第98話 第6騎士団
入団した日の夜、第6騎士団のメンバーとの顔合わせすることになった。
部屋を案内されたのち夕食までする事が無かったため、ヒスイに協力してもらいながら、アクセサリーに付与出来る付与内容を調べていた。
そんな実験をしながらアクセサリー作りに没頭していると、ヒスイから声がかかった。
『ナット、何度もノックされてるよ』
「ん?」
トントントン
「ナット君いませんか~?いないのですか~?」
扉の外から女性の声が聞こえたが、オーレリアの声ではなかった。
扉を開けるとそこには、見知らぬ少し年上位の女性がいた。
「えっと……?」
「ナット君ですね~いるなら返事をしてください~食堂に案内しますよ~」
知らないお姉さんについて行っちゃいけないと思うのだが?
「えっとお姉さんの名前は?」
「私はセリエです~君のバディになる予定ですね~」
バディ?相棒って事?
騎士なのに2人1組で動くの?
「バディって?」
「後で説明があると思いますが~、基本的に単独行動はダメなのです~、諜報などの少数活動なんかするときは必ずバディーと一緒に行います~」
のんびり感たっぷりの女性が相棒になるのか、彼女は騎士向いてないとしか思えなかった。
『へぇ~適正武器が多いね、杖、弓、投擲、騎馬だって~、それに投擲、隠密のレベル高いよ、投擲に関しては極めてるって言って良いレベルだよ~』
この性格で隠密!?ヒスイの話を信じるなら真向から戦うタイプではなく忍者とか諜報を得意としそうに思った。
そんなことを思っていると食堂に着いたらしく扉前で立ち止まりセリエがこっちを見た。
「はい~こちらが食堂です~朝夕は必ず出ます~お昼食べたいときは事前に申請してくださいね~、非番の人が作ってくれるかもしれませんし~誰も作ってくれないかもしれません~」
誰も作ってくれないかもしれないのに事前申請制とな?
「セリエです!ナット君を連れてきました!」
セリエが食堂の扉をノックし、大きな声で報告していた。
毎回これやるの?嫌なんだけど?
中から「入れと」レオニダスの声が聞こえると、セリエが扉を開け食堂の中に入ったので自分も後に続いた。
食堂には、レオニダスだけではなくオーレリアも居た。
そして団員と思しき30名程の男女がいたが、女性が半数以上を占めていた。
「全員そろったな、ナットこっちに来い」
セリエは自分の席と思しき所へ移動したが自分はレオニダスに呼び止められた。
レオニダスが、横の空いている席に座るように促していたので、レオニダスの横に移動した。
「今日から入団することになったナットだ、知っている者も居るだろうが昨年の幼年の部予選にいた槍使いだ、ナット自己紹介しろ」
「ナットと申します、師匠より見聞を広めてこいということで入団することになりました。皆さんよろしくお願いします!」
これでいいだろうか?
「団長!ナット君の師匠とは誰ですか!?」
セリエがレオニダスに向けて質問していた。レオニダスは横に居るオーレリアを見るとオーレリアが頷いて応えていた。
「ナットの師は、フォックスマンもとい秋津直人という使徒殿だ」
「震災時活躍していた医者ですか?」
今度はセリエじゃなく誰かから質問が返ってきた。
「そうだ、ナットは医術もできるのか?」
そりゃ本人だし、レオニダスも分かっていてこっちに振った。
「出来ますよ、医術に関しては皆伝を貰いました」
医術の皆伝ってなんぞ!と内心自分に突っ込んだ。
「だそうだ、ケガしたりしたらナットに診てもらえ、それから使徒殿からは、いくつか条件を出されている、ナットの特別扱いに関しては使徒殿からの指示だと思え!」
「「「「「了解しました!」」」」」
あぁなるほど、そういう理由で特別扱いを周囲に認めさせるのか納得した。
『ん~ここに居る人達って普段何で戦ってるのかな~?みんな剣、槍適正ないひとがおおいよ』
騎士=剣や槍だと思っていたが、ヒスイのいう通り適正がないなら何で戦ってるんだろうか?
その後は、小中学時代の転校生のように、騎士団のみんなに囲まれ自己紹介されたが、全く頭に入らなかった。
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