第101話 セリエの武器

 食堂でセリエと別れた後自分の部屋に戻ってきた。


 無限に使える投擲武器、ブーメランのようにて元に戻ってくる事が大事だ、付与魔法で自動帰還機能を付ける必要がある。


 見た目的にかっこよく威圧感のある武器はなにかあるかな?

 投擲武器と言えば手裏剣、1m四方の大型手裏剣にするか?

 もう1つはチャクラム、戦輪や円月輪と呼ばれる武器だ、近接時も使えるように直径30~50㎝位にするか?


『ねぇヒスイ、付与魔法で自動帰還機能ってつけれるよね?』

『自動帰還って付与効果はあるね、ただね~』

『ただ?』

『どこに戻ってくるか指定しないと怖いかも~』

『持ち主指定とかできないの?』

『できるよ、例えば君の刀なら鞘と対になってるから無くしても鞘に戻ってくるんだけど、そうじゃなくただの持ち主指定だと、君の身体めがけて刀が飛んでくる可能性もあったり……』

『怖っ!なるほど投擲武器ならグローブとかと対にしないとってことか』

『そうそう~そうすればグローブに握る部分が帰ってくるように出来るはずだよ』


 その原理が分れば簡単だ、作る武器はチャクラム、材料はオリハルコンと、ファイティングカウの牛革のハーフフィンガーグローブ、そしてチャクラムに付与する内容は、自動帰還、切れ味上昇10・強度上昇10・軽量化10だ、これで決まったので作り始めた。


 深夜なので、大気操作で自分の周囲音の振動を0にした。


 直径50㎝握り部分拳ふたつ分のチャクラムを2つ作り始めた。

 行動速度上昇を使いどんどん工程を進めていく、武器制作は慣れているせいか順調に作り終えた。生前革細工アクセサリーしか作ったことなかったのにファイティングカウの牛革グローブもスムーズに出来た。


『ヒスイ鑑定して』

『はいはい~自動帰還、切れ味上昇7・強度上昇8・軽量化6だね~もう1つは自動帰還、切れ味上昇10・強度上昇6・軽量化8だねグローブの方も自動帰還受け出来るようになってるよ~』


 まぁ完璧なものではないが、間に合わせとしては十分だろう、試しに外に出て投げてみよう。


 宿舎を出て目の前の広大な広場に来た。


 月の位置も高く、月明かりを頼りに辺りを見回すが誰も居なかった。


『ヒスイ、広場に誰も居ないよね?』

『うん、誰も居ないね』


 念のためにヒスイに確認したが、誰も居ないのは間違いなさそうだった。


 よし投げよう!

 両手にグローブを装着しチャクラムを、ブーメランを投げるように投げた。

 

 夜目と見切りのおかげか投げたチャクラムが良く見えた。


 50m先までは飛んでいる気がした。


 チャクラムが戻ってきたのをキャッチしようとしたが8割近くが刃の部分だ、キャッチを躊躇し手を引っ込めた瞬間チャクラムが地面に突き刺さり深々と地面をえぐり見えなくなった。


 どうしよう、セリエに渡す前に紛失した。


『なんでキャッチしないのさ~』

 

 ケラケラ笑いながらヒスイに突っ込まれた。 


『いや~大半刃の部分じゃん、手をバッサリいくんじゃ!?と思ったんだよ……』

『あはは、自分で作った物を信用しないって、ダメじゃん』


 そりゃ自分で作った物だけど初めてやると躊躇するでしょ!


『手を開いて戻ってこいって念じてごらん』


 言われた通り念じると、っぱっと手もとに現れた。

 あれ自動帰還ってそういう意味?

 土から抜けて戻ってくるのかと思ったら、チャクラムが瞬間移動して戻ってきた。


『戻ってきたでしょ~普通に投げた時はグローブめがけて戻ってくるけど、紛失したりしたら今みたいな感じで戻ってくるよ~』


 まぁこれはこれで便利だな、後は使いこなせるように練習するか、もう1度チャクラムを投げた。今度は右手を思いっきり横に伸ばしキャッチ態勢をとると、戻ってきたチャクラムの握り部分がグローブの所に戻ってきた。


 案外どんな態勢でもそうなるなら面白いかもしれない、その後、新しいおもちゃを得た子供のように、何度も何度もチャクラムを投げてはキャッチし、両手で同時投げや時間差投げをして遊んだ、遊びに夢中になっていると東の空がかすかに明るくなってきた。


 徹夜!?

 模擬戦まで少し寝よう!急ぎ自分の部屋に戻りベッドに横になった。

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