第28話 神の手&ヒスイ活躍!

 絶望的なのかなと思っていると


『ナット!ナット!私の存在価値を発揮する時が来ましたよ!』


 やたらと元気な声をだすヒスイが居た。


『ミアンから普通のミント貰ってたよね、それを取り出してくれる?』


 アイテムボックスからミントの葉の束を出すと。診ていたグアーラが聞いてきた。


「ミントをどうするんだ?」

「さぁ?」


 自分も解らないので、そう答えるしかない。


『必要なのは1枚だけだから、他しまっちゃって』


 とりあえず、ヒスイの言う通り1枚だけ残して他はアイテムボックスにしまう。


『神の手を使って、修復してくれる?』


 右の手のひらに1枚の葉を乗せ、神の手を使って修復してくと、1枚の葉から茎ができ沢山の葉をつけ、根も生えてきた。


グアーラや侯爵夫妻やメイドから、「おいおい」「ぇ?」等驚きの声が聞こえる。


『それでいいよ、今度は根っこに玉状の部分があるよね、それをちぎって手のひらに乗せて、他はいらないからしまっていいよ』


 言われた通りに、球根みたいに膨らんだ部分をちぎって他をしまい手に乗せると、ヒスイも一緒に手のひらに乗り、玉状のものに触れている。


『今度は、ゆっくり成長させて、それと同時に魔法で私の周りだけでいいから冷やしてくれる?』


 神の手を発動させつつ、ヒスイの周囲を熱の与奪魔法で、15℃をイメージし冷やしていく。


『こんな感じ?』

『うん、もう少し冷えるといいかな』


 10℃位をイメージすると。


『それ位で良いよ』


 ヒスイが何かをしているのだろうか?

 ヒスイの身体が、淡く光ってる気がする。


『あとはゆっくり成長させてくれればいいよ。』


 ゆっくり成長させていく、玉状の物から根と芽が生える。この時点で少し驚いた。先のミントとは全く違う青い色に変化しているのだ、芽が出た後は、手のひらですくすくと育っていく青いミント。右手が根っこで覆われた。しばらくすると立派なブルーミントになった。


『ふっふっふ!最高品質ですよ! 後は、大きな葉3枚とって、すり鉢とすりこぎですりつぶして、沸騰させた綺麗な水を追加して、魔素を流し込んで出来上がりかな、乾燥させて粉末にしてもいいしお任せ~』


 道具はミアンから貰っていてよかった。ヒスイに教わった通りに作っていく、水は生前使っていた天然水があるから苦労しなかった。仕上げの魔素を流し込むと、すりつぶしたカスがなくなり、綺麗な濃い青色の液体ができた。


『上出来~流石錬金のスキル持ちだね~それを女の子に呑ませるといいよ、多いから半分位でいいよ、残った半分は液体のままだと薬効が薄れちゃうから乾燥して粉末状にするのがおすすめ。』

「すいません、カップを貰えますか?」

「はい、ただいま」


 メイドさんがすぐに反応し、カップを持ってきてくれた。

 持ってきてくれたカップに半分ほど注いだ。


「これをあの子に飲ませてあげてください。」

「あぁ、ありがとう、本当にありがとう。」


 クライが、カップを手に取り、リーアと共にミーナの下に行った。


 自分は残った液体に水分の与奪魔法を使い水分を全部飛ばした。するとすり鉢の底に青い塊が出てきたのですりこぎで粉末状にした。この粉末をどうしようと思っていると。


「おまえさん、ドライアドを使役しているのか?」


 後ろからグアーラが声をかけてきた。自分とヒスイの関係は旅のお供だよな?


『おしい~契約はしてるけど、使役じゃないね~』


 使役とか言うと、上下関係がある様に聞こえるけど、正直対等な関係だよなと思う。


「使役っていうか、友達?小さいころからずっと一緒に居る子ですよ。」

『ふっふっふ!友達!大親友!』


 すり鉢の横にいる、ヒスイがとてもうれしそうにしている。


「使役ではないのか、おまえさん5歳だもんな、白狼学園も行かずに使役はできんか」

「ん?学園とかあるんですか?」

「あるぞ、さっき言ったオダマキ大陸のオーガスタ王国王都に、神の1柱フェンリル殿が建てた学園だな」

『メグちゃんのお母さんが学園長やってる学園だね~』

「入学できるのは、8歳なんだが、入学してすぐに召喚の儀をやって精霊や魔獣等と契約するんだよ。召喚の儀は基本その学園でしかできん、神に連なる者しか出来んからな」

「へぇ~」


 ヒスイが居るからだろうか?召喚の儀とやらに魅力は感じなかったが、いつかヒスイが言っていた。メグちゃんのお母さんとの縁があると、きっといつか白狼学園とやらに行くことになるんだろうなぁ、と思った。


『私も出来るし!必要になればやるし!それに、グアーラのお母さんもできるし!』


 メグちゃんのお母さんに張り合ってるの?変な所で張り合ってるなと思った。


 ブルーミントの粉末を小さなタッパーに入れたり、後片付けをしていると。

ミーナが目を覚ましたようだった。何となくそっとしておくべきな気がした。


「ねぇ、グアーラさん」

「ん?どうした?」

「帰りませんか?アルフ達との約束の時間大丈夫ですかね?」

「そうだな、ずいぶん長い事ここにいたからな、帰るか」

『ヒスイ、後であの子の状況教えてくれる?』

『OKOK』


 グアーラが、メイドさんの下に行き一言二言交わした後戻ってきた。


「よっし帰るぞ」

「ほい~」

「では、お見送りしますね。」


 そう言ってメイドさん見送られ、宿を後にした。

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