第12話
最終的に、私は誰にも自分の考えを言わなかった。この選択も忘れてしまえば、なかったことにできる。たとえ、覚えていてもいなくても、誰かにそれを伝えなければ、それが明かされることはない。
しかし、姉の嘘が本当だったとしても、しなくても、まだ明るみに出ていない犯人が一人以上いることは確かだ。そう決まっている以上、犯人探しを続けなくてはいけない。
まだ尋問をしていないのは、父と母と私。母はこの話を持ちかけた張本人だから最後に回すとして、初めは父だ。
直接、会って話すのは気まずい。だからラインでのやり取りで済ますことにした。簡単だ。何か知っていることがあるかどうか聞けばいいのだ。
想像通り、簡単に終わった。簡潔な内容だった。質問をして、否定されて、終了した。何でこんなことを聞くのか、なんて聞かれる暇もないくらいあっという間に終わってしまった。本来ならば、もう少し相手に寄り添う必要があるのかもしれない。ただ、そこまで私はしたくない。してもしなくても、結果は同じなのだから。全力で聞き出したとしても、事実は変わらない。やっていなければ、いつまでもやっていない、で終わる。ある意味賭けなのかもしれない。
私に技量がないことを責められるのならば、私はその役目に私を選んだことを責める。
結局半分の犯人しか見つからなかった。その半分も正しいのかわからないが。
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