第百七十八話 ダンジョン特有の植物

 

 まんまる印商品を置いた俺は、『グリーンフォミュ』で購入した植物を手に取る。

 まずは鑑定済みである、高レベルの植物から確認していこうか。


 薬草や魔力草、毒消し草などは、おまけ程度の効能が追加されているだけなのだが……。

 まずはこのオール草から見ていこう。


【名 前】 オール草

【レベル】 58

【効 能】 治癒(中) 自然治癒力上昇(中) 疲労回復(中) 精神安定(中) 状態異常回復(中)

【繁殖力】 ???

【自生地】 ダンジョン(ランダウスト)


 これが、今日俺が購入した植物の中で、一番レベルの高かったオール草の効能。

 コルネロ山で採取できたオール草の効能が、状態異常回復(中)~(大)だけだったのを考えると、別の植物なのではと思ってしまう程の効能を持っている。

 高レベルの薬草にあった、眠気付与(中)のようなデメリットもないため、この一本だけでポーションを超える程の役割を果たす、本当の意味で万能草だ。

 

 にやにやしながら高レベルのオール草をあらゆる角度で観察し、一通り眺め終わったあとに次はエンジェル草を手に取る。

 オール草も凄かったが、エンジェル草も違った意味で凄いのだ。


【名 前】 エンジェル草

【レベル】 54

【効 能】 毒付与(大) 麻痺付与(中) 痙攣(中) 精神異常(中) 呼吸異常(中) 筋力低下(中) 幻覚付与(中)

【繁殖力】 ???

【自生地】 ダンジョン(ランダウスト)

 

 見ているだけで何かの異常をきたしそうなため、鑑定もしたくないレベルで殺意モリモリのエンジェル草。

 恐らくだけど、ヴェノムトロールに使用した劇薬ポーションよりも強い効能を、この一本だけで持っていると思う。

 

 正直、持っていると何か事故を起こしそうなため購入するかどうかを迷ったのだが、流石にこの効能の植物を買わない手はなかった。

 スライム瓶に詰めて取り扱いにだけ気をつければ、最強のアイテムとなるのだから。

 俺はエンジェル草を丁寧に袋に戻してから、他の植物の確認作業も行っていく。



 購入した鑑定済み植物の確認を終えたが、やはりインパクトがあったのはオール草とエンジェル草の二本。

 ボム草やリンリン草も勿論ながら高い効能を持っていたが、上記の二つには及ばない。


 とりあえずダンジョンで採取できる植物を鑑定して分かったのは、ダンジョン産の植物はギャンブル性が非常に高いということ。

 『グリーンフォミュ』に入り浸り、効能の高い植物を狙って購入すれば簡単に儲けることが出来そうとも考えつくが、基本的には低レベルやマイナスレベルの植物がほとんど。

 

 数時間かけ鑑定して回ってようやく高レベルの植物を見つけられただけだし、どの周期でどの量が仕入れられるのかも分からないしね。

 ダンジョンに潜って魔物を狩りつつドロップ品と宝箱を探し、高レベルの植物があれば採取するって形の方が、効率よくお金も稼げるし自身のレベルアップに繋がる。


 これが『グリーンフォミュ』を見て回っての感想だが……一ヵ月周期くらいなら高レベル植物を購入する日を作るのは有りだと思う。

 それぐらいの周期なら良い植物も仕入れられているだろうし、何より単純に鑑定して見て回るのが楽しい。


 ダンジョン産の植物を鑑定して回るのは、本当に宝探しをしている感覚になるんだよなぁ。

 この58レベルのオール草を見つけた時は、卒倒しそうなほど嬉しかった。


 『グリーンフォミュ』でオール草を見つけた時の感動を思い出しながら、次に俺は未鑑定植物に手をつける。

 今日購入したのは全15種類で、全てが聞いたこともない植物だった。

 一部を除いては、値段もそこまでしなかったためあまり期待は出来ないが、どんどんと飲み込んで鑑定していこうと思う。


 まずはこのポップ草から。

 口に入れて噛まずに飲み込むと、すぐに鑑定された。


【名 前】 ポップ草

【レベル】 -8

【効 能】 消化促進(極微)

【繁殖力】 ???

【自生地】 ダンジョン(ランダウスト)


 うわぁ……。

 いきなりマイナスレベルの植物を引いてしまった。

 未鑑定植物はレベルが分からないため、あてずっぽうで買わなくてはいけないのだが……そりゃ大多数が低レベルかマイナスレベルだったら、引いちゃうよな。

 

 まあ、最初の鑑定に使用する植物はマイナスだろうが、効果は適用されないしあまり関係はないのだが、正確な情報が入手できないという意味では少し面倒だ。

 恐らく平均レベルのポップ草の効能は、消化促進(中)なのだろうが……より正確なポップ草の情報が欲しければ、『グリーンフォミュ』で鑑定しに行かなくてはならない。


 マイナスレベルの未鑑定植物を引いたことでそんな思考を巡らせながらも、俺はどんどんと未鑑定植物を手に取っては飲み込んで、次々と鑑定していった。

 そして約30分程で、本日購入した15種類の未鑑定植物の鑑定が終わり、大まかに植物の効能を判定することに成功。


 15種類中10種類がマイナスレベル、残りの5種類が一桁レベルだったため本当の意味で大まかな効能なのだが、使えそうと思えたのは2種類だけだったな。

 どちらもそこそこ値が張った植物で、オドーレ草とヴァルム草。

 

 オドーレ草は臭気の強い植物のようで、鑑定せずとも臭いが強力なのが特徴の植物であることは分かっていたが、鑑定結果から臭気だけでなく嗅覚異常も引き起こさせる効能があることが分かった。

 臭いに関しては昔に、魔力草を燻して使ったこともあったが、このオドーレ草を使えば更に強力で幅を利かすことが出来るはず。


 そしてヴァルム草はというと、体を内側から温めることの出来る植物。

 シンプルだが、要所では絶対に必要となるであろう植物だな。

 おばあさんから借りた装備に寒暖対策は付いているが、ヴァルム草も併用すれば間違いないと思う。


 ひとまず、『グリーンフォミュ』で購入した植物に関してはこんなものか。

 ポーションについても考察したいところだが……予想以上に確認と鑑定で時間を費やしてしまったため、明日に回そうと思う。

 明日のダンジョン攻略に向けて、今日は生成だけ行いもう寝るとしようか。

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