第152話 モリソンへ
日が昇り始めていたため影渡りは使わず、行動速度上昇と縮地を使って移動することにした。
道中リース達の話を聞くことにした。
『ヒスイ、リース達はいまどうしてるの?』
『2週間位前にユーロンスの街全体が結界に覆われて街から追い出され入れなくなっちゃったみたい』
結界の中に居ても追い出されるのか?
『2週間前に?何かあったの?』
『5000人程の兵と悪魔憑きの気配がする人が街を出て行ったんだって、手薄になるから信者以外に入れない結界かもね』
結界だけで防衛出来るって、見張りの兵を配置する必要がなく羨ましいんだが……。
『それまで集めた情報は?』
『あまりないみたい、街のあちらこちらに結界が張られて主要施設に入れず移送されたリンクル族の所在もつかめずだって』
『聞き込みとかは?』
『収穫無だって、街の人達の様子は普通の人達と変わらないんだけど、教団に関する話は教えてくれなかったみたい』
徹底した情報統制でもしているのだろうか?
だとしたら何故?何か秘密があるのか?
『それなら今リース達はどこに?』
『ユーロンスの北にあるセージャっていうリンクル族の隠れ里を拠点にしているみたい』
『里の人達は協力的なのかな?』
『みたいよ』
リース達の方は大丈夫そうかな?
昼過ぎには、モリソンに到着した。
モリソンの街中は既に防衛準備が出来て多くのリンクル族と人族、そしてヴィンザーに預けていた狼衆が居た。
「あ、御使い様!ヴィンザー様の元に案内しましょうか!?」
自分に気づいた1人のリンクル族の兵がこっちにやってきた。
「頼んでいい?」
「はい!こちらです!」
案内されたのは、川沿いの城壁の上だった。
「ヴィンザーさんお久しぶりです」
「御使い殿久しぶりだな、今日はどうしてここに?」
「こちらが襲われていると聞いたので」
「奴らが来たのは昨夜だというのに耳が早いな、さすがと言ったところか」
たまたまエスティア近くにフェアレ獣王国の獣人達が来た為前線の様子を確認したと伝える必要はないかな?
「そうですね」
「そうか、何か手立てはあるのか?」
「そうですね、夕方になったら数名の狼衆と、狼に乗り慣れているリンクル族を借りたいのですが」
「半数ほど連れて行って構わない」
首都ヴォーネスを落とした後、ヴィンザーからの希望で戦にリンクル族を参加させてほしいと要望があった。いつまでも自分に頼ってばかりで申し訳ないからという理由だった。
そのため今回の戦からヴィンザーの要望通りリンクル族と共に戦う事に方針転換したのだった。
半数って、預けている狼衆は500匹程だ、その半数となると約250かそれくらいでいいかな?
「ありがとうございます。相手の人数は把握しています?」
「あぁ、約3000だな、味方は狼達を合わせても2000そこ等しかいないな」
攻城側は防衛の3倍の人手が必要と言われていし、それを考えたら籠城するなら十分な人数だ、問題があるとしたら、ここに向かう途中でヒスイから聞いた5000の兵と、ヴィンザーから聞いた3000の兵数の差が気になった。
「ヴィンザーさん、ここからユーロンスまで行くのに街ってあります?」
「あぁ、セトミシって街があるな」
その街の防衛戦力なのか?
『ヒスイ、あの陣中に悪魔憑きはいるか?』
『ん~そんな気配はないかな』
気配がある人が出たと言っていたがここには居ないのか、地面に地図を広げてセトミシ、ユーロンスの位置を確認した。地図を見るとユーロンスまでは1カ月位、そしてモリソンとユーロンスのちょうど中間あたりにセトミシがあった。
「ヴィンザーさん、ここからユーロンスまで1カ月くらいかかります?」
「そうだな」
「セトミシまでは2週間位です?」
「そんなもんだな」
ユーロンスを出た兵がここに来るのはあり得ないか、とりあえず悪魔憑きが居ないなら必要以上に兵を消耗せずに済みそうだった。
問題は、兵を借りたもののどう対応するか考えていなかった。しいていうなら川沿いに陣取っている背水の陣状態を利用してやろうと思っていたくらいだった。
どうやって彼等を追い出すべきかこれから考えないと……
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