第76話 商業ギルド もう1人の転移者
オスカーが受付らしき場所で何かやり取りしていた。
「よし、行くぞ5階だ」
階段を登り始めて思った。
「エレベーターとかこの世界にはないですよね~」
「ないな、魔道具で作れると思うが、そんな暇はない」
似たようなものを作れる可能性があるのかと思った。
5階まで上がると、2つの扉があった。
「右がチェルシーの自宅だ、正面がチェルシーのオフィスになる」
オスカーが正面の扉をノックした。
「チェル、俺だオスカーだ」
中から声が聞こえ、扉が開いた。中からは中年女性が出てきた。
「あなた達誰?」
そりゃそうだ、爺じゃなくなっているからな。
「俺だよ、オスカーだよ、ほら」
ほらと言いながら冒険者カードを出していた。
おばさんも、オスカーの冒険者カードにふれ変色するのを確認していた。
「本物?なんでそんなに若返っている?」
「こいつの力だ、俺らと同じ存在だ」
おばさんが、自分を上から下まで見た。
「入りなよ」
おばさんが部屋に案内してくれた。中はかなり広い応接の間といった感じだった。
「2人はそっちに座って」
「俺はこっち座るから直人はそっちな」
おばさんに座るように促されると、オスカーがさっさと決めた。
おばさんがコーヒーを出してくれた。
「オスカーは、なんて自己紹介したの?」
「名前とかつて居た国とやっていたことだな」
「そっか、私の名はチェルシー、イングランド出身だよ、生前はIT企業の経営者をやっていたよ、よろしくね!」
「自分は、秋津直人日本で医者をやっていました。よろしくお願いします」
チェンシーがオスカーの方を向き目を細めた。
「医者か、って事は美容整形でもしたの?」
「しねーよ!直人の力で若返る事ができるんだよ、それで20まで戻してもらったんだよ、それでチェルもどうかなと思って連れてきたんだよ」
「それは本当?」
自分に視線を戻すと少し期待したような目でこっちを見てきた。
「構わないですよ」
「どうすればいい?」
「手を出してもらっていいですか?」
チェルシーは両手を出してきた。
「これでいい?」
「片方だけで良いですよ、失礼して」
チェルシーの手に触れ神の手を発動させたところで思った。
「何歳くらいまで戻せばいいですか?」
「そうだね、16でお願いするよ」
リクエスト通り16歳まで若返らせた。
「これでどうですか?」
「チェルお前すごくかわいいな!」
テンションがやたらと高いオスカーが横に居た。
確かに小顔で金髪ストレート、ポニテなら最強なのに!
「ちょっと待ってね」
そう言ってどこかに消えてしまった。
声も明らかに若い子の声だな。
「鏡を見に行っただけだろ」
しばらくすると走るように戻ってきた。
「あんた凄いね!その力は本物だね!」
かなり興奮気味なチェルシーが目の前にいた。少々怖いと思った。
「はぁ……」
「対価になにを渡そうかな」
「チェル、俺がすでに払っている」
「何を払ったの?」
「ライフルと2種類の弾丸に暗殺教団の情報だな」
「お話にならないじゃないか!あんた100も若返らせてもらってそれっぽっち!?よく考えてみなよ、直人が居れば私らは不老不死なんだよ!」
「だろうな、そうだな……なにか役に立ちそうな情報を集めておくか」
「こんなこと出来るのはソラリス様だけだと思っていたけど、直人はなにか困っていることとかほしいものは無いの?」
ぱっと思い浮かぶのは、
困っている事:宿がなさそうな事
欲しい物:鍛冶が出来る拠点
って事位か?
「そうですね、今日この街にきたので宿が無いかもって言われた事と、欲しいと思っているのは鍛冶が出来る拠点ですかね」
「医者で鍛冶もするの?」
「この世界でも普通に医療ができる設備を作る為ですかね、注射器やメスなんか簡単な道具だけでも自分で作ってそろえていこうかと……」
「はぁ、なるほどね、今日からしばらくは4階の客間に泊るといいよ、明日の朝までに鍛冶が出来る場所を探しておくよ。」
宿確保できたのはうれしかった。
「ありがとうございます」
「他に何かあるかな?」
「ん~今のところは」
『ナット、棍のこと忘れてない?』
そういえば、そんなものもありました。
アイテムボックスから、ジャッスエイの武器屋で手に入れた棍をとりだした。
「これの持ち主を……」
「それ私の!」
言い終わる前にチェルシーが答えた。
「それは、どこにあったの?」
「ジャッスエイの武器屋ですね」
「あ~あの時か……、いくら探しても見つからなかったんだよね~ありがとう」
「持ち主が見つかったようで良かったです」
「これのお礼もしなくちゃならなくなったね、今後困ったら私ら2人に相談してよ」
「その時はよろしくお願いします」
「直人、明日チェルとの用事が終わったらギルドに来い銃の使い方を教えてやる」
そう言えば、教えてもらわないと使えないな、モデルガンすら触ったことなかった。
「わかりました。終わったら行きますね」
「オスカー無線機を彼にも渡せば?」
「そうだな」
オスカーの手にはトランシーバーが握られていた。
「こいつを持ってな、俺ら2人にならどこに居てもそいつで話すことができるからな」
その後、無線機の使い方をレクチャーしてもらった。
というか、銃に無線機って一気に近代化した。
「今日はこんな所かな、直人付いてきて泊る部屋に案内するよ。日本人を満足させられるかわからないけど、一応お風呂もついているからゆっくりしていきなよ」
おーお風呂!異世界初のお風呂!
楽しみだ~2人と出会えたことをネア様に感謝!
その後3人で一緒に4階まで降りた。
「正面の部屋が直人の部屋だからね、右も左も下もだれも使ってないし、防音仕様にしてあるから音楽とか聴いても大丈夫だよ」
「おーありがとうございます!助かります!」
「んじゃ、また明日な」「明日の朝迎えに来るよ、おやすみ」
「また明日、おやすみ~」
部屋の中に入り見て回ったが、ホテルみたいな部屋ではなく、普通に生活できるマンションの一室みたいな造りだった。
よっし!まずは風呂入って寝よう!
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