冒険者時代1
第13話 真実を見る眼
ミアン宅を後にし、街道に出てきた。
2年前の侵攻時以降も、村の外に出る事がなかったからか、街道利用する人達の多さが凄く新鮮に思えた。
街道を北上し、隣国のヴェンダル王国の国境都市ジャッスエイを目指し歩いていた。
さっきから自分の肩の上に座りながらキョロキョロしている。ヒスイが話しかけてきた。
『時々隠密使ってる人が居るんだよね~何してるんだろう~』
周囲に人が居るので、独り言にならないように自分も返した。
『隠密?』
『うんうん、姿と気配を消すスキルかな~まぁ中途半端なレベルだと完全に気配まで消せないんだけどね~君の心眼なら察知できると思うよ~』
レベル?
スキルのか?
ステータスと念じてみた。
―――――――――――――――――――――――――――――――
秋津 直人 人族 5歳
異界の神の加護
創造神ネアの加護
スキル
神の手・絶対健康・鑑定妨害・アイテムボックス・言語理解・限界突破・
成長速度上昇・サバイバル・木工・革細工・彫金・錬金・調理・心眼・縮地・刀術・
体術・弓術・槍術
適正武器
全種
適正属性
熱、水分、大気、土
―――――――――――――――――――――――――――――――
自分のステータスが表示されたが、どこにもレベルとか表示されてないよな?
刀術と体術は極めてるとか言ってたけども、それを示すものがないのだが?
『ヒスイ、自分のスキルレベルとかもわかるの?』
『わかるよ~君は、心眼・縮地・刀術・体術・弓術・槍術は十分なレベルだね~今後は、縮地使う時、足場を気にしなくても大丈夫だよ~』
足場を気にしなくていい縮地よりも、自分の目には十分なレベルと判断できるものがないんだが?
『どうやって十分なレベルだと判断できるんだ?自分じゃわからないんだが』
『そりゃそうだよ~真実を見る眼がないと解らないからね~』
なるほど、普通じゃ確認できないのか、表示してくれてもいいと思うんだけどな、スキルレベル上げが楽しくなりそうなんだが何故ないのだろう。
『昔スキルレべルこそがすべてとかで問題があったからね~実際スキルレベルだけじゃないのにね』
まぁそれは何となく解る。自分もベテラン戦士と対等な条件で戦ったら負ける可能性があることも考えてるし、経験だけは覆すことはできないし。
『そんなわけで、現在の世界では、スキル名だけ表示されてるんだ』
なるほど、まぁスキルレベルが高いからって精進怠ったら、宝の持ち腐れだよね。
『真実を見る眼とやらは便利だね』
『まぁね~でも君の神の手には及ばないよ、記憶を読み取るなんて出来ないし、体を治すことなんて出来ないしね~』
そうなのかもしれないが、自分からしたら、見ただけで解かるってのは、うらやましいと思った。
しばらくすると。森の中の街道から、一気に視界が開けて平原エリアに出てきた。
『ここからがヴェンダル王国だよ~もうちょっと歩くとジャッスエイが見えてくるよ。』
さえぎるものが無いからか正面からの風が強い気がする。
『正面に山があるでしょ~街道はずっとその先まで続いてるよ~鉱山都市を越えて7日位歩けば王都だね~』
遠いな、まぁそれも旅の醍醐味って所か、しばらく歩くと丘の頂上らしく、この先下り坂になっている。そして目的地のジャッスエイらしき城壁に囲まれた街が見えた。
『あれが?』
山と丘の間の低地部分に街とか戦略上よろしくない気がするんだけど?
『そう! あれがジャッスエイだよ、ブライメリー王国相手なら難攻不落の城塞!』
ブライメリー王国相手なら、って事は、他の所が相手ならダメなんだろうな……
丘の上から街の中がそれなりに見渡せるし……
『まぁ、一度も攻められたことないんだけどね~』
「ないんかい!」
思わず声に出して突っ込んでしまった。近くに居た旅人がこっちを見る。
まだ近くに居た人が少ないから、すごく恥ずかしい思いをしなくて済んだが、恥ずかしいものは恥ずかしい、ヒスイが、ケラケラ笑いながら追い打ちしてきた。
『独り言とか恥ずかしい~』
おまえのせいだ!
『あっはは~旅って楽しいね~』
これは旅の楽しい所じゃない気がする!そう思いつつ街の入口へ歩いて行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます