第105話 イヴァン将軍お提案
第6騎士団の宿舎に戻り、自分とセリエが皆の中心になり食堂で勝利の祝杯をあげていた。
下戸&ナット6歳、現在未成年なのにコップに酒を注ぐとかやめてほしい、酒の匂いだけで頭痛くなってきたので、隠密と行動速度上昇を使い食堂から抜け出し外にでた。
のんびり夜風にあたっていると、横から声がした。
「なんだ、主役がこんなところに居てどうする」
声のした方を見るとそこにはイヴァンがいた。
「自分は子どもですよ、酒とか身体によくないですからね」
「剣の腕と言い喋り方と言い全く子供らしさを感じないが」
そこは自覚している、子どもらしい演技をしたことはあったが、素で子どもらしい行動はしたことが無いはず。
「自分の正体を知っているんでしょ?」
「あぁ、使徒本人だって事は知っている。だからこそ腕を試したいと思った」
なるほど、自分の実力を測るではなく、自身の実力を見極めるために一騎討をしたのか。
「そういうことでしたか、で何かいいことありました?」
「そうだな、上には上がいることを改めて思い知らされたが、わしにもまだまだ可能性がある事を知ったな」
「それはようござんした。姫様なら中に居ますよ」
ふぅと一息つきながらイヴァンが横にきた。
「姫様とは落ち着いてからでもよい、それよりも主に聞きたい」
「ヴォーネスの情報はどうやってつかんだ?」
どう話すべきか。リースの事を伝えるか?
素直に手の打ち明かす必要もないかな?
「信用できる人物がヴォーネスに潜入している。と言えばいいですか?」
「ふむ、諜報に長けた知り合いがいるのだな?」
「そんなかんじです」
「そうか、お主はこれから先どうなると思う?」
「さぁ?自分はまだこの世界に来て6年程なので詳しくは……」
「そうか」
すると、イヴァンがライトの魔法を唱え、どこからかともなく地図を出し地面に広げた。
「ここを見よ」
そう言って、イヴァンが指さしたのは、ヴォーネス共和国領にあるエスティアという町だった。
「ここがどうしたんですか?」
「20年前の戦でヴォーネスにとられた街だ、ここをどうにかして取り返したい、主ならどうする?」
20年前の戦でって事はずっと取り返せてないのか、どうするといわれてもな、戦略とか専門外なんだが?しいて言うなら三国志が好きで漫画やゲームを何度か読み返したり、やっていたため出てくる策略は一通り頭に入ってる位だった。
素人目線でいいのだろうか?
「自分は戦略とか詳しくはないのですが、エスティアとペンジェの湾があるところから公国に船で向かうならこの岬を通らないと駄目ですよね?」
エスティアとペンジェのある湾から公国側に行くにはヴェンダル王国領にある岬沖を通る必要があり、その岬を指さした。
「そうだな、ここの沖合を通るのは間違いないだろうな」
「この岬から一直線にエスティアに行くためには何か障害ありますか?」
地図上では高度差が分からないため聞いた。
「そうだな、その岬からエスティアに行くには、急な坂を下る必要があるな」
「現地を見ないと何とも言えませんが、この岬に砦等の拠点建築して逆落としは?」
山の上に拠点を築くと包囲される等の欠点があったはずだが、背後は海だからその欠点もないと思っている。最悪自分が突っ込めばいいだけの話だ、
「拠点を作るのは構わんが、ヴォーネス領の目の前だろ、邪魔が入るだろうな、それにエスティアを囲む城壁はどうする?」
一夜城フラグ!?坂を下ると言ったから断崖なのか?
「この岬って断崖に囲まれてるんです?」
「あぁ、海面までは200mほどあるな」
大分高いな。
「陸側は?」
「木々に囲まれているな」
森の中と、巨大な岩を転がす環境ではないな、ただ木々に囲まれているなら隠れて建築は出来そうだと思った。
豊臣氏が小田原攻めの際に作った、石垣山の一夜城がそういう要領だった気がした。
「それなら木々で隠すように拠点の構築すれば相手側も気づくのが遅れるんじゃないですか?」
『そんな手間をかけなくても、土魔法でちゃちゃっと立てればいいじゃん、魔素で建物を作るんじゃなくて、地面の土や現地の木々を使って建てれば壊れない限り使えるよ?』
なるほど、ここはファンタジーな世界でした。
「ふむ、人出はどれくらいいる?」
「いやいらないです。なんか土魔法ですぐできるらしいので」
「魔素切れしたら崩れるだろう?」
「現地の土なんかを使えばそうならないと聞いています」
「なるほどな、ならば私と、第6騎士団でその拠点につめるとしようか、いつからやる?」
あれ?
拠点づくりは確定してる?
「いつからですか?明日から?」
「ふむ、意表を突くにはそれが良いな、ならば明日セリエと共に現地に向かって砦建築の準備をせよ」
あれ?自分がやるの確定?
「1つ質問なんですが、自分がやるの確定なんです?」
「自分で言い出しただろう?」
「いやいやいや!確かに言いましたけど、地図を見る限り街道からかなり外れてますよね?道も作らないと駄目なんじゃないですか?」
「ならば作れば良かろう。お主は土魔法を使えんのか?」
「使えますけど……」
「ならばお主の力を見せてもらおう、追って第6騎士団と私も向かう」
ぇ~!既に2万の兵がいるエスティア攻めが決まった瞬間だった。
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