第99話 最弱騎士団
みんなに囲まれ自己紹介をされていると、突如オーレリアが立ち上がった。
「はいはい、各自席に戻ってくれるかな~、明日の模擬戦の作戦について話すよ~」
皆が一斉に席に戻った。
オーレリアは姫様という感じではなく、どちらかというと先生といった雰囲気があるなと思った。
「明日ですが、今までみたいに最下位ではなく、優勝を狙います!」
辺りが騒がしくなった。
今まで最下位の常連なのか?
「静かに!ナット君がいれば可能だと思ってます!」
「は~い姫様質問~、なんで~ナット君がいれば可能なんですか?」
セリエか、真面目な雰囲気が壊れてまったりした空気にかわった気がした。
「ナット君は王国内にいる誰よりも強い存在だからです!」
「いつもの勘ですか~」
「そうです、私の勘です。なので、今回はナット君を除く全員で私を全力で守ってください」
模擬戦のルールを知らない、何か特殊なゲームの予感がした。
「姫様、自分はルールを知らないのですが……」
「そうですね、先に説明しないと駄目ですね」
王都北西部の大草原で、王都駐留の6騎士団による模擬戦が行われ、本番では各騎士団決められた陣地存在し、各騎士団それぞれ団長役を配置する。
そして、敵団長の撃破が50ポイント、敵団長を撃破せず身柄を自陣に連れ込むと100ポイントの加算方式、団長を撃破されたり、敵陣に連れ去られ団長を失った騎士団はゲームオーバー、その時点でその騎士団は攻守ともに参加資格がなくなると、団長役を守り通すゲームと行った感じかな?
毎回即ゲームオーバーになっているのが第6騎士団だそうだ、それとは逆に毎回優勝するのが、ロイヤルガード達が所属する第1騎士団だそうだ、ロイヤルガードって王族守護が仕事だよね、こんなゲームで負けたらダメな人達だと思った。
一応姫様から各軍団の特徴を教えてもらった。
第1騎士団、ロイヤルカードと宮廷魔道師80名のエリート集団、武具はアダマンタイト製の良いものを使っており、硬さと魔法に定評がある。
第2騎士団、シャルル第1王子率いる軍団、かつては精鋭と言われていた部隊だったが、3年ほど前のブライメリー王国のブラン村襲撃の際に壊滅、現在立て直し中で100名程の精鋭とは程遠い軍団
第3騎士団、全員が武器適正に、騎乗または槍適正があり、全員が騎兵で、馬上槍(ランス)を使う王都全軍団の中で突破力がうりの騎士団だが、今回の模擬戦では馬が使用できない為本領発揮が出来ない300名が所属する騎士団
第4騎士団、ロングボウ兵と重装歩兵で構成される攻守のバランスが取れた騎士団、毎回2位に位置している。300名程が所属している騎士団
第5騎士団、獣人やエルフ、魔法を得意とする人族達が所属し、全員が軽装歩兵で、槍、弓等各々が得意とする武器で戦うスタイル、獣人族ならではの機動力と、エルフ系種族の魔法や弓による遠距離攻撃が脅威、他の騎士団より、魔法を駆使した戦い得意とし短期決戦なら第5騎士団に並ぶ騎士団がいないが、長期戦になると魔法使い達が役立たずになり戦力が大幅にダウンするという大きなデメリットが存在する。300名程が所属する騎士団
第6騎士団、結成して1年ちょっと、オーレリア姫の同級生や後輩を中心に、各軍団の落ちこぼれ等が身を寄せる34名の軍団、練度は他の騎士団に比べて大幅に劣るが、士気は高い状態が安定している騎士団
話を聞いていて、自分が離れた瞬間吹き飛ぶように姿を消しそうな第6騎士団なんだが?
「これって真剣使うんですか?」
「武具は普段使っている物を使って大丈夫ですよ」
それって死傷者がでるのでは!?と思った。
「良いんですか?」
「大丈夫ですよ、当日は王家に伝わるアーティファクトを使って闘技場と同じ状態になりますので」
なるほど、一定以上のダメージを受けたら退場システムなのか、なら大丈夫かと思った。
「ルールは大丈夫そうですか?」
「大丈夫です」
「皆さんで私を守るのですが、ナット君は自由に動いてください」
自由に、と言っても選択肢はあまりない気がする。
各軍団の攻撃隊を極力片付けて防衛をしている人達の負担を少しでも軽くしつつ、隙をみて団長役の人殺すか攫ってくる。
勝つには、これしかないと思っている。
「わかりました」
「は~い姫様、私も防衛ですか~?それともナット君についていきますか~?」
「ナット君どうしますか?セリエを連れて行きますか?」
足手まといにしかならなさそうだと思った。
「防衛でいいんじゃないでしょうか」
「だそうです、セリエはみんなと一緒に防衛参加で」
「わかりました~」
「最後に、この模擬戦優勝した暁には、ナット君とイヴァン将軍の一騎討をすることになっています」
「ぇ!?」
意味が分からなかった、何で将軍と一騎討をしなければならない?
「何でそんなことに?」
「イヴァン将軍からの提案です。ナット君が勝ってくれたら今後イヴァン将軍が私の味方になってくれると約束してくれました」
味方になった所で何か変わるのか?
「何か意味があるんですか?」
「今の私の発言力は弱く、少しでも味方が欲しいのが現状です。現に、ナット君の師匠から貰った情報ですが、父は信用していないし、それどころか気にも留めてないかもしれません」
継承者なのに発言力がないって、こんなものなのか?それとも厳しい世界なのか?
どちらにせよ、イヴァン将軍との一騎討に勝たないとヴォーネス共和国戦は後手に回る可能性があるという事か最善の結果を出すしかないと思った。
「わかりました。頑張ります」
「お願いします。それではセリエとナット君を残して解散してください~2人はこの後話がありますので残ってください」
あぁバディの件かな?と思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます