第57話 思わぬ失敗

 冒険者ギルドを出て街中で採掘道具探しをしたが、つるはしやピッケルを売っているところが無い鉱山都市なのに……、ピッケルつるはし無でどうやって採掘すんねん!


『ナット、さっきから何を探してるの?』

『採掘で使うピッケルとつるはし探しててさ、置いてる店が見つからないんだよね』

『そんなの要るの?』

『それが無くてどうやって採掘するの?』


 話がなんかかみ合ってない?


『ん?鉱石求めてダンジョンに潜るんでしょ?』

『そうだよ、だからつるはしとかピッケルが必要でしょ?』

『ん???』

『ん???』


 ヒスイの頭にも自分の頭にも“???”が浮かぶ、もしかして壁を掘って採掘するんじゃないの?


『ヒスイセンセー質問です!』

『はい、なんでしょー』

『ダンジョン内でどうやって鉱石入手するんですか!』

『ゴーレム等の魔物を倒せば入手できます!』


 ん!?


『まって、坑道の壁を掘って入手するんじゃないの?』

『普通の坑道じゃないのに壁なんて掘れる訳ないじゃん、道中でも倒せば取れるって言ったじゃん、ネア様の刀ならできるけど』


 ようやく繋がった。ここは普通の鉱山じゃなくダンジョンだから違うのか、それなら買い物する必要ないし潜るか。坑道ダンジョンの入口は偉く大きな穴が開いてるせいで迷うことはなく中に入れた。


 ダンジョンに入ると、思った以上に明るかった、ランタンとか不要だなと思った。人が多いな、魔物取り合いが発生している。地図を見る限り魔物はコッパーゴーレム、コッパーウルフ、コッパーヴァイパー、ストーンゴーレム、ストーンウルフ、ストーンヴァイパーだし自分に向かって来たもの以外スルーしてさっさと次の階層に行く階段を目指し降りていく、正直石とか銅鉱石には興味が無いからな、6層に来ると大広間があり、その手前の部屋で5人がテント張ったりしていた。セーフティエリアかな?とか思ったが、疲れてもないのでそのまま進んで行く、7層に降りると真っすぐな廊下と1つの部屋しかなく、部屋の中央に石碑みたいなのがあった。先に来ている人達を見てると、手をつなぎ1人が石碑に触れ姿を消した。


 なるほど、ボス部屋へ飛ぶ装置みたいなものかな?ボスの攻略待ちしなくてもいい親切設計かな?


 とりあえず順番というものが存在するらしいので順番待ちをして飛んだ。


 すると、壁や天井は坑道と思えるものだが、6層にあった大広間と同じような広さで高さもかなり高い部屋に出た。そして目の前に現れたのは、デカいストーンゴーレムだった。これまでは1~6層で見かけたストーンゴーレムは2m位だったのに対して、5m位ある……


『ボスだよ~宝石ざっくざく~』


 ダンジョンに入ってから、今まで一言も発さなかったヒスイが突然喋りかけてきた。


『宝石?』

『そうだよ~ストーンゴーレムとかストーン系倒すと、かなり低い確率で宝石ドロップするんだよ~』


 ここに来るときもそんな事を言っていたな、それで取り合いになっていたのか納得した。とりあえず目の前のボスに集中するか。アイテムボックスから神刀を取り出し抜刀した。


 脛にあたる部分をめがけて縮地斬!とやったが、切れ目が入ったのは良いが、直ぐに修復された……


「回復した……?」

『うんうん~ボスだからね~、ボス部屋はそのボスと同じ素材の部屋なんだよ~だから傷つけてもすぐ辺りから素材補充して回復しちゃうんだ~』


 道中はそんなことなかったが、ボスは回復してくるのか、厄介だな……


『ヒスイ先生のアドバイスで~す。ボスゴーレム系は、基本的に、ゴーレムコアと魔石が存在するので~す。コアは人でいうなれば脳、そして魔石は心臓で~す。』


 なるほど、コアか魔石の破壊か切り離しか、ヒスイの言葉をそのまま信じるならば、頭にコアがあって、胸部に魔石だろう。


『サンキュー』

『は~い』


 ボスゴーレムが腕を振り下ろしてきたので刀でガード!


 それがいけなかった。刃の部分を上に向けていたため、ボスゴーレムの手首部分が刀で斬られていく、おかげで受け止めることなくそのまま拳が自分の目の前にっ!


 ッドン


『あ~、大丈夫……?』

「痛たた……」

『刃を向けてガードしたらダメだね~』

「だね、何でも斬れるが故の弊害だ……」


 今のが剣とか斧だったら刃の部分が……、考えるだけでも恐ろしい……

 今後ガードするときは刃を向けないようにしましょう。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る