第78話 拠点
目の前には、焦げて崩れた石造りの家があった。
「ここだね、」
なんとなくだけど、歩いてきた方向とか考えると冒険者ギルドが近い気がする。
「冒険者ギルド近い?」
「近いよ、ここの裏がギルドだからね~」
近いではなくお隣さんだった。
「とりあえず片付けていいです?広さが十分ならここでもいいです」
「いいよ、私も手伝うよ」
しばらく、ハンマーやらノコギリ等を使い、リサイクルできそうな木材石材と廃棄する物と分けながら、2人で片付けていると、オスカーがやってきた。
「2人で何やってんだ?」
「ここを片付けてるんだけど、オスカーはどうしたの?」
「職員から焼け跡がようやく撤去されていると聞いたんで見に来ただけだ」
「暇なら手伝ってよ、直人が良ければ土地を買うんだって」
2人のやり取りと表情を見てると、仲が良さそうに見える。オスカーが交際申し込めば普通に成立しそうだけどなと思った。
「仕方ねぇな~、手伝ってやるか~」
3人で片付け作業をしていると夕暮れ前に終わった。そして、土地は思った以上に広かった。多分生前の家が建っていた場所より広い。庭付きの自宅!
「ふ~終わったな。で、どうするんだ?買うのか?」
汗びっしょりのオスカーがこっちを見て聞いてきた。
「そうですね、買います。ここはおいくらですか?」
「ただで良いよ、お礼もあるし撤去費用とか考えたらね」
「ありがとうございます!」
早速土魔法を使い整地してかつて住んでいた懐かしの我が家をアイテムボックスから出した。
「おいおい、豪邸じゃないか~、というか、この街にこの建物は違和感しかないな」
「そうね……」
土地に余裕がある。生前よりも広いな。マイキャンプ場に建てたログハウスも出した。
「まだ持ってるのかよ、こっちも違和感しかないな……」
「そうね……」
チェルシーは、そうね、しか言わなくなっている。
「2人とも上がっていきます?」
「いいのか?」
「いいの?」
自分含めてみな汗びっしょりだし、せめて風呂位はね。
「いいですよ、入りましょう。」
中に入ると久々の空気が懐かしく感じた。玄関に入りブレーカーをあげ、無意識にお風呂のセットボタンを押して気づいた。電線とかないのに電気が通っている……、なぜ?
『ヒスイ、電気が無いはずなのにあるんだけどなんで!?』
『それはネア様の加護だね~上下水道もすべて普通に使えるよ。』
わお、それはうれしい!
アイテムボックスから家具・家電を取り出し並べていく。
「電気も使えるんだな……」
「風呂が沸くまで2人ともそっちに座って寛いでいてください」
リビングのソファーに座るように促すとオスカーの横にぴったりと座るチェルシー、何も口出ししなくてもそのうちくっつくだろうなと思った。
風呂が沸いた合図が鳴ったので、2人にバスタオル・フェイスタオル・ウォッシュタオルと3枚を渡した。
「どちらからか先に入っちゃってください」
「チェルから入って来いよ」
「わかった」
すんなり決まり、チェルシーから入浴になった。
「オスカーさんは、寿司は大丈夫です?」
「好きだぞ日本に居た頃はよく食べた」
日本に居た頃って横須賀とかに居たのだろうか?
「それじゃあ今夜は寿司にしましょう」
「おー楽しみだ」
テレビやプレイヤーを並べてて思った。
TVって何が映るんだろうと……、テレビをつけてみると、どこかの風景がうつり、ナレーターの声が入っている。しかもヒスイの声?
『ヒスイこれって……?』
『私じゃないよ?子ども達がやってるだけだからね?』
「へぇ~この世界でもテレビ見れるのか、しかもこの声誰がやってるんだろうな……」
チャンネル回していくとニュースなんかもやっている。
カメラマン:ドライアド ナレーター;ドライアド ニュースキャスター:ドライアド レポーター:ドライアド……、すべてはドライアド達がやってることが判明した。
『この子達暇なの?』
『そりゃ暇だよね~、なかなか存在を認知してもらえないし~、君が見たいと思った所の映像が映ると思うよ』
それは重要な事だと思った。鬼人族のミリちゃんの様子を見たいなと思ったら。
『こちら、アヴェナラ侯爵宅です~現在鬼人族のミリちゃんですが~』
という声と共に、アヴェナラ侯爵宅内と思しき場所で、侯爵の娘ミーナと一緒に遊んでるシーンが映し出された。
というか、侯爵に引き取られたの?
『侯爵に引き取られたの?』
『うん、君が2人と証拠を持って会った日があったでしょ、あの後すぐに孤児院まで戻って引き取っていたよ、それに第2王子の仕業って事も分かってるし、既に王にも報告が行って処分されているよ』
ダンジョン攻略しているときに事が進んでいたのか知らなかった。
「へぇ……、どういう原理だ……?」
そりゃ自分もそう思った。
「自分が知りたいと思ったりしたことが映るみたいですね……」
「まじか、うらやましいじゃないか、レポーターとかはだれがやってるんだ?」
これは言うべきなのか?
『言っていいの?』
『いいよ』
ヒスイの許可が出た。
「ドライアド達らしいですよ」
「何でドライアド?」
「そりゃ~私が直人の大親友だから!」
気づけばヒスイが姿を現していた。
「ほぉそいつがドライアドなのか小さくて可愛いな」
「そうなの!私可愛いの!」
ヒスイが上機嫌になった。
思っていたより時間が経っていたらしくチェルシーが風呂から戻ってきた。
「直人、その子は?」
「ドライアドのヒスイですよ。」
「私はヒスイ!チェルシーよろしくね!」
「ヒスイちゃんよろしくね、可愛いね~」
「俺はオスカーだ、よろしくな」
「よろしく!」
オスカーがソファーから立ち上がり、窓を開けるとピィ~と口笛を吹いた。すると、空からワシが現れ、オスカーの腕に止まった。
「フェアじゃないとな、俺の相棒 ハクトウワシのビークだ」
「ピィ、よろしくな、兄ちゃんたち」
「ビークよろしくね!」
なんか笛を吹いてるような鳴き声の後に喋った!
「ビークは喋れるのか!すごいな!」
と、思ったら、オスカーとチェルシーがこっちを見た。
チェルシーがため息をついた後説明をしてくれた。
「私達って、ネア様から言語理解もらってるでしょ?」
「そうだっけ?」
「そうだな、その言語理解で動物の言葉が理解できるんだよ、魔物は理解できないがな」
「初めて知ったよ」
今まで会った動物って馬位か?
「私もまめち連れてくればよかったな~」
チェルシーの相棒の名はまめちという名前なのだろうか?
見た目が凄く気になった、名前的には柴犬の子か?
そんなことを思っていると、炊飯器からご飯の炊きあがりのアラームがなった。
その後久々に3人で持っていた具を使い寿司を堪能した。
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