第58話 鉄集め
ボスゴーレムの攻撃をガードしたつもりがガードできなかったという失敗を経験した直後、この先は回避しようガードなんて考えたらダメだ……
縮地を使用してゴーレムの肩に移動し首を斬りつけようとしたら、ボスゴーレムがこちらを向いた。目と思しき部分が赤く光っていたが、キラキラと点滅し始めた。
ちょっとまて!目からビームでも出すのかよ!頭部を跳び箱に見立て反対側の肩に移った瞬間、目から炎を吐きやがった、口じゃなく目からだ……
すこししゃがみゴーレムの首部分を切断!
したと思ったがゴーレムの首の方が太く、刀では斬りきれなかったらしく、せっかく切断しかけた首が回復してしまった。
『首を斬りたいならグルーっと1回転縮地でやるしかないんじゃない?』
それは思った。ただなぁ、この高さ結構怖いんだよね……下を見ると怖い……
仕方ない、コアを破壊するか……、頭部に2連撃を加えたらボスゴーレムの動きが止まった。
ほっとしたのも束の間今度は足元が崩れ始めた。
「ちょ!」
『そりゃ、機能停止したら崩れるよね~』
ヒスイ、大事な事はもう少し早く教えてほしい!
足元が崩れていく中、縮地を使い地面に着地した。
「ふぃぃ~~」
これだから高い所は嫌なんだ……、そんな事を思っていると、ゴーレムの身体が崩れ落ちる音とは別に“カランカラン”と言う音があたりに響いた。
「ん?」
『魔石魔石~♪』
それだけ言い自分の肩から飛び立つヒスイ、ヒスイの後について行くと拳2つ分の大きさの魔石が落ちていた。その横にピンポン玉サイズの緑色の石が落ちていた。
魔石と緑色の石を手に取った。
『その石、私と同じ翡翠!』
「へぇ」
何かの縁だろうか?いつも世話になっているしヒスイにあげるか。
「ヒスイあげるよ」
『わ~ぁ♪』
すごく嬉しそうな表情を見せたが、次の瞬間しょんぼりした表情になった。
『私体無いから持てない……』
なんとなくそんな気はした。
「あ~魔石はいる?」
『そっちなら~中の魔素なくなってもいい?』
「どうぞ」
そう言うと取れもうれしそうな表情で魔石に抱きついていた。
『んっふっふっふ♪』
しばらくヒスイを眺めていると、ヒスイが抱きついていた魔石が砕けた。
『ん~ごちそうさまでした!』
「はい、お粗末様でした」
手の中にある翡翠をアイテムボックスに入れ次の階層に向かった。
これまでとは雰囲気が変わった場所に出てきた。
『銅と青銅のエリアだね~』
それなら、ここもスルーでいいかな、鉄以上が欲しい。1~7層までと同様にさらっと流して14層のボスは、大きなコッパーゴーレムだったのに魔石以外何も落とさなかった。ため息しか出ない……
15層に来るとまた雰囲気が違った。壁を見ても素材が何かが解らないパターンを考えると青銅と何かかな?
『ヒスイ、ここの素材って何?』
『鉄だね~』
『青銅は?』
『混ざってないよ』
純粋な鉄だけのエリアかどうやら目的地に着いたようだ。さぁ狩をはじめようか!
15層の坑道内を歩き回るがこれまでと全然違い人があまりいない。アイアンゴーレムが目の前に現れる。そしてアイアンゴーレムの足元にアイアンヴァイパーが居る。これまでのヴァイパー系より素早いこちらをめがけて襲って来た!
アイアンヴァイパーの頭を踏みつぶし抑えてる間に胴体を切断、すぐさまゴーレムの方に向き首を切断!
さぁ!鉄を落とせ!
……、ノードロップ……魔石すら落とさないのか……、ヴァイパーとゴーレムの残骸は氷が解けるように無くなった。
気を取り直して次に行こう……
その後ひたすら戦いながら鉄集めに励んだが、アイアン系50体程倒してボーリングの玉サイズ?の長方形の鉄塊が5個と砂鉄が5キロ分くらい集まった。鉄塊を1つ持ってみると10キロはないな……、5キロくらいか?5キロダンベルだして比較すると同じような重さだ。
とりあえず何となく疲れたのでどこかで休憩をと思いセーフティエリアを探すか、たしか6層の大部屋の手前や、13層の大部屋の手前に休んでる人がいたからそこが恐らくはセーフティエリアなのだろう。となると次のセーフティエリアは20層か?
まだ17層だし鉄集めしたいし、一気に降りるのももったいない気がする。少し広部屋状になってるところで通路塞げば何とかなるかな?
地図を見て該当しそうな所を探してみると、何カ所か良さそうな所がある。通路で行き止まりになっている所や、ちょっと小さな広場的な所等何カ所か大丈夫そうなところがある。
候補地を見て回り、行き止まりになっている通路が良さそうだった。通路幅2.5m程あるし、壁建てるにしても4m程の奥行を確保できる。よっし!ここをキャンプ地にしよう!
そうと決まれば、生前使ったキャンプ道具一式を出していく、テントを出し設営、焚き火台や調理道具にローテーブルやローチェアを並べていく、火を使うから密閉空間にするのはあかんな、建てた壁の上の方アイアンヴァイパーが通って来れないようにネット状にして開けた。
『こんなところで野営するの?』
「だめかな?」
『多分大丈夫かな?』
大丈夫とは言い切らないのか……
まぁ設営しちゃったし、気にしないでおこう、久々のキャンプだゆっくりするか~
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