第46話
「皐奈ちゃんがいなくなった。」
深刻そうにそう言う如紀ちゃん。次は皐奈ちゃんか。このような境遇に会いすぎて、衝撃も段々と薄まる。
「探す?よね。」
どうせ無事なんでしょ、内心そう思っている。多分他のみんなもそこまで焦っていない。
「そうするしかないよね。探さないなんて選択肢ないでしょ。」
如紀ちゃんは当たり前のようにそう言った。私は当然のように同意した。でも、緋弥は何も言わなかった。やがて口を開く。
「そんなことしてる場合じゃない。忙しいんだ。よりにもよってこんな時に。」
その言葉にカチンと来た。彼を睨みつけながら言う。
「そんなことって?」
売られた喧嘩を買うと、如紀ちゃんは慌てて止めに入った。
「喧嘩なんてもっと無駄でしょ。いいよ、私と望卯で行くから。」
わかってる。こんなことしてる場合じゃないって。幼稚なことするなって言いたいのは、わかってる。ごめんね。わかってるけど、
私と如紀ちゃんは、電車に乗って、何度も訪れた地を繰り返すように訪れた。会話のない電車の中でお互い何を感じていたのか、知らない。でも、曇りがかった空と同様に、道に迷っていたのは同じだったと思う。
いつしかの思い出を辿るように進んだ道を辿る。でも、そこには一人足りない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます