 この国のトップがそんなことしてもいいのだろうか?


 という疑問が湧いた。


 そこは自分らの仲だから?それとも自分が使徒だから当然なのか?


「ありがとうございます」



 城のロビーまで、護衛の近衛の人合わせて4人で歩き、別れた。


 ヴェンダルの町もどりかつての我が家は?と思い自宅のあった所に行くと、既に別の建物が建っていた。


 オスカーかチェルシーがアイテムボックスにいれたのかな?


『君の家は、オスカーが持ってるよ』


 ヒスイが教えてくれた。


『そうなんだ』


 それならそれでいいか、懐かしき故郷に帰ろう。


 ミアンの家と言っていたが一旦は村の自宅前をイメージし空間転移をした。

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