第153話 道なき道の行軍
モリソンに来た日の夕方、これから度しようかと作戦を考えながら街の入口門前で待っていると、250の狼衆に騎乗したリンクル族達が集まってきた。
250の狼騎兵隊の隊長と思しきリンクル族が自分の前に来た。
「御使い様!全員そろいました!」
「君がこの隊の隊長なのかな?」
「はい!自分の名はヴィジュと申します!我々は皆あなたに救われた者達です!御使い様と共に戦えることをうれしく思います!」
後ろのヴィジュの後ろに居る隊員達も頷いていた。
士気は高そうだな、彼らを無事にヴィンザーに返さないとな、それが自分の最優先課題だろう。
「わかりました。自分の名は秋津直人、皆さんの命を預かります。狼衆の皆は乗っている人が傷付いたら必ず自分の元に来てね」
「「「「「ウォフ!」」」」」
言葉で返すと思ったが狼衆は皆吠えて応えた。
「よっし!全員騎乗!これから森の中を突っ切って山を越え彼等の背後にあるダロナ街道に行きます。自分が道を作るので狼衆は自分の後を!隊員諸君は振り落とされないように!」
彼等が集まる前に考えた策は、彼らの陣の背後を取る事、そして後方から少数のリンクル族達による火魔法の雨を降らせ、敵を誘い出し、特定の場所まで誘ったのち伏せていたリンクル族と狼衆による奇襲するという作戦だ、どれだけの敵が釣れるかが鍵にはなるが、逃げきれずに捕まるという事は無いはず、自分も火矢で陣の奇襲するメンバーに加わるし一番危険な囮役は無事に済むはずだ。
モリソン防衛する兵士達により、街の門が開かれた。
「よっし!出発!」
『ヒスイ、例のポイントまで最善ルートの草分けを』
『OK!』
街を出ると街道を横切り、直ぐに森の中へ、足元はヒスイが草分けしてくれるので、自分は行動速度上昇を使い、邪魔になる枝や草を切り落としながら走っていく、狼衆も1列になって自分の後についてきていた。
『直人!1時の方向にブラックウルフ12匹の群れ!』
ウルフ系か、狼衆の新メンバーとして雇うか。
『狼を味方にする。そのブラックウルフを経由するルートに!』
『OK』
しばらく森の中を走っていると。
『もうすぐ見えてくる!』
自分は左手を上げ、後に続いている狼騎兵に異常があるよ合図をした。後ろを見ると、リンクル族達も自分同様に左手を上げ後方に居るメンバーに知らせていた。
自分の減速に対して後ろの狼騎兵も減速していたので事故は起こらないだろうと判断した。
減速しながら森の中を進むと、ブラックウルフの群れを見つけた。そのまま群れに突っ込み、神の手を使い1匹ずつに触れ、従順になるように記憶の改変と、狼衆と同じ行動速度上昇、縮地、アイテムボックス、絶対健康、言語理解を与えた。
「今仲間になった子、自分の影に!」
「「「「「ウォン!」」」」」
12匹とも直ぐに自分の影に飛び込んだのでそのまま、本来の目的血を目指した。
時々ヒスイから行軍に支障をきたしそうな魔物の存在を教えてくれるので、都度ルートを変更し魔物討伐や、狼系なら仲間にしながら進んで行った。
足元には草木よりも、落ち葉や枯れ枝等が大半を占めるようになり、ヒスイも落ち葉や枯れ枝を左右に移動させ歩きやすくしてくれた。地面が柔らか過ぎたので踏み込むたびに、周辺の地面をガイアコントロールで整地、水分魔法で地面の水分を奪い道を作っていった。
足でも魔法が使えるかどうかぶっつけ本番でやってみたが、どうやら出来る事を今知った。
しばらくすると、山の頂上付近と思しき所を越えると、これまでは緩やかな斜面を駆けあがっていたが、反対側は崖とまでは行かないが角度が60度を越えていそうな急斜面になっていた。
このまま、急斜面を下るか?この斜面に道は使う人がいなさそうだな、階段状にすべきか?狼衆なら坂道で良さそうだが、普通の人が使うなら階段の方が良さそうだよなとか思い悩みつつも、山頂に何か施設をというときの為に、右側1mは坂道、左側1mを階段状にしながら斜面を滑り下りて行った。
『器用な事をするね~』
『褒めてくれてありがとう』
斜面を下りながら後ろを見ると、狼衆はやっぱり階段状の方ではなく坂道の方を使って降りて来ていた。
坂道を下る狼衆に対してその背中に必死にしがみつくリンクル族を見てて思った。バイク好きの自分でもこの道をバイクで下りたくなかった。何かのはずみで後輪が浮いてそのまま転げ落ちそうだ、それくらいこの斜面は急斜面なのだ。
進んで行くと急な斜面が大分緩やかになり、やがては平地になった。
『もうすぐ目的地につくよ!』
ヒスイが言った通り、しばらく進むと目的地のダロナ街道に着いた。
後続の隊員達がそろうのを待ちながら、既に来ている隊員たちを見ると、狼衆はケロリとしているのに対し、リンクル族の皆はヘトヘトになっていた。
まぁあれだけ必死にしがみついていたら余計な所に力が入って疲れるわな。
目的地に着くまでに30匹のブラックウルフを仲間にした。
「影に居る子達出ておいで」
そう言うと、影からブラックウルフ達が出てきた。
「周囲の魔物狩りをお願い、君たちの食料になる魔物達がいたら狩っていいけど、食べる時間は後で取ってあげるからその場で食べないでアイテムボックスに入れおいてね」
「「「「「ウォン!」」」」」
理解してくれたかな?
「よっし行っておいで!」
「「「「「ウォン!」」」」」
それだけ言うと、7匹の子狼とその母親と思しき2匹の狼を残して森の中へ消えて行った。
隊員達もヘトヘトだし、火を使うと気づかれる可能性があるので、使わないように注意し、夕食休憩する事にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます