第97話 騎士団入団
オーレリア達が自宅に来た2日後
オーレリアから騎士団への勧誘があった事をオスカーとチェルシーに伝えた。
すると宿舎で寝泊まりになるから家をどうするのか?と問われ手放すと伝えたら、チェルシーからもったいないという話になり、王城に行く当日家と土地をオスカーに譲渡するついでに、出会った頃の約束だった車とバイクのコピーをお互いに交換し王城に向かった。
王城に着くと謁見の際にもいた兵士が立っていた。
「秋津直人です。騎士団入団の件で来たのですが」
「兵舎の方に案内します」
門をくぐると、城と城壁の間を抜け広大な広場にでた、そして広場の周りにはいくつもの建物が建っていた。
その中の1つの建物に案内された。
「こちらが第6騎士団の兵舎になります。中の者に引き継ぎますのでしばらくお待ちください」
「ほい」
案内してくれた兵士が建物の中に消えた。
目の前の建物が第6騎士団の兵舎ということは、騎士団毎に兵舎が分れているのか?
辺りを見渡し数えてみると、全部で12棟あった。
すべてが騎士団の宿舎なのか?
中に入った兵士がレオニダスと共に戻ってきた。
「この先はこちらのレオニダス団長が案内してくれるそうです」
「行って良いぞ」
「ッハ!」
案内してくれた兵士が足早に去っていった。
「使徒殿部屋に案内しよう」
「お願いします」
前回オーレリアと家に来た時は一言もしゃべらなかったから初めて声を聞いた。
自分ってどういう扱いなのだろうか?
レオニダスの後について行くと1階の角部屋に案内された。
「こちらが使徒殿の部屋になります」
中に入ると窓が4つの18畳程の広い部屋だった。
なかなかよさそうな部屋だと思った。
「なかなかよさそうな部屋ですね、ありがとうございます」
「いえ、もうじき姫様が来るので、それまでこちらでお待ちください」
自分が来るとなると宮廷医師達も接触しにくるか?
疑問に思った事をレオニダスに聞いてみた。
「レオニダスさん、いくつか質問していいですか?」
「答えられることであればなんなりと」
「自分はどういう扱いなんですか?姫様の客人?騎士?」
「そうですな、客人のほうがぴったりかもしれません」
客人か、あれだけ条件を付けたらそう言うことになるのか?
「もう1つ、自分がここに来ることを王は知っているのですか?」
「いえ、ばれるまで王には話さないと言っていました」
すぐにばれるのでは?と思ったと同時に、それならば秋津直人の姿じゃないほうがいい気がしてきた。
「ならば、この姿じゃないほうが良かったりしますか?」
「可能であればそうでしょうな」
秋津直人ではなく、ナットの姿になったほうがいいような気がした。
「最後に騎士団に入団出来るのは、何歳からですか?」
「特に決まりはありません」
ならば、騎士団には秋津直人が入ったのではなく、ナットが入った事にすればいいと思いナットの姿に変わった。
「これは……」
目の前で姿を変えたためにレオニダスが驚いていた。
「この姿がこの世界での本当の姿です」
「幼年の部の予選だけ参加した少年は使徒殿でしたか……」
そう言えば両親が来ていた事もあって、決勝トーナメント参加しないで買い物してた事を思い出した。
「そう言えばそんな事もありましたね」
「レオニダスいるの~!?秋津様が来たって聞いたんだけど!」
レオニダスと話していると、オーレリアが到着したようだった。
大声出したら、内緒にしている意味がなくなるのでは?と思った。
レオニダスが廊下に出てオーレリアの問いに対して答えていた。
「部屋に案内してました」
「そう、ありがとう!」
廊下でのやり取りが部屋の中に居る自分にも聞こえてきた。
直後、オーレリアが部屋に駆け込んできた。
自分気づき目があったが、直ぐに辺りを見回したが居ないのを確認した後、自分に自分の居所を聞いてきた。
「えっと、お師匠様はどこかな……?」
そういえば1番最初に会った時はこの姿で師匠は不在だと伝えていたことを思い出した。
自分に自分居場所を聞くとかちょっと笑いそうになった。
「姫様、そちらの少年が秋津様ですよ」
レオニダスは笑いをこらえているのが分かった。
「ぇ?ウソ!?」
「秋津様、お戯れもその辺に」
「そうですね」
ナットから秋津直人の姿に戻った。
「ぇ?ぇ?ぇ?」
「オーレリア様こんにちは、先ほどの姿がこの世界での本当の姿です」
「それでは、最初の日に会っていたんですか?」
「そうですね、あの時はナットの姿で作業していたので」
『嘘ばっか~』
ヒスイが突っ込みを入れてきたがスルーした。
「そうでしたか、先ほどは何故子どもの姿に?」
ありゃ?初日の事を問われると思ったが流された?
「あぁ、レオニダスさんに色々聞いたのですが、この姿よりはナットの姿の方がいいのかなと思ったので」
「そうですね、秋津様の姿は父も知っていますし、その姿の方が目立たないというのも事実ですね」
「どうしますか?ナットの姿で過ごす事になっても構わないのですが」
オーレリアはしばらく考える様子を見せていた。
「姫様、秋津様の弟子を預かった事にすればいいんじゃないでしょうか?」
「伝えたのはリリィと将軍位だし、そういう事にしましょう、ついでにリンクル族とでもいえば、ちょっと将軍の所へ行ってきます!」
そう言ってオーレリアが部屋を出ていった。
リンクル族ってなんだ?と思っているとヒスイが教えてくれた。
『人種リンクル族、見た目が子どものまま一生を過ごす種族だね、ある程度年を取ると髭とかも生えてくるんだけど、見た目が3~5歳位で変化しなくなっちゃうんだ、身長も1m満たない子が多いね~』
童顔族なのかな?実際に見てみたいかもと思った。
『見た目は人族と一緒?』
『ほとんど一緒、エルフみたいに少し耳の上部が尖ってる子もいるくらいかな?』
『そうなんだ、今まで自分見たことないよね?』
『そうだね、今の所会ったことないかな、リンクル族はヴォーネス地方からあまり出ないからね』
『ヴォーネス地方?共和国じゃなくて?』
『もともとあの辺りはリンクル族の王国だったんだよ』
『へぇそうなんだ』
国を取られちゃったのかな?
それとも複数の種族が住む国なのか?
いずれにせよ、この先戦になるなら無視できない国なのは変わりなかった。
「落ち着きのない方なんですか?」
「そんなことはないですが、秋津様が来てくれるとなった時からあのような状態ですな」
オーレリアが自分を必要とする本当の理由が気になった。
まさか直感じゃないよね?
「そうですか、今日この後何かありますか?」
「夕食の時に第6騎士団の皆を紹介します。それまでは自由にしてもらって大丈夫です」
「了解です」
「それから、明日ですが、王都に駐留している全騎士団合同で模擬戦があります」
明日か急だな、でも騎士団がどんな組織なのか知るのには良いかもしれないと思った。
「レオニダスさん、自分に敬語を使わないで、1人の部下として扱ってください、それは姫様にも伝えておいてください」
「わかった、そのようにしよう」
部下に敬語を使う団長とかあり得ないだろう、ましてやオーレリアが自分に対して敬語使ったらナットの姿になっても意味がなくなりそうに思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます