第46話

「皐奈ちゃんがいなくなった。」

 深刻そうにそう言う如紀ちゃん。次は皐奈ちゃんか。このような境遇に会いすぎて、衝撃も段々と薄まる。

「探す?よね。」

 どうせ無事なんでしょ、内心そう思っている。多分他のみんなもそこまで焦っていない。

「そうするしかないよね。探さないなんて選択肢ないでしょ。」

 如紀ちゃんは当たり前のようにそう言った。私は当然のように同意した。でも、緋弥は何も言わなかった。やがて口を開く。

「そんなことしてる場合じゃない。忙しいんだ。よりにもよってこんな時に。」

 その言葉にカチンと来た。彼を睨みつけながら言う。

「そんなことって?」

 売られた喧嘩を買うと、如紀ちゃんは慌てて止めに入った。

「喧嘩なんてもっと無駄でしょ。いいよ、私と望卯で行くから。」

 わかってる。こんなことしてる場合じゃないって。幼稚なことするなって言いたいのは、わかってる。ごめんね。わかってるけど、


 私と如紀ちゃんは、電車に乗って、何度も訪れた地を繰り返すように訪れた。会話のない電車の中でお互い何を感じていたのか、知らない。でも、曇りがかった空と同様に、道に迷っていたのは同じだったと思う。

 いつしかの思い出を辿るように進んだ道を辿る。でも、そこには一人足りない。

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