第40話
結局私は何も行動を起こさなかった。してしまったことは取り返せない。でもしなかったらこれからの対応で何にでもなる。そう思っていた。
しかし、兄弟で集まり、会議をするというのは、日課のようになっていた。予定のない週末は私を暇にさせた。不安にさせた。それを紛らすために、読書をしたり、動画を見まくったりしていた。無理矢理笑わせていた。いつもはあまりお金を使わないのに、食事やら洋服やらに次々とつぎ込んだ。後先を考えずに好きなことをしまくる。ここまで開放感に溢れたのは初めてだ。
しかし、穴の空いた空白はいつまで経っても埋まらなかった。良い言い方をすると、私の生きがいだったのかもしれない。世間という大きな流れの一部になって、アドレナミンが放出するような刺激的なこともなく、過ごしていた。誰だって非日常には心を躍らすものだ。
忘れようとした。でも忘れられなかった。考えれば考えるほど、姉が正しいと感じてくる。私はいつも間違っている。昔から二択を外し続けてきた。どちらが正しいなんてないのかもしれない。私が間違っているだけだ。考えれば考えるほど怖くなって、考えないと不安になって。この無限のループを止めることはできなかった。
夜が怖かった。いくらでも思考を巡らせることができる空間が怖かった。無意識に震えていた。
そんな時は睦空を頼った。夜中に電話をしたこともあった。彼の対応は変わらなかった。
しかし、ある日を境に電話が繋がらなくなった。
家にかけたり、時間を開けてからかけたり、と試行錯誤したのだが、全く繋がらない。何か理由があるようにしか感じられなくなっていた。
皐奈ちゃんに聞いてもわからない。如紀ちゃんに聞いてもわからない。私は困ってしまった。正直如紀ちゃんに聞くというのは、最終手段だと思っていた。
直接、緋弥に聞くしか方法がない。躊躇いながらも連絡した。
「明日また集まろう。その時に話す。」
そう言われた。
気になって仕方がなかった。
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