第173話 20年後の首都ヴォーネス オスカー夫妻
モリソンを出てから数日後首都ヴォーネスについた。
首都ヴォーネスは、あの頃より1周り位規模が大きくなっていた。
ヴォーネスの街に入ると、首都らしくこれまでの街とは段違いの活気があった。
戦時中と違いを感じながら冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルドに入るとやはりそこも活気にあふれていた。一番左の受付に向かい受付の人に話しかけた。
「すいません、ここのギルマスってオスカーさんですかね?」
「はいそうですが……」
受付の人が不審者を見るような目を向けてきた。
「あぁすいません」
自分の冒険者カードを受付嬢に差し出した。
「秋津様……、直ぐにマスターの元に案内します」
受付嬢がいそいそと出していた書類を片付け、3階のギルドマスターの部屋まで案内をしてくれた。
部屋に入ると久々にオスカーの姿があった。
「お!下がっていいぞ」
それだけ言うと案内してくれた受付嬢が部屋から出て行った。
「久しぶりだな、ユーロンスで天神様に連れ去られたと聞いていたが……」
「そうですね、1か月くらい前に開放された感じですね」
「はっは、おまえの真面目な喋り方変わらないな、だが雰囲気が変わってるな、何があったんだ?」
その後はエルメダの支配する空間での稽古?修行?の話をした。
「そんなことやってたのか……、たしかに腕周りの筋肉の付き方があの頃とは違う気がするな」
「すこし手合わせしないか?」
「お手柔らかに……」
オスカーと一緒に地下の訓練場に移動した。
「最初はスキルなしでやろうか」
「了解です」
オスカーが武器を手に取らないので、こちらも素手で相手をする事にした。
オスカーの攻撃を流したり受け止めたりして思った事、攻撃が軽くなっていた。まだ極限状態の集中もしていないし、素早く動く事もしていなかった。
「おまえ強くなった……、腕も大分ガッチリしてるじゃねーか」
「3日間戦い続けたりしたら嫌でもなりますよ……」
休憩もなくひたすら戦い続けたら無駄な脂肪は嫌でも落ちるだろうよ……。
「そんなこと言ってたな」
その後オスカーの動きに合わせて防いだり受け流しをしながら改めて強くなったことを実感した。
適当な所でオスカーの攻撃を受け止め、腕を絡めて捻り投げ飛ばした。
「ふぅ~お前全然本気出してないな……」
オスカーは立ち上がりながら自分に向かって言った。
「そうですね……」
「クソォー俺もエルメダ様に師事しかったぜ……」
まぁ強さを目標にするならだれもがそう思いそうだな……
「まぁいい、チェルの所にいくか」
「商業ギルドですか?」
「いや、あいつはギルドマスターを引退したよ。俺の家にいる」
やっと結婚したか、あれから20年たってるんだ、結婚してなかったら自分が作った指輪が泣いているはず……。
上に上がり、オスカーが受付に少し出てくると告げ、冒険者ギルドを後にした。
ヴォーネスの街中を歩くこと10分くらいだろうか?1軒の大きな家に着いた。
「ここですか?」
「あぁ」
門をくぐり玄関まで来ると人様のお宅にお邪魔するのはもう何年ぶりだろうとか思いつつドキドキしていた。
オスカーが玄関を開けると。
「チェル、直人が帰ってきたぞー!」
と大声を出していた。
すると奥の部屋から、小学生くらいの男の子とちょっと老けたチェルシーが顔を出した。
「直人久しぶりだね~」
「チェルシーさんお久しぶりです」
「上がっていきな、今夜泊る場所が決まってないなら、うちに泊まっていきなよ」
なんかグイグイとくるな。と思いながらオスカーを見ると、オスカーの方も同意見のようだった。
「2人とお子さんが迷惑じゃなければ……」
「大丈夫だよ」
お子さんまでOK出すのか、初対面なんだけどいいのか?とか思いつつお邪魔した。
その日の夜は、2人のプロポーズの時等の思い出話を聞いたりしながら夜が更けていった。
翌日は一宿一飯の恩として、オスカーの相棒ハクトウワシを模した木彫りの像を作った。もちろん、厄除けや健康でいられれるように祈り作った。
「ビークか、あいつが見たら喜びそうだな」
「まぁ、厄除けとか皆が健康で入れるようにとね」
「ありがとうね直人」
「こちらこそ美味しいごはんありがとうございました」
オスカーチェルシーはニコニコして笑顔だった。子供はまだ寝ているのか遭わずに、オスカーと共に、家を出た。
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