第77話 拠点探し

 久々の風呂を堪能し、そのまま寝てしまった。


 翌朝久々のベッドを堪能していた。


『チェルシーがもうすぐここにくるよ~』


 しかたないベッドから出て身支度を整え終わったころ、ノックの後、扉の外からチェンシーの声が聞こえた。


「直人起きてる~?」

「起きてますよ、おはようございます」

 

 扉を開けると、ビジネススーツでビシッと決めたチェルシーがいた。


「おはよう、昨日から探してみたけど、何件かいいのあったよ、朝食は済んでる?」

「いえ、まだですね」

「それじゃあ、内見周りしながら食べようか」

「了解」


 チェルシーと共に商業ギルド出て1軒目の内見に向かった。

 途中朝市と思われるお店で適当に食べ物を買い食べ歩いた。


「1軒目はここだね~」


 チェルシーが案内した1軒目の建物をみると3階建て、これはよかったが、街の中央にある噴水広場前だった。


「ここって一等地じゃないんですか?」

「そうだよ、鍛冶師として商売するならここだね~」

「商売しないです……、医療道具そろえたり遊びで武器を作ってみたいだけだから」

「うん、知ってた。ここがギルドから近い所だったからね~」


 チェルシーは、あははは、と笑っていた。

 茶目っ気のある人なのかもと思った。


「しかもここ、店が入ってるじゃないですか」

「そりゃね~一等地に空白とかもったいないし、イメージが悪いからね、私の商会が入ってるんだよ。いい所が来てくれれば直ぐに譲れるんだよ~」


 まぁ確かに、一等地が空白だとイメージダウンにつながりそうだな。


 噴水広場から南側に移動し、大通りから1本奥の通りに入り南に向かっていると、職人街なのか、あちらこちらからカンカンカンとか、独特の匂いが漂って来た。


「2件目は、ここだね~、このあたりは職人達が集まっているよ~色々な素材の購入や他の職人に依頼する事があるならおすすめだね、あと2軒もこのエリアになるかな」


 他の職人とのやり取りができるのはいいかもしれない、量産を依頼する事がそのうち来るかもしれないし、中を見てみたい。


「中見れます?」

「いいよ」


 チェルシーが入口のカギを開け中に入った。

 

 中に入って思った事結構広い、2階建てで屋上に出れるタイプ、広い部屋に小さな部屋が複数ついていた。鍛冶に必要な炉が4つもあった。


 引っかかった事はキッチンがない気がする……


「キッチンは?」

「直人は料理するの?キッチンはないね~、ここはあくまで職場、生活は別の場所ってタイプだね~、あとは儲けている職人だとすべて外食で済ませるからね~」


 ん~キッチンは必須ではないが、有ったほういい。無かったら無かったでキャンプ道具で調理すればいい、作業場の広さは個人的にいいなと思う。


「このあたりの建物は、メインの作業場とサブの作業場と倉庫といった作りが多いかな~場所によっては作業場の部分が3カ所4カ所とあるところもあるけどね」


 とりあえず保留かな?


「んじゃ保留で」

「キッチンあるところか~」

「贅沢な事を言うならば、風呂場もあると嬉しい」


 それを伝えると、チェルシーが、ん~と悩む表情を見せた。


「この国は入浴文化がないからねぇ~改装してもいいところか~ん~」


 ここでふと、アイテムボックス内にガレージ付きの自宅がある。


 土地でもいいんじゃない?と思った。


「土地はないかな?」

「土地か~」


 チェルシーが王都の地図を取り出した。


「ん~撤去は自分でやる?」

「撤去?」

「この職人街の端で先日火事があったんだよね、持ち主が撤去費用払わずに土地を売ったんだけど、そこが手つかずなんだよね、私らならアイテムボックスに放り込めばすぐでしょ?」

「あぁなるほど、それならそこを見せてもらっても?」

「いいよ~、現地に行こうか」


 しばらく歩くと城壁が見えてきた。そして外周を走る車通り沿いまで来た。


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