第180話 やっぱり無理

俺は村を出てから基本的に東に向かって進んでいたが、どうやら本格的に迷子になったらしい。ケルビンに向かっていたはずなのに、三日経った今も着いていない。

「…もうケルビンは無理かもな。王都に向かうか。」

(冒険者カードはよろしいので?)

「まぁ、そこまでして冒険者として活動したいわけじゃないし。いざとなれば直接商会に売ればいいだけだろ?」

(それはそうですね。)

「というか、もう馬で移動したくない。しんどいし、飽きた。…ここからは避難船で移動するわ。言っとくけどこれは命令だからな?、お前が何を言おうと避難船で移動する。」

ここまで俺はよく頑張った方だ。面倒くさがり屋なのにわさわざ馬で移動し、宿を取り、人とコミュニケーションをとる。何て辛い生活だ、もはや苦行といっても過言ではない。変に意地を張らないで、素直に避難船で移動すりゃ良かった。

(…分かりました。すぐに稼働させます。)

〈まぁ、マスターにしてはもったほうですか。本当は最後まで自力で頑張ってほしかったのですが。〉

この2、3日で十分旅の気分は味わえた。たとえ俺の足取りが調べられて不審に思われたとしても、変装していたとでも言えば大丈夫だろ。というか、もうどうでもいい。俺は自由であるべき。いざとなれば拳で抵抗だ、そんな度胸があるかは別にして。

「…セキトバはどうしようかな。そこらへんに放っとくか。」

(連れていかないんですか?)

「避難船が動物臭くなるじゃねえか。そんなの認めん!!」

(寂しくなりますね。)

「寝言は寝て言え。」

鞍と手綱を回収し、セキトバに別れを告げる。

「さぁ、お前は自由だ!! どこまでも走ってゆけ!!」


「ブルルッ」

…走らんのかい。呑気に草を食べやがって、…良いご身分だな。


(準備できましたよ。高度千メートル辺りに浮かべてあります。)

「ご苦労。こっからが俺の本当の旅だ。何なら違う大陸に行くのもいいな。」

(間違いなく言葉は通じませんよ?)

「雰囲気を楽しむだけだ。上空から眺めるのもありだな。」

(そうですか。それはそうと家具を買わないといけませんね、避難船の中には何もありませんから。)

「マジか。すっかり忘れてた。今日はそれで終わりそうだな。」

家具選びはちゃんとしないとな。俺の船に乗せるんだから最高級のものじゃないと。


闇魔法で闇を身に纏い、闇を動かすことで空に飛び上がる。

「おお〜、意外とコントロールがきくな。魔法ってやっぱすげぇ。」

(ジェドが飛んでいた方法ですね。)

「ああ、さすがはSS級冒険者といったところか。並の魔法制御技術じゃ、浮かべもしないだろうな。」

だが、俺を殺そうとしたのだけは許せない。子供なのに殺そうとするか?、普通。

でもまあ、俺の潜在的な敵を大義名分を持って倒せたと考えたらいいんだけどさ。SS級冒険者が束になって襲って来たら勝てるか分からないからな、ここで一枚削れたと考えればそこまで悪くない。

ただ、凶悪なモンスターが出たときのために肉壁用として削り過ぎないようにしないとな。

「それと出来れば、影に潜るのも会得したいんだが、あれ、凄い難しいんだよなぁ。」

(そうなのですか?)

「ああ。影の中に入るのが怖すぎてさ、うまく制御できないんだ。」

そもそも魔法全般が感覚ゲーすぎるから、まさに適性なんだよなぁ。

(マスターでも恐怖を感じるんですね。)

「当たり前だ。人間関係に嫌悪を感じるのに恐怖を感じないとかおかしいだろ。」

(では人の幸せに幸福を感じますか?)

「…うー…ん、こっちの世界じゃ、そこまで親しいやつはいないからな。正直感じないかな。むしろ困ってるほうが感じるかも。」

(…大抵の人間はそうなのですか?)

「いや…」

でも一概に違うとは言い切れないよな。他人が心の中で思っていることなんて誰にも分からないんだし。

「分からないな。そういう醜い部分は誰しも隠そうとするから。」

(…そうですか。)

「ああ。それでも大抵は、心の奥では自分で気づいていると思うんだけどな。…それにしてもほんとデカイな、全長どのくらいだ?」

(およそ、400メートルくらいでしょうか。この大きさが当時の技術の限界だったようです。これに本当は大勢の人を乗せるはずだったんですけどね…。)

「残念だったな。これに乗るのは俺だけだ、永遠になァ。」

俺のものは俺のもの。たとえ大陸が危機に陥ったとしても乗るのは俺だけだ。同胞意識を持たない俺が避難船を手に入れたのが博士の運の尽きだ。

(博士が生きてたら嘆いていますよ。)

「あのまま錆びついているよりはいいんじゃないか。」

(私にとってはそうですね。…ハッチを開きます。)


「ウィーン」

宇宙海賊にでもなった気分だ。もっとも略奪する気概なんて俺にはないけどな。所詮、俺はただの小心者だ。

「…あいかわらず殺風景だな、避難船なのに。」

(それだけ余裕がなかったんですよ。)

「とりあえずベッドは早急に確保したい。宿のベッドって、どこか埃っぽかったからな。」

まぁ、村で泊まった時よりは段違いで良かったんだが、それでも宿の布団は馴染まなかった。若干潔癖が入ってるからな。

しかし――

「…にしても聖剣の存在感がヤバいな。ひしひしと伝わってくるんだが?」

(これでもバリアで囲っているんですけどね。聖剣は精神力で構成されているので、あまり効果はないのかもしれません。)

「あの古代の指輪に入れて閉じ込められないか? 流石にこの環境はキツイ。」

(なるほど、その手がありましたか。すぐに試してみます。)

それから数分後、圧倒的な存在感が消えた。

「…消えたか。」

(別次元に閉じ込めているのと変わりませんからね。それで指輪はどうされます? いつでも取り出せるよう装着されますか?)

「いや、そっちでしっかり保管しておいてくれ。指輪は好きじゃないんだ。」

(了解。…では聖剣の問題も片付いたところで、王都に向かいますか? ケルビンはこの近くですが。)

「良い線まで行っていたのか。」

(はい。) 

どうすべきか…、仮面を着ければ偽造しても問題ないか?、後はフードが着いた服を着ればいいか。服は闇オークションの時に買ったものがあるし、これはもう行けってことか。

「…では飛行船大和、船長として命ずる!!、ただちにケルビンに進路を向けろ!!」

(…飛行船というのは納得できますが、ヤマトというのはこの船の名前ですか?)

「そうだ。それと、これはもう避難船じゃない。飛行船だ。」

やっぱ船といえば大和だよな。ちょっと黒歴史が蠢いているが、妄想じゃないからセーフだろ。流石に妄想だったら擁護のしようもないかもしれないけど。

(…了解しました。では大陸の情報も解禁ですかね?)  

やっとか。旅の間は俺に関する情報以外は聞いてもあまり教えてくれなかったからなぁ。大陸はどうなってっかな?。流石に他国が帝国に宣戦布告したら、パールが報告してくるはずだからそれはないと思うけど、他国間なら十分有り得る。もし俺が帝国以外の国王で、独立し続けたいと願うなら、帝国が動けない今に動くしかないと帝国以外に戦争を仕掛けるだろう。今の大陸に単独で帝国に対抗できる国はない。そのままやり過ごしてもいつかは飲まれるだろう。そうなる前に何らかの手を打つ必要がある。まぁ、俺は多分帝国の属国か家臣になることを選択するからあり得ないっちゃ、有り得ないんだけどな。…あとは考えられるとしたら同盟だが、一枚岩とはいかないのは確実だからなぁ…、難しいよな。

「それでは報告します。まず、魔物を含んだモンスタースタンピードが発生したマーテル公国ですが、その後も毎晩、次から次にモンスタースタンピードが発生し、危機的状況です。この事態にSS級冒険者一名が対応していますが、全部は捌ききれていません。そして現在、マーテル公国はクレセリア皇国の侵攻を辛うじて食い止められていますが、破られるのも時間の問題です。もし破られでもしたら各領主が独立し、公国が分裂するかもしれません。」

「どうしてあの双子の皇子はマーテル公国を痛めつけてんのかな? クレセリア皇国を肥大化でもさせたいのか?」

ただでさえ、西の小国たちを喰らったんだ。このままじゃ、いつか絶対帝国と衝突するぞ。台頭する新興国が覇権国に挑む構図はどこも変わらない。帝国の歴史の中で俺は幾度もその構図を学習してきた。そしてその度に帝国は勝ってきたことも。

「いいえ、違います。そもそもの発端はクレセリア皇国に侵攻されたマーテル公国が帝国に対して、ほぼ身売りと言っても良いほどの条件で防衛を依頼したことにあります。これを外務大臣である第一皇子がうまく活用し、自分の手柄にしようとしたわけです。」

「じゃあ、双子達はそれをぶっ潰すために国を無くそうとしているのか?」

「はい。」

「マジかよ。イカれてんな。」

「それが帝位争いです。もっとも、ここまでスケールの大きい話はそうないと思いますけどね。」

「そうあってたまるかよ。それで、冒険者ギルドの見解はどうだ?」

冒険者ギルドが禁忌認定したら、帝国は他の国や冒険者ギルドを敵に回すことになる。それは流石に厳しいと思う、俺が介入しなければ。

「今の所、表立って見解を発表する動きは見られませんが、モンスタースタンピードに魔物が含まれていたことを物凄く懸念しています。」

「ふーん。で、お前の見立てではどう? クレセリア皇国は帝国に隣接すると思うか?」

「いいえ、そうは思いません。」

「なぜ?」

普通このままだと隣接すると思うだろ、時間こそかかりこそすれ。

「おそらくその前に反乱が起きるからです。クレセリア皇王には息子と娘がそれぞれ一人ずついますが、優秀なのは娘の方です。名はスカーレット・ガイア・クレセリア。」

「なるほど。それが前に言っていた傑物の一人か。…それで多分反乱を起こすのはどっちだ? というかそもそも王はどっちを次の王にしたがっているんだ?」

「そうですね、おそらく反乱を起こすのは息子の方だと睨んでいますが、王が後継者を誰にしたいのかは不明です。しかしながら、現王の弟が現王の息子に裏で関与し、操ろうとしているのは確認しています。表向きは忠臣のフリをしつつ、です。」

「…ドロドロじゃん。でもそんなでかい爆弾を抱えているなら少しは安心できるな。」

内輪もめでぜひ国力を落としていただきたい。外から見てる分には楽しいからな。

「大爆発を起こさないといいんですけどね。どうやら帝国の双子の皇子たちが工作員をクレセリア皇国に潜入させているようですから。」

「…またあいつらか。ロクなことをしないな。クレセリア皇国を乱してくれるなら全然いいんだけど。」

「おそらく先を見据えて布石を打っているのでしょうね。」

「ハァ、帝国はどこに向かっているんだろうな?」

「不明です。」

「簡潔な答えをどうもありがとう。」

「それとトランテ王国とエナメル王国が帝国と相互不可侵条約を締結しましたよ。」 

「…!?、おい!!、もっと早く言えよ、そんな大事な事。」

不可侵条約を締結しただとォ? そんなん戦争しますよ、宣言じゃねぇか。このまま東に行っていたらトランテ王国の戦争に巻き込まれるとこだったぞ。

「すみません。マスターの驚く顔を見たくて。」

「俺の驚いた顔を見てどうするよ…。」

「喜怒哀楽の表情のサンプル確保のためです。」

「…そうですか。」

思ったより理由が可愛くない、流石人工知能といったところか。

「それでは本題に戻りますが、おそらくこのタイミングで相互不可侵条約を締結したのは、マスターの想像どおり戦争のためでしょう。」

「やっぱそうだよな…、とうとう始まるのか。それってエナメル王国対ユーミリア公国と、トランテ王国対マルシア王国か?」

「はい。となると出てくるかもしれませんね、ユーミリア公国の怪物、エドウィン・アルカイザーが。」

「…なんやかんや、ワクワクするよな。自分では絶対に参戦したくないけど。」

前世で言えば戦国時代の英雄たちが鎬を削るところを間近で見られるわけだ。ワクワクするなっていう方が難しいよな。

「他にもトランテ王国にはグレンがいますからね。」

「グレン…、ああ、あの生意気なガキか。確かにあれもいい線まで行きそうだ。」

あと3、4年もすれば肉体の最盛期がやってくる。そこまで耐えられたら英雄になっててもおかしくないな。

「どちらにせよ、帝国が復興するまでの間は各地で戦が起きるでしょうね。時間が経つにつれ、帝都の話も伝わるでしょうから。」

「…国威発揚のために戦争をするとは考えられないか?」

あの爆発で皇帝の権威は少なからず落ちたのは間違いない。それを盛り返すために手っ取り早い戦争を選んでもおかしくはない。

「それは考えにくいですね。帝位争い中の今、外征すれば皇子たちが手柄を求めて互いの足を引っ張るのは確実です。そのような情勢を見誤るような皇帝ではないでしょう。」

「それもそうか。…ちなみに帝国が戦争に巻き込まれる確率はどのくらいだ?」

「100パーセントです。」

「マジかよ…。どうやってその数字が出たんだ?」

「過去の歴史、現在の世界情勢を照らし合わせた結果です。もっともシナリオはいくつも考えられ、絞り込むのは時期尚早ですけどね。」

「お前の考えるシナリオの中で一番起こる可能性が高いのは?」

「…私の中では、双子の皇子が帝位を取り、その後、ありとあらゆる国に対して大陸統一を掲げて宣戦布告。そして大陸全土が戦に包まれるというのが最も可能性の高いシナリオだと考えます。」

「…お前は双子が勝つと思っているのか。」 

「マスターは違うとお考えですか?」

「いや、分からないな。でもあちこちに工作員を仕込んでいることを考えたら、可能性が高いというのも理解できる。」

結局は帝国の動き次第ということか。

「…まだ話すことはありますが、もうケルビンの上空までやってきました。どうしますか?」

とりあえず今日中に家具は揃えたい。話は今日の夜じゃ、駄目かな。

「…その話はすぐにどうこうなる話か?」

「いいえ、なりません。」

「そうか。ならとりあえず冒険者カードを手に入れて、家具も揃えるか。その話は夜に聞くわ。」

「了解。ではハッチを開きます。」

「あっ、待て!! あの白い仮面を黒に染められるか?、出来れば顔バレは避けたい。幻術は万一があるからな。」

「承知しました。しばらくお待ちください。」

「あとフードが付いた服に着替えるか、それも準備してくれ。」 

「了解です。」


服を着替え、パールが仮面を黒に染めるのをぼんやりと眺める。

…戦争か。今後の俺の立ち回りも考えないとなぁ。問題は帝国が戦争に巻き込まれたときだ。エルバドス家の次男とか絶対戦争に駆り出されるよな。マルスに押し付けようにもすでに奴は貧乏くじをひいてるからなぁ。

「…完成しました。」

「ご苦労。」

「ではハッチを開きます。」


「ピュ〜」

風で荒れる髪を放置しつつ、眼下に広がる都市を見下ろす。

「…行くか。」



ーー??ーー

「エンベルト様、エナメル王国の使節団が面会を求めています。おそらく例の交渉を即座に進めたいのでしょう。」

エナメル王国は元フォーミリア王国の領土を巡って帝国と交渉に来ており、爆発の際には帝都に滞在していた。きっとこの騒ぎに乗じるつもりだろう。

「…分かった。会議室に案内してくれ。それと事務次官以下も来るように伝えてくれ。」

〈マーテル公国は絶望的だが、まだエナメル王国とトランテ王国がある。私はまだ負けてなどない!!〉


それから数十分後、会議室には重い空気が漂っていた。 

「さて、では始めましょうか。ジーギス殿、今回おいでになったのは前回の交渉の続きということでよろしいですか?」

「そのとおりですが、それに加えてもうひと提案したいと考えております。」

「それはぜひお聞かせ願いたいですね。」

〈このタイミングで来るということは不可侵条約の締結か…、父上の意向にも沿うが、どうしたものか。〉

「我が国としてはギラニア帝国と相互永久不可侵条約を結びたいと考えております。」

「ほう、相互永久不可侵条約ですか?」

〈永久か…、論外だな。歴代の皇帝でも認めないぞ、それは。〉

「はい、我が国はギラニア帝国と手を取り合って共に繁栄していきたいと考えております。そのための相互永久不可侵条約です。しかし、言葉では何とでも言えましょう。ゆえにその誠意として、フォーミリア王国の領土、具体的に言うと王都を含む北半分をギラニア帝国の領土として承認する用意があります。」 

「…なるほど。トランテ王国もフォーミリア王国に進軍していますが、それについてはどうお考えですか?」 

「トランテ王国は我が国の同盟国であり、かつ現在は共同出兵という形で落ち着いております。ゆえに我々が責任を持って説得いたしましょう。」

「出来なかった場合はどうされるおつもりですか?」

「その時は貴国の主張に全面的に賛同いたします。あらゆる行為を支持しましょう。」


〈そうくるか。どうやらトランテ王国との同盟はそこまで強固じゃなさそうだ。だが、解消はしないだろうな。〉

「…貴国の主張は理解しました。我らとしても概ね受け入れることができそうです。しかしながら、無期限の相互不可侵条約は締結できません。」 

「…理由をお聞かせ願えますか?」 

「我が国はトランテ王国と長きに渡って争ってきました。そのような国と同盟国である貴国と永久に不可侵条約を結ぶのは無理だというお話です。もっとも貴国がトランテ王国との同盟を解消するなら話は変わってきますが。」

「…それは…」

ここでエナメル王国の主張が途絶え、エンベルトに主導権が移る。

「そこで私からの提案です。期限を無期限とするのではなく、そうですね、一年とするのはどうでしょうか?」

「一年、ですか。」

「はい。がお互いにとって良いかと。」

〈恐らくノーとは言わないはずだ。ユーミリア公国を吸収するには十分な時間なのだからな。だが、それは帝国も同じ。一年後には帝都も復興しているだろう。何も問題はあるまい。〉

「…持ち帰って検討してもよろしいですか?」

「勿論構いませんよ。互いに益となるような条約を結びましょう。」

〈…トランテ王国は来るだろうか?、状況次第ではこちらから接触することも考えねばな。〉


ーー??ーー

「兄さん、上手くいってるね。」

「アァ、暴走の音色を会得したのが大きかったな。」

「でも、まさかSS級冒険者がいるとはね。おかげでまだマーテル公国は存続しているよ。」

「ハッ、それも時間の問題だ。父上もマーテル公国が呑み込まれるのを黙って認めないだろうよ。手足が言うには暗部が帝国に寝返るように工作しているらしいしな。」

「やっぱり暗部って厄介だね。裏じゃ、まだ父上には勝てないかな?」

「厳しいだろうな。何より手足に、裏に特化した奴が少なすぎる。」

「どうする? どっかから仕入れる?」

「いや、もう遅すぎる。今更間に合わねぇ。」

「なら表でやり合うしかないね。」  

「アァ。とりあえずは勢力拡大に力入れんぞ。」

政治は数。こればっかりは地道に増やすしかない。双子は元の評判も悪いのだから。












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